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13試双発戦闘機

はてなキーワードではまだ日本海軍の14試局地戦闘機雷電」が登録されていない。誰も登録しないようであればいずれ私が書こうと思うが、ふと思ったのは「雷電」はJ2Mだということ。最初に局地戦闘機として設計されたのは「雷電」であるのだが、任務記号「J」の1番目はまったく別の飛行機。

J1Nは中島の13試双発戦闘機。任務記号「J」は当初は「陸上基地で運用する戦闘機」という意味で、後になって局地戦闘機限定になったらしい。

J1Nは当時どの国もとりあえず手を出してみた双発戦闘機というジャンルの日本海軍版で、長距離侵攻戦闘機として設計が進められた。しかし、胴体背面に2基の動力銃座を背負う野心的な設計が災いしてか試験飛行の成績は振るわず、結局戦闘機としての採用は見送られた。

さりとて太平洋戦争開戦でせっかく開発した機体無駄にするのももったいないと考えてか、同機は動力銃座を降ろし、二式陸上偵察機として採用された。

二式陸偵はラバウルに配備され、そして思わぬ転機が訪れる。夜ごと訪れるB-17爆撃機を撃墜するための夜間戦闘機に改造されたのだ。小園中佐の発案による胴体に装備された斜め機関砲は、多くの人から疑問に思われたにもかかわらず、実戦にてB-17を見事撃墜し、アメリカ軍にラバウルへの夜間爆撃を断念させるに至る。

そしてJ1Nは紆余曲折の後、夜間戦闘機「月光」として戦闘機に返り咲いた。斜め銃は本土防衛においてB-29爆撃機に対しても有効だった。また、ドイツの夜間戦闘機He219も斜め銃を装備しており、これはドイツが独自に思いついた説と日本の斜め銃のアイデアが伝わった説と2通りある。

以上ざっと見てきたように、海軍最初の陸上基地専用戦闘機はかくも多難な道を歩んで来た。本来ならば、海軍が陸上基地専用の戦闘機や大型機を開発する、という時点で陸軍との協調を考えるべきだった。軍港や航空基地の防衛も専用の「局地戦闘機」を開発、というのではなく、陸軍航空隊に依頼、または陸軍機の導入が筋であろう。話が進めば空軍独立ということもあったかもしれない。

でもって、それができないのが日本軍クオリティ。海軍が陸上基地専用の大型爆撃機や重戦闘機を開発してしまう。陸軍は飛行機の発着できる船や潜水艦まで作ろうとしてしまう。陸軍と海軍のこの見事なまでの反目ぶりは、日本人の国民性として深く反省しなければならないところだ。今現在も同様のことがないかどうか、常に疑いの目を持った方がいい。

関連サイト:月光 (戦闘機) - Wikipedia