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憲法と国柄

左派は憲法は権力の抑制であるという.


イギリス、フランスで成熟していった近代憲法は、「最高法規として、国家権力を拘束し制約する根本法として存在し、恣意(しい)的専制を抑止するものである」(法学協会『註解日本国憲法』下巻、一四五九ページ)。

一方,憲法は国柄だという説がある.


憲法を意味する英語constitutionは、体質、国柄を本来の意味とし、憲法という意味もここから派生している。

どちらが妥当なのだろう.

後者の立場からは憲法は国柄を規定し,その中で国と国民の約束ごとが書かれることとなる.

国に対しては権力の制約となり左派の解釈と同じ.一方国民に対しては義務規定と道徳的規範となる.

憲法改正にあたり,例えば自民党案に対して左派からは,「憲法に道徳的規範を書くとは何事か」「憲法遵守義務を国民に求めるとは何事か」といった批判をしている.


 戦後、個人の権利を大切にするあまり利己主義が横行し、社会や家族が崩壊した。立て直すには国家や社会をもっと重視すべきだという考えが基調にある。

 自民党に言われるまでもなく、だれしも家族と仲良く暮らしたい。地域社会は豊かで住みやすい方がいい。安心して住める国をつくりたい。そのために国民一人ひとりが努力し、協力する。それは当たり前のことだ。

 しかし、どんな生き方が幸せか、何を大切にするかは一人ひとり異なる。国をもっと大切にせよ、歴史や伝統を踏まえた国をつくれ、とことさらに言われると、国が国民の生き方や価値観に介入してくるのではないかと心配になる。

 そんな国はとても窮屈だ。住みたいと思う人がどれだけいるだろうか。



今回の自民党草案は、九九条に新たに第二項を設け、国民に尊重・擁護の「責務」を負わせている。万が一、自民党案が新憲法となったら、その反動的・軍国主義的内容に反対する国民は、憲法尊重擁護義務違反の罪をもって訴追されるという恐るべき事態が生まれることとなる。

では左派は憲法をどのように認識しているのか.

  • 憲法9条は平和国家日本の宝.世界に誇るべき先進的条項.

つまり憲法は「平和国家」という日本の国柄を表している.

  • 男女同権:男女差別は絶対悪.誰かが差別されていると感じたらそれは差別.差別意識を根絶するためにジェンダーフリーを推進すべし.

つまり憲法に道徳的規範(差別はいけません)を求めている.

この件,憲法は国柄であるという定義が私は妥当だと思う.

左派といえども憲法に国柄や道徳的規範を求めていながら,それを自覚していないらしいことは面白い.

参考資料

何かについて短いまとめは匿名巨大掲示板を探すが吉.2chニュー速+板から;


243 名前:名無しさん@5周年 投稿日:05/02/04 13:49:54 id:ILZaU8/w
立憲主義思想の憲法ってのは、
「国民が、権力側を縛る」立ち位置にあるのが基本なのに、
その前文に、なぜ日本の文化や伝統がいるのか、
頭がおかしいんじゃないか? と思ったけどね。

そりゃ、あれだろ、国会議員が雑誌のコラムなどで
国民相手にぼやいていればいい話であって、
法的な拘束力を伴わせる内容じゃないだろ。
(前文が拘束力をもつか、という争いはともかくとして)

前文には、国民をどう躾けるかじゃなくて、
俺達は、こういう制限に服します、という自戒の念をこめろよ。
464 名前:名無しさん@5周年 投稿日:05/02/04 19:15:24 id:R6WO+NRj
>>243
貴方の云っているのは、ホッブズなどに基づく、社会契約論に基づく憲法観だ。
ホッブズが言うには、自然状態では万人と万人が殺し合い、無益に疲労してしまう。
この状態をなくすために、国家が成立する。
国家が出来ると、自分が生き残るために、国家に全てのものを預けてしまえという。
すると、国家が何をするかわからないほど、強大なものになる。
こうした強大な国家を縛り付けるために、憲法が必要になると言う。
これが社会契約論に基づく憲法の定義。

一方、もう一つの憲法観が存在する。
これは、主としてエドマンド・バークが唱えたもので、
憲法というものは、その国の国柄・伝統・国家観を反映したものと言う定義だ。
つまり自分たちの国はこのような成り立ち・歴史を持ち、
このような理想を持って、次の未来を築いていきたい。
私たちは、このような伝統を持っている。
その伝統に基づき、国民にはこのような権利が与えられる。
このような、その国々のコモンローを反映した憲法観だ。

どちらの憲法観を、選択するかは、その国々の自由で、
一般的に歴史の古い国家は、イギリスを筆頭に、バーク型の憲法
歴史の浅い新興国は、社会契約論に基づく憲法を採用しているようだ。
両者の混合型も多いので、一概に定義できない。

したがって、日本は、世界一ともいえる歴史の長さ、伝統の蓄積度からいって、
当然、バーク型の、コモンローを反映した憲法とするのが、実情に合うと思う。
但し、部分的に、社会契約説も採用するのは、妥当性があると思われる。