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OPLAN 5026

北朝鮮の核問題、拉致問題、国家犯罪および北朝鮮国内の人権問題を一挙に解決する方法は、金正日政権を何らかの方法で排除することだ。北朝鮮人民が自らの力で政権交代を図るのが最善で、次善の策は他国の実力行使ということになる。

当然ながら、米軍は朝鮮半島での作戦計画をいくつか練り上げている。

宇垣大成氏の「米軍による対北朝鮮懲罰攻撃OPLAN5027」(軍事研究2005年1月号)にそれらが紹介されている(ほとんどは推測)。

よく知られるのは対北朝鮮の全面戦争を想定したOPLAN5027で、2年ごとに更新され最新のものはOPLAN5027-04と考えられている。2004年版の特徴は「精密誘導兵器による北朝鮮領内への米軍の攻撃」や「弾道ミサイルに対する防衛」の他、米陸軍の投入を最小限とし、陸戦はほとんどを韓国軍に任せるものとなっている。

OPLAN5027は米軍の先制攻撃に端を発することとなると考えられるが、米韓の共同作戦であり、発動のためには両国の緊密な連携が必要となると考えられる。一般に陸軍を動かすには時間がかかるため、今現在、韓国陸軍が戦争の準備にとりかかっているという情報がないことから、向こう数ヶ月はOPLAN5027にもとづく戦争はないのではと思う。

宇垣氏の同記事にはOPLAN5026も言及されている。

こちらは全面戦争ではなく、北朝鮮の重要目標にミサイル攻撃および航空攻撃を行うもので、以下のように推測されている。

 詳細については、これまた明らかにされてはおらず、寧辺を始めとする核開発疑惑施設への攻撃が含まれていることは間違いなさそうだが、同時に一連の航空攻撃が、すぐには北朝鮮の全面戦争発動に繋がりにくくするものだと伝えられており、様々な憶測を呼んでいる。ここであえて大胆な推測をするならば、作戦の発動にあたって韓国政府の同意がなくとも、米軍が単独で実施可能な内容なのかも知れない。

北朝鮮の全面戦争発動に繋がりにくくするもの」とは、徹底した空爆により北朝鮮の戦争を行う意思と能力を奪うということで、宇垣氏の記事には空軍だけで48時間以内に合計800〜900、海軍の戦力も合わせれば「千数百の目標は難なく叩けることになる」と書かれている。

このようにも記されている。

 OPLAN5026の作戦目的は、北朝鮮に軍事面で回復不能な打撃を一方的に与えることで、韓国を防衛することだとされているが、北朝鮮がこうした集中的な先制攻撃をまともに食らった後に、全面戦争を決意したとしても、それが金正日指導体制の終りの始まりとなることは間違いない。<略>

大胆に要約すると、米軍の意図はこういったものだろう。

  • 北朝鮮の重要目標を破壊する(核開発と韓国攻撃の能力を奪う)
  • 北朝鮮の政治指導部を破壊する(核開発と韓国攻撃の意思を奪う)
  • これがきっかけで北朝鮮が崩壊すれば韓国軍が北上して平定し、半島を統一する
  • 北朝鮮が報復のため南進するなら韓国軍が反撃、その後やはり半島を統一する
  • 陸戦はほぼすべて韓国にまかせ、米陸軍は原則として投入しない

とにかく空爆。あとは何とかなるだろう、というハタからみるとだいぶ無茶なものに見える。

しかし、やる時はやってしまうのがアメリカクオリティ。

現状戦争になるなら一番可能性が高いのはこのOPLAN5026ではないかという気がしてならない。

今年2月10日の核兵器保有宣言が分水嶺だったのではないかと思う。アメリカの戦争計画は既に発動しているのではないかという推測をなかなか捨てられない。

もっとも、戦争を防ぐ方法はもちろんある。まず北朝鮮が六ヶ国協議に応じること。次に核兵器開発を断念し、査察を受け入れること。拉致問題の全面解決を積極的に図るならさらに戦争の危機は遠のくだろう。東アジアの平和は金正日の良心にかかっている。