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「自虐史観」の病理

「自虐史観」の病理

「自虐史観」の病理

10年ちょっと前の本。ちょうど「従軍慰安婦」の記述が中学校の歴史教科書に揃って載るようになった時なので、そこを激しく批判。その後どうなったかというと2004年11月には中山成彬文部科学相(当時)が「歴史教科書で、従軍慰安婦とか強制連行とかいった言葉が減ってきたのは本当に良かった」と発言するぐらいなので状況は好転した。一方、2007年にマイク・ホンダ議員の対日謝罪要求決議orz。一進一退か。

藤岡氏は左派の人から激しい攻撃を受けている人なので、もっとファナティックな内容なのかと思ったがそれほどでもなかった。200ページから太平洋戦争について西尾幹二氏と討論している様子が出ているが、西尾氏の<大東亜戦争はやむにやまれぬ自衛戦争だった>という意見には否定的だ。

245ページにも以下のようにある。

私は「日本=悪玉論」に立つ「東京裁判史観」にはまったく反対だが、だからといって「日本=善玉論」に立ち、戦前の日本の国家行動を全面的に肯定するか、ないしはすべてを宿命視する「大東亜戦争肯定史観」にも与し得ない。だからこそ、「自由主義史観」という、いわば第三の、しかし、もっとも常識的な見方にすぎない歴史の見方を提言したのである。

この本の前半分は慰安婦問題についてひたすら書かれている。もちろん「強制連行」はまったく否定。

これに対し、藤岡氏を批判する側が判で押したように<慰安婦がいなかったとでもいうのか!>と的外れな批判をしているのがおもしろい。知的に頽廃だと思う。この現象についての考察も本書に書かれている。

左派のおかしな物言いといえば、浜林正夫氏のこんなぶっとび発言も載っている(P.270)。

「(元慰安婦の)証言が嘘であるということを証明しない限り、その証言に依拠して日本軍の行為を批判するのは当然である」

学者の先生がこんないいかげんな考えで反日活動しているというのは驚いた。これは挙証責任の転換だ。

藤岡氏もこの発言にこう書いている(P.270)。

 反論するのも馬鹿馬鹿しい話です。どんな犯罪であっても真実性を証明する挙証責任が告発する側にあるのは、裁判における初歩中の初歩です。被告が旧日本軍や日本国家であるなら、その最低限のルールすら守らなくていいという暴言を、専門の歴史家が平気で吐くとは、私は開いた口が塞がりませんでした。

この挙証責任の転換は左派にとっては当り前のことらしい。ネット上でもこんな発言を見つけた。

http://tukui.blog55.fc2.com/blog-entry-410.html

--挙証責任は政府にあります。--

 これが従軍慰安婦問題等の一連の論争の結論です。確実になかったということを政府が立証せねばならないということです。強制連行がなかったという証拠を政府が出さねばならないのです。なぜなら、日本政府がアジアの人々に対して侵略戦争を実現した加害者だからです。加害政府が被害国の人民に対して戦争責任をとるという事は、挙証責任が日本政府にあるということですよ。
by: 東西南北 * 2007/07/21 09:41 * URL [ 編集] | page top↑

吉田清治氏の捏造がばれ、朝日新聞でさえ「強制連行」と言わなくなった今日、左派の人々がまだぐだぐだ言っているのは、このような思考パターンがあるためと分かった。話が通じないわけだ。

本書は文庫にもなっている。

「自虐史観」の病理 (文春文庫)

「自虐史観」の病理 (文春文庫)