カナードがない!

朝日新聞より.

民間初の有人宇宙飛行に成功 「国家」の独壇場に第一歩

Scaled Composites社Space Ship Oneによる初の宇宙飛行が成功したとのこと.

3分間の弾道飛行を行い,その頂点が高度100kmを超えたということらしい.

うむ.これも「宇宙飛行」というのか….やはり衛星軌道を一回りしてからでないとどうも「宇宙飛行」という実感が沸かない.

それでも,東京・アメリカ間を2時間で結ぶ飛行機も「スペースプレーン」と呼ばれるのだから,これの嚆矢とも言えるSpace Ship Oneは「宇宙船」,少なくとも「宇宙機」と言うべきなのだろう.

それより注目は,今回の機体が鬼才バート・ルータン氏による設計だということ.Space Ship Oneの設計も独創的だが,それを運ぶ飛行機,White Knightもまたすごいデザイン.奇抜なのに見れば見るほど理にかなっているという,「秀逸」を絵にかいたような存在.

宇宙船を上空に運ぶ母機というのは,既存の機体を使いまわすのが普通だと思うのだが,これまで新造というそれ自体もすごい.

で中央胴体は宇宙船をぶら下げるから高い位置に.エンジンはその胴体の背中.尾翼は双胴型の2本のブームを主翼から出して支持.Space Ship Oneのロケット噴射を避けられるようになっている.

感心したのは,主翼が逆ガル型(W型)になっていて,一番低い位置にその双胴部分を置いていることで,双胴部分は前に延長することで前輪の配置場所にもなっている.

普通の飛行機ではSpace Ship Oneより前に前輪をおかなければならないから,胴体が無駄に長く必要だが,これだと胴体は最小限の大きさでいい.また,双胴部分は低い位置にあるので,なんと前脚が固定脚になっている.

固定脚とジェットエンジンというのは考えてみると奇抜な組合わせだ.主脚も非常に短いし,引き込み機構もかなりシンプルに見える.

翼幅が大きく,アスペクト比の大きい主翼は,高い高空性能を得るためだろう.Space Ship Oneを切り離す高度をできるだけ高くとるためだ.胴体を中央胴体と双胴部の3つに別けたのは,主翼の広い幅に重量を分散する効果があり,翼の構造重量を軽減することにもつながる.

強いて難点を言えば,双胴部の尾翼が左右別々なので,旋回時や突風時に主翼に大きい捩りが生じそうなこと.恐らく中央翼は頑丈な箱形の構造になっているのだろうけど,その分の重量増は脚をシンプルにした軽量化で補えるのかもしれない.

まぁしかし,丸窓を沢山開けた機首はちょっと奇妙すぎ.日本の設計だともっと愛嬌のある顔にするだろう.

あと,今回のプロジュクト,バート・ルータン設計なのにカナードがない.これはこれでまた,別のところですごいカナード翼機を氏のことだから考えているのだろう.