combat proven

まさか高機動車がこれほど注目される日が来るとは。これからは高機動車を見る目が変わりそうだ。

asahi.com: 陸自車両通行中、道路脇で爆発 イラク・サマワ - イラク情勢特集

サマワにいる自衛隊車両のうち、もっとも弱いものが狙われた。敵の戦力の最も弱いところを狙ってきた。ゲリラ戦の定石を踏んでいる。

これがバグダッドあたりの気合いの入った爆弾だったらただではすまなかっただろう。ヤンキーからHMMWVの装甲キットが渇望され、軽装甲機動車が各国の部隊から羨望の眼差しを集めるる所以。

今回爆弾がヘッポコだったのは、あえてそうしたのか、そのような爆弾しか用意できなかったのか。

前者であればその意図を探らねばならない。「日本というのが実は猛烈に怖れられている」という噂も検証の価値ありか(まさかなあ)。「脅し」というのはどうだろう。脅すまでもなく、実害を出せば自衛隊が撤退する確度が高まることは既に知られているであろう。とすると、やはり精一杯やってあの程度だったのだろうか。

ヘッポコ爆弾しか用意できなかったという場合は、サマワというのがゲリラやテロリストの活動にはなはだ都合が悪い土地だということの傍証になる。容疑者4人のうち3人を拘束したというのも事実だとしたら、ロケット弾の犯人がなかなか捕まらない日本よりよほど連中には不利な場所かもしれない。

ここで松村劭:『ゲリラの戦争学』(ISBN:4166602543)のP.41を見る。

 ゲリラが戦うことができるには、それに適した政治と社会の環境というものがある。すなわち、地域住民の暗黙の受容や支援・協力が必要である。

<略>

 本来、地域住民は、討伐軍とゲリラ軍の間にあっては自己の生活の安定を第一義的に重視して中立的である。だから、行動の『自由』と『安全』をより保障する側の味方になる。まして、長期にわたる戦争状態を好まない。

討伐ではなく復興支援に来ている自衛隊は、ゲリラ・テロリストより圧倒的に有利な立場にある。信頼を得やすい上に、討伐軍に引けを取らない練度と装備を備えている。

これに加えて、自衛隊の現地の人々との信頼関係構築の努力は半端ではない。例えば『武士道の国から来た自衛隊』(ISBN:4594048242)に詳しい。防衛庁のサイトでもその様子がうかがえる。

サマワという土地柄も確かに無視できないが、今回の事態が比較的軽く済んだことは、テロリストの手加減や偶然というより、自衛隊の努力の結果と考えるべきだろう。

今回でcombat provenとなったのは、高機動車よりもGNN、「義理人情浪花節」という現地の信頼構築のためのスローガンだったのかもしれない。

今回の事件を受けてまた自衛隊撤退論が持ち上がるに違いない。

しかし、この程度の被害で済んだということは、これぐらいは「自衛隊保有する権限、能力、装備をもって危険を抑止、回避できる」(by石破茂長官、2003年12月15日毎日新聞)範囲であるから、依然としてサマワ非戦闘地域と考えることができる。もとより政治的対立を武力で解決しようとしている場所ではないのであるから、自衛隊による違憲な「武力の行使」など起こり得ない*1。とすれば、この件で自衛隊が撤退することはないはずだし、私も撤退すべきではないと考える。

さて、捕まった3人が本当に下手人だったら、どのような供述をするだろう。私は、イラクのテロリストと日本の極左暴力集団が密かに連携している可能性を疑っている。真相はどうであろうか。

今回、自衛隊員が無事と聞いて本当に安心しました。これからもイラクに派遣された自衛隊員の無事をお祈りいたします。

*1:政治的意図による攻撃に対し自衛隊が交戦すると相手の政治的意図に干渉するから「武力の行使」だという理屈から自衛隊の活動は非戦闘地域に限られているのだがこの理屈は私としては納得いかない。id:spanglemaker:20050208参照。