Great Spangled Weblog

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核爆弾の解体方法

昨年出たU2の新作。これの前の"All That You Can't Leave Behind"がなんだかピンと来なかったので、リリースされたのをすっかり見逃していた。

このアルバムはいい。最初の曲からよくて途中の落ち込みもなく、最後の曲はちょっと変で、1枚通して楽しめる。

プロデューサーがスティーブ・リリーホワイトになった。それでも"War"の頃の音に戻ることはあるまい、と思ったらさにあらず。けっこう近い。

それでいて1曲目の'Vertigo'からして熱い。歌の内容は"Pop"の'Discotheque'に近いと思った。'Discotheque'の絢爛豪華な歌とそうそう違わないものを最少構成4人のバンドの音で提供できるとは。

'Miracle Drug'もすごい。タイトルのストレートさがたまらない(このアルバムは ストレートなタイトルが多い。'Yahweh'とか)。歌全体がかもしだす酩酊感がなかなか。内容は届かない想いをクスリで代償するような話で、科学と医学で奇蹟のクスリができればどうこう、というけど歌全体としてはどうみても既存のクスリでいってしまっている雰囲気。

こうしてクスリによる堕落ぶりを描いて反ドラッグのメッセージを、というふうに解釈するのは簡単だけど、どうもそんな歌ではないような気がする。Bonoの興味は「君の頭の中に入って一日過ごしたい」というあたりにあるのかも。ちなみにこれ、クスリを酒に置き換えたら反ドラッグというより演歌になる。酒撲滅を図る演歌など知らない。そう考えると、ドラッグに関する歌から反射的に反ドラッグのメッセージを期待してしまうのは考え物かもしれない。

最後の'Fast Cars'はいつもここから珍走団コントを思い出してしまった。