Great Spangled Weblog

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BLOOD+

第6話「おとうさんの手」

デビッドと小夜の会話。

「ディーバはここにはいないか」
「何か分かったんですか?」
「米軍はここで、人工的に翼手をつくりあげる実験をしていたらしい」
「何のために?」
「我々の記録によれば、ベトナム戦争までは翼手というものが絡んだ事件はそう多くは起きていなかった。世界中で数年に一件あるかないかだ。だがあの戦争を境に、翼手の出現情報が、異常と言えるまでに増加した。それらの事件が起きた場所を調べていくと、必ずと言っていいほど、国際紛争の発生地と一致していた。ベトナム中南米湾岸戦争、アフリカの内戦」
「そんなに?」
「そうだ。そしてその現場には大小を問わず、米軍もしくは米軍を中心とした多国籍軍が派遣されている」

アメリカの軍事介入さえなければ世界に紛争はないかのようなセリフが鼻につく。

総連と仲良しの竹田プロデューサーあたりは朝鮮戦争北朝鮮の侵攻により始まったものだとか、ベトナム戦争も同様に北ベトナムが武力で南北統一を図ったものだとかいうことは理解できないのだろう。まあだからといって南ベトナム赤化阻止のためのアメリカの介入が全面的に正しかったと言えないのも確かだが。

それから「アフリカの内戦」は「国際紛争」ではない。

「米軍が、どうして?」
「治安維持目的、報復行為、正義のための戦い、理由は様々だが、軍事力による制圧行為が目的とされていたことだけは間違いないだろう。もう一つ、その中でも、翼手の出現が確認された地域には、米軍の海兵隊を中心に構成された部隊が送り込まれている。さらに、それらの全てが例外なく、極東のある基地を経由して現地に向かっている」
「それって?」
「そう、沖縄だ。ここに何があるのか、それを知るために我々はやってきた」

ちょっと待て。米軍が介入したからといって必ず翼手が出現しているわけではないのか?

沖縄経由で海兵隊が投入された、となると頻度はせいぜい「数年に一件あるかないか」ではないか。

まあセリフを注意して読むと、ベトナム戦争後「異常と言えるまでに増加した」のは「翼手の出現情報」であって「翼手の出現」ではないのだが。だから必ずしも、「翼手の出現」頻度は増えていることにはならない。つまりあたかも、ベトナム戦争後「翼手の出現」が増加したかのような印象操作と疑うこともできる(そして印象操作が報道出身プロデューサーの本領発揮では困る)。

米軍のせいで翼手大発生、困ったもんだぜHA!HA!HA! はいいんだが、切り札の小夜がようやく動き出したというのでは今までどうやって翼手を始末してきたのか。今回の空爆のような対応だと、命は絶てなくても埋めて行動不能にすればとりあえず大丈夫なのかもしれない。いや、以前は翼手は米軍がちゃんと管理できていたということか。赤い盾の方も翼手を倒してはいないと。

その空爆在日米軍が射爆場以外、それも基地の外(つまり普通の日本の領土)を爆撃したら「地位協定」じゃどうにもならないだろう。駐留軍から攻撃されないことが軍事同盟の前提ではないか。「地位協定」で収拾つけられるとはとても思えない。

翼手の悪事は猟奇殺人事件ではなく爆弾テロとからめれば、対テロ戦争の名目で空爆もごまかせたかもしれないが…。

反米ネタへの突っ込みはともかく。会話や狼狽ぶりが簡単に組織外の人間にばれる「赤い盾」。翼手量産のための重要施設がさしたる契機(の説明)もなく翼手に占拠される米軍。出てくる「組織」がどうも無能すぎるのが困る。