風雲急を告げる北朝鮮情勢。
残念ながら日本国の憲法改正はとても間に合いそうにない。
現行憲法でどこまでできるのだろう。
憲法に関する見解はid:spanglemaker:20050208に書いた。
国連安保理決議にもとづく制裁戦争は「国際紛争を解決する手段として」の「武力の行使」ではない。
とすれば、多国籍軍に日本が他の国と同様に参戦することは原則可能と考えられる。
ただ実際は、戦争状態の時は自衛隊は米軍に対する後方支援と日本の国土の防衛にあたることになるだろう。
もちろん後方支援であれ戦争に参加していることに違いはなく、そしてそれ自体が違憲ということにはならない。
自衛隊が攻撃されて反撃するのも当然合憲。「正当防衛と緊急避難」などという呪縛もなくなるだろう。違法・違憲な「武力の行使」ではないのだから、自衛隊は普通の軍隊としてふるまうことができる。
自衛隊の部隊がいる近くで他の国の部隊が北朝鮮に攻撃されたら、当然自衛隊も共同で防禦を行う。この状況では敵が自衛隊を襲うのか他の国の部隊を襲うのかが判別できないため(自衛隊を襲わないと誰が保証できよう)、自衛隊が防禦しないことはあり得ない。共同防衛は個別的自衛権の枠内に位置づけられる。「巷によく言われる「米艦は自衛艦を防衛するが、自衛艦は米艦を防衛できない」という事態は起こり得ない」。
ここで憲法前文;
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
国連は自衛隊を容認しており、つまり日本の戦力保持を認めている。そして国連決議により制裁戦争が可決されたとする。日本として現有資産である自衛隊を投入しない選択肢はあり得るだろうか。もちろんない。
「平和を愛する諸国民の公正と信義」「正義と秩序を基調とする国際平和」という前提条件が崩れた以上、上記引用部分が残ることになる。
国連主導の制裁戦争の場合、参加しないことこそ、憲法の精神*1にもとる行為と考えられる。
私は、湾岸戦争のとき、自衛隊が多国籍軍に参加しなかったことが本当に残念だった。その時はそれが「合憲」になり得るとは気づかなかったのだけど、日本が絶対参加できない、ということもあり得ないと感じていた。