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四川大地震、中国に自衛隊機派遣

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080528/plc0805281909018-n1.htm

 政府は28日、中国からの要請を受けて四川大地震の被災者を支援するため、航空自衛隊機でテントや毛布、医薬品などの援助物資を輸送する方針を固めた。航空自衛隊のC130輸送機2機を週内に中国に派遣する方向で調整している。空自輸送機の派遣は国際緊急援助隊の枠組みで実施されるが、中国に自衛隊部隊が派遣されるのは初めてとなる。

 政府関係者によると、北京の日本大使館に27日、中国政府当局者から「新たにテントなどの援助物資を支援してもらいたい。中国までの輸送手段については自衛隊によるものを含めて検討してほしい」と要請があった。これを受け、政府は28日、国際協力機構(JICA)などが国内に備蓄しているテント、毛布、医薬品を空自輸送機で運搬する方向で外務、防衛両省が最終調整に入った。

 空自輸送機は外相の要請を受け、国際緊急援助隊として派遣する。防衛省では、支援物資の準備が整えば、愛知県小牧市航空自衛隊小牧基地からC130輸送機2機を北京、武漢両市に飛ばし、中国側の民間空港に支援物資を輸送する準備を進めている。

 日本はこれまで5億円相当の緊急支援を表明したほか、国際緊急援助隊の救助チームと医療チームを現地に派遣している。ただ、自衛隊機が中国に派遣されるのは戦後初めてのケースとなるだけに政府は現地住民の旧日本軍への感情も考慮して慎重に最終調整を進めている。

 中国政府の発表によると、四川大地震の犠牲者は6万7000人を超えている。特に4500万人以上に及ぶ被災者への支援は困難な状況にあり、テント、仮設住宅などが著しく不足している。

自衛隊派遣が決まれば、小牧基地からC-130が送られることになると思う。C-1では搭載量が8tと少なく(C-130は最大20t)、航続距離も短いため効果的な支援は難しいだろう。小牧基地イラクに3機を派遣しているところで、さらに何機か海外に派遣となると機体や人員のやりくりが大変なことになると思う。それでもどうか、派遣の要請に応えてやってほしい。中国の被災者のためにもなるし、日本にとっても、少なくない意義があるはずだと思う。

軍拡まっしぐらの人民解放軍。何も日本に頼らなくても自前で沢山輸送機なら持っているだろう、と思って、先日買った『エアワールド』の7月号をめくってみた。ちょうど中国空軍の記事がある。

それを見ると、輸送機の機数が案外少ないことが分かった。2007年時点で、旅客機の貨物型ではない、軍用の大型輸送機というと、搭載量40tのIl-76が27機。これと搭載量30t(wikipediaによると20t)のY-9が4機という。

これでは災害対応に出せるのは10機ぐらいではないだろうか*1。とすると、外国の軍隊から数機程度でも派遣されると、輸送力が何割も増えて、かなり助かるはずだ。日本に支援を要請してきたのも、政治的な思惑がどうこうより、純粋に輸送機が足りないからなのだと思う。

この事態に、普段から自衛隊の海外派遣反対を唱える皆さんはどう思っているのだろう。中国の被災者がいかに困ろうと、自分達のイデオロギーを優先させるのだろうか。

社民党の反応がちょうど朝日新聞のサイトに出ていた。

http://www.asahi.com/politics/update/0528/TKY200805280255.html

 社民党の福島党首は28日の記者会見で、日本政府が中国・四川大地震の被災地に救援物資を運ぶため自衛隊の輸送機派遣を検討していることについて「反対だ。自衛隊は災害救助団体ではない。行くなら、自衛隊としてではなく行くことが必要だ。なし崩し的に海外に行くようになるとよくない」と語った。

すると、今から災害救助隊を組織し、自衛隊の装備品や隊員を一時的にそれに移籍して、輸送機の塗装や隊員の服装を変えてから送れと。被災者にはその間待っててもらうわけだ。この非常時に何を悠長な。

災害救助は軍隊の正統な任務の一つ。軍隊やめて災害救助隊を組織した国などない。

こういうときは江畑謙介:『こうも使える自衛隊の装備』(ISBN:4890631054)。

 よく自衛隊を災害支援専門部隊に改編しろとか、平和維持活動専門組織にせよという主張がある。これは世界の現実から見て、間違っていると断言できる。

およそあらゆる非常事態を予想して、それに対応できる能力を持っているのは軍隊であり、そのような組織を「実際に使わないために」平時から維持するのが正当化されるのは、国防軍だけである。

これについて以前書いたエントリー;

http://d.hatena.ne.jp/spanglemaker/20041025/p2

護憲派の意見の中に、日本が非武装なら、どこの国に対しても脅威にならないため、敵意をもたれることがない。従って日本が攻撃されることもなくなる、というものがある。

どこからも敵意をもたれないということは、どこからも感謝されない、ということでもある。軍事力によって仮想敵に脅威を与えないかわりに、友好国に対して味方になることもできない。日本はGDP2位という大国なのに、困っているどの国も助けてやることができない。本当にそれでいいのだろうか。

災害救助は軍隊の正当な任務。そしてこれは、戦争と違って誰を敵にするわけでもない。困っている人を純粋に助ける仕事。軍隊があれば災害救助で人助けができる。そしてうまくいけば、多少なりとも感謝してもらえる。まず恨まれることはない。

日本には、軍事力があた方がいいだろう。戦争自然災害問わず。いざという時のために。

*1:エアワールド』では2007年年時点で退役しているとされるY-8が、もしかしたら数十機いるので、出せる輸送機は20〜30機かもしれない