北朝鮮の脅威を見ない人たち

北朝鮮の脅威を見ない人たち (小学館文庫)

北朝鮮の脅威を見ない人たち (小学館文庫)

潮匡人氏による日本の安全保障に関する論考とサヨク批判。

日本の国是、「反戦平和」についても谷沢永一氏の言葉を引用しながら批判している。

P.210;

 仮に亡命政権チベットへの帰国を強行すれば、それは平和を破壊する行為となるだろう。あるいは台湾が「独立」を強行することも同様の結果を招くだろう。当の北京政府が「統一を破壊する行為には軍事力の行使を躊躇しない」と繰り返し公式に表明している以上、武力紛争は避けられそうにない。

P.211-212;

 結局、この地域で「反戦平和」を唱えることは、核兵器と世界最大の陸軍力を保有する「強者」「覇者」が、武力で築いた「既成事実の容認であり、既得権益の擁護であり、現状肯定の主張」に他ならない。チベットや台湾は勿論のこと、自由や独立を求めるすべての国々にとって、それは「抑圧のイデオロギー」でしかないはずである。
 果たしてこれが、「国家の名誉にかけ、全力をあげて」達成すべき「崇高な理想」なのだろうか。「反戦平和」の名の下に、軍事的な威嚇や侵略を容認することが「崇高な理想」なのだろうか。
 衷心よりお伺いしたい。わが同胞はなぜ、理不尽な現状を肯定するイデオロギーを崇めるのだろうか。なぜそこまで「平和」を愛し「軍事」を憎むのか、筆者には正直、分かりかねる

「平和を守る」というのは現状維持であり、現状虐げられている人々にとってはその状況を肯定することになる。こう指摘されると「平和」というのは無条件に素晴らしいものではないと分かる。「抑圧のイデオロギー」という言葉にはっとさせられる。だからといってやたらと戦争を肯定するというものでもないが、平和のうちにあっても非常時の備えを怠るようなことはよくないだろう。