- 作者: 関根彰
- 出版社/メーカー: 技報堂出版
- 発売日: 2005/04/15
- メディア: 単行本
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2005年出版なので、焼酎ブームのさなかに出された本。焼酎に関して一通り学べる。
以下気がついた点。
シングルモルトのウイスキーは2回蒸留が標準的だが、乙類の本格焼酎は1回蒸留(単式蒸留)。おかげで水とアルコールの他にも多くの物質が混じることになり、独特の風味が生まれている。
蒸留したての焼酎は刺激が強くのみずらいというが、長期に貯蔵することで熟成されて飲み易くなる。熟成の過程はどのようなものか、本書では詳しく書かれている。
麹は日本酒では黄麹が使われており、焼酎も以前は黄麹が使われていた。一方、泡盛では黒麹が使われていた。黒麹は泡盛の製法上の秘密とされていたが、明治以降本土に伝わり、九州で焼酎に使われるようになった。気候が温暖な九州では、クエン酸を作りもろみを腐敗から守る黒麹が適している。黒麹から突然変異で生じた白麹も焼酎に用いられている。
芋焼酎は比較的安価に出まわっているので、安いデンプンの供給源としてサツマイモは優れているのかと思った。しかしこの本によると、芋焼酎はコストがかかるのだという。
その理由は、サツマイモが保存できない材料であることによる。このため、収穫後一気に仕込む必要があるとのこと。サツマイモは10℃以下では腐敗し、20℃以上では発芽してしまうため、長期の保存に向かないという。収穫後の一時期に多量の人出をかけて仕込む必要があることから、高コストになる。