男女平等バカ

宝島バカ女シリーズ第3弾。標的は男女共同参画基本法および国連の女子差別撤廃基本法の周辺なのでこういったタイトルになっている。

「男女平等」が悪いわけじゃないけど、そいつを声高に言う人に限って実質「女尊男卑」、よくて「男女均質」だったりするからこのタイトルもまあよさげ。

男女共同参画事業については「専業主婦は社会参画していないとでもいうのか?!」という疑念を持っていたが、本書で予想以上におぞましい背景を知ってしまい少々慄然としている。本書140ページで上野千鶴子氏の発言にこうツッコミが入っているが(わくわくフェミランド探検隊・ハナ子氏の記事)、なるほどそれであんな疑念が湧いてくるのか、と思った。

<略>フェミニズムの神髄は、「性の解放」「結婚否定」。結婚して、夫も妻も働いて仲良く家事も半分ずつ、なんていう男女共同参画とはまったく異質のものなのだ。

もう一点怖いと思ったのは、DV防止法に関する記事。牧野雅子氏のこれを読むと、フェミニスト主導で作られたこの法律も、女性の保護というより、家族解体を目指しているものとの受け取れる。現実に「粗暴な夫」というのはいるから「駆け込み寺」も必要だが、この記事で紹介されているケースはそういった素朴な想像とはかなり異なる。

せいぜい夫婦喧嘩のレベルでも妻が公設の保護施設に行くと、夫からも、社会からも隔離され、ひたすら離婚・家族解体への道に押しやられるという。この記事の中では、保護施設が「妻に対する暴力がどの程度であるのか」ということを聴取しているという記述はない。DVの度合にかかわらず保護・隔離→離婚・夫には接近禁止・退去命令という対処が画一的になされるらしい。

千葉展正氏も「千葉県女性サポートセンター」について47ページで以下のように書いている。

 ここに相談に訪れた女性は「二度と自宅に帰れない」と言われている。その場で「強制隔離」されてしまうのだ。まるで強制収容所ではないか。

こんな怖い事態になっている背景は、フェミニストの「男のジェンダーは暴力的であり、女性差別が根強いためにDVが起こる」(P.90)という思想と家族解体を目指す志向による。

興味深いのは、この思想と同じ地平に電車の「女性専用車両」もあるという話。「女性専用車両」は痴漢防止対策であるとされるが、それでなぜ女性を特定車両に隔離という対策になるのかというと、千葉展正氏の記事で104ページに以下のようにまとめられている。

 対女暴力について、男女共同参画会議のレポートはこう述べる。
《女性に対する暴力は、女性に恐怖と不安を与え、女性の活動を束縛し、自信を失わせることで女性を支配し、女性を男性に比べて従属的な状況に追い込むものである》
 男女共同参画会議の見解によると、痴漢行為は一人の男の出来心なんかでは決してない。女性を支配し、従属的な状況に追い込むための男による攻撃なのである。女性専用車両の導入を要求してきた「痴漢犯罪NO!鉄道利用者の会」も、痴漢をこのように糾弾する。
《<私>が受けた攻撃は<私>個人ではなく女性という性に向けられた攻撃です。<私>の被害は、性の不平等を象徴しています》

ジェンダー、社会的性差は性の不平等を補完するためにある、という説がここで説得力を持つ。電車で言えば女性専用車両という社会的性差。逆に言えば、「ジェンダーフリー」が本当に実現すると「性の不平等」がむき出しになり、かえってひどい目にあう女性が増えそうだ。性差別解消のためジェンダーフリー教育が必要だ、などというのは詭弁であることがよくわかる。閑話休題

フェミニストは「男」との全面戦争を展開しているということに気づく。その戦法は敵野戦軍の殲滅(粗暴な夫や痴漢という個人への報復)に留まらず、敵であれば市民の犠牲も厭わない戦略爆撃にまで発展している。総力戦だ。この本によりそういう状況であることがよく分かった。

なお、「男」と戦っているのはフェミニストという一部の人々であり、これに「女」全般が加勢していないこともまた確か。なので、世の中は人類を二分する大戦争とはならず、一見静穏となっている。