第12話「タネタネの国☆ちっちゃいって大変」
この作品、設定はいいのだが脚本があんがいヘタレだ。いい話を作ろうとしてるようだが、かえって恐さが引き立つのはどうか。
「争いよりも話し合い」というテーマからして、「話し合い」の限界が易々と露呈してしまっていて説得力がない。
逆に言うと、何が争いのもとで、何が話し合いで解決できるか、が示されていることこそ教訓的ではある。富が限られているから争いで奪い合いになり、それが豊富にあれば話し合いで分けあうことができる。
結局今日の話は、限られた富を話し合いで適切に分配するにはどうするか、という問題は解決しないまま。争いを鎮めてくれた豊富な水はプロミネンスの力による一時しのぎだから、この先また争いが生じるかと思うと切なくなる。
タネタネの国の王様はすごい。普段からおひさまの国に事実をねじまげて報告しているのか。人の話をぜんぜんきかないし。児童向け作品でここまで無能な為政者を出すとは。
一方、タネタネの国に着いた二人が無意識に村を破壊しそうになるのは、それ自体よりも異なる民族の間の容易に解消できない対立を象徴してるようで恐い。
上記2点は伏線になってこの先大戦争に発展するのだろうか。それともただの天然ボケだろうか。どうもまだ分からない。
今回一番恐いのはマザーツリー。マザーツリー様に気に食わないことを言うと猿に変えられてしまうという。あの猿達は全員呪いをかけられたタネタネの国の人々だというのに、へき地においやって、多少の粗相にもすぐ成敗だとは、自由に物も言えないタネタネの国も恐ければその国民も相当なもの。
本当は違うというのは分かるが、恐い方の想像を誘発する何かがこの作品にはある。