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必要な戦争は正当な戦争(マキャベリ)

一昨日紹介したスレッド。こんな書き込みがある。慧眼をお持ちだ。ナンシー・慧眼vsトーニャ・ハーディング


91 名前:名無しさん@6周年 投稿日:2005/06/13(月) 19:05:42 id:nwa9hCtf
平和ってのは戦争がないってだけのことだからな。
そして、戦争が起こるのは戦争じゃなきゃ解決できないことがあるからだ。
もっとも、戦争でなくても解決できることでも戦争始める香具師もいる。
また、戦争は始めるのよりも止める方が難しい。
だから、少しでも平和を増やしたいと思ったら、戦争でなきゃ解決できないこと
は何かをしっかり考えて、その上でそうでない戦争は止め、戦争でなきゃ解決で
きない事実が解決したら、さっさと戦争を止めるようにするしかない。

太平洋戦争など不必要な戦争だった上にやめるのに失敗したからたまらない。まさか敵が「無条件降伏」なんて方針とるとは思いもよらず。どうにか有条件降伏(ポツダム宣言)に持ち込んだとはいえ、それに至るまでの特攻出撃や硫黄島、沖縄での犠牲はあまりにも大きい*1

WW2は防戦の側の連合国としては「必要な戦争」と考えられるが、終わらせ方はまずかった。「無条件降伏要求」は、戦争の長期化による犠牲の増大*2や、ドイツと日本を徹底して破壊したことによる共産主義の膨張などよくない結果を残している。

現代では「不必要な戦争」は例えばイラククウェート侵攻。一方、湾岸戦争イラク戦争は「必要な戦争」と考えられる。これにしても湾岸戦争での戦略と戦後処理の失敗がイラク戦争を招き、さらに今のイラクの混乱に至ると見なすことができる。これに関する一番の失敗は、瀬戸際戦略を続ける独裁政権を「経済制裁」で倒せると甘く考えたことではないか。事態の収束はボーア戦争のごとく10年単位のスパンで取り組まなければならないだろう。

今後のことでいえば北朝鮮征伐は「必要な戦争」のように思える。なかなか始まらないが。別宮暖郎氏もイラク北朝鮮に関して以下を挙げる(『軍事のイロハ』(ISBN:4890631798), P.263)。

  1. 講和条約違反
  2. テロへの反撃
  3. 人道介入

 フセインイラクはこの三つともに該当している印象はありますが、隣国北朝鮮もあまり変わるところはありません。

一方、日本と中国の軍事衝突は「不必要な戦争」だと思う。日中の軍事的緊張は今後さらに強まるだろうが、だからといってどちらも戦争に打って出るべきではない。

もし中国の軍拡をやめさせたいなら、軍拡競争に持ち込んで向こうを経済破綻に追い込むのが得策だろう。冷戦終結と同じ筋道。

あるいは、日中の軍事的緊張はむしろ互いにメリットがあるかもしれない。例えば松村劭氏は「政治的に緊張関係にあるときの方が、経済関係がドライに運べる」「日中関係は政治的に緊張・対立関係にある方が日本にとって有利である」と主張している。

*1:この他先に負けて無秩序化したドイツの教訓もあるとされる

*2:吉田一彦:『無条件降伏は戦争をどう変えたか』(ISBN:4569640419)が参考になる