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宇宙飛行士ピルクス物語

宇宙飛行士ピルクス物語(上) (ハヤカワ文庫SF)

宇宙飛行士ピルクス物語(上) (ハヤカワ文庫SF)

宇宙飛行士ピルクス物語(下) (ハヤカワ文庫SF)

宇宙飛行士ピルクス物語(下) (ハヤカワ文庫SF)

宇宙を舞台にした青春群像かな、とか思って読んでみたらまるで違った。レムならではのハードなSFだった。

特にロボットの描写がレムらしい。その不可解さは『ソラリス』や『天の声』に通じるものがある。

一方、宇宙ものとしてはあまりハードではない。宇宙船にブレーキがあったり、速度が何に対する速度か不明だったりする。宇宙船は原子力で飛んでいるが推進力をどのように得ているのか、その原理は不明。

原書の発表が1971年というので、コンピューターや電子機器などの表現も古い。コンピューターは穿孔テープを吐き出している。映像の記録は化学的な写真、音声の記録はテープ。LEDはなく光るのは電球。

そういう時代性を感じさせるところもあるが、物語の本筋では古さは感じなかった。

無重力の宇宙船の中でハエが飛ぶ描写がある。ただ飛んでいるというだけで、それがどういうふうだったかは特に言及なし。今ならシャトルにハチを持ち込んだ実験結果があるので、その後書かれたとしたらまた違った描写になっていたことだろう。