軍人は一つ前の戦争に備える

よく言われる言葉だと思ったが,ネット上ではあまり見つからない.一般には知られていないことなのだろうか.ぐぐってみてヒットしたのは一つだけ.

http://www.book-navi.com/book/syoseki/nihon-b.html

日本の場合一つ前の戦争とは第二次世界大戦または太平洋戦争.

第二次世界大戦の特徴を簡潔に表すと「総力戦と無条件降伏」.

総力戦はともかく「無条件降伏」は国家間の戦争ではそれまでなかった概念で,ルーズベルトカサブランカ会談での発言から連合国の基本方針となった.背景には南北戦争の故事があると言われる.

第二次世界大戦はその後総力戦というより絶滅戦争と呼ぶべきではないかという様相になり,ドイツも日本も生き残りをかけて壮絶に戦う.

思いついたのは,一つ前の戦争に備えるのは何も軍人だけではないということ.言わば;

平和運動は一つ前の戦争に備える

イラク戦争は総力戦ではなかったというのに,「アメリカは意図的にイラクの非戦闘員を殺戮した」と絶対的反戦・平和主義の皆様は信じて譲らない.

例:http://blog.livedoor.jp/f_117/archives/9094054.html

「総力戦と無条件降伏」が戦争のスタンダードだと思っているらしい.

逆に,「総力戦と無条件降伏」でなければ戦争でないという考えもあるようだ.時々目にするのが,「北朝鮮が日本全土を占領できるわけがない」「中国が日本全土を占領してもメリットがない」.だから脅威はない.日本に軍事力はいらないという論.

ミサイル一発でも着弾したら,島ひとつでも占領されたら,いかに大変なことかという認識はないようである.

いわゆる「反日」についても,「日本さえ悪事をはたらかなければ世界は平和である」*1というGHQの世界観の名残だろう.だからこそ彼らは「護憲」でもある.現行憲法の前文には「日本さえ邪心を持たなければ他国はすべて日本より"よい国"だから、世界も日本も幸福になると書いてある(ぜひ再読されたい)」*2.なぜかその後「アメリカと日本さえ悪事をはたらかなければ…」というふうに変化してしまっているのだが.

軍人にも平和運動家にも常に時代に即した知見が求められるのではないかと愚考する次第.

*1:八木秀次:『日本国憲法とは何か』,ISBN:4569628397, P.188

*2:日下公人:『人類はなぜ戦争をやめられないのか』, ISBN:4396500777, P.260