巨大地震と高速鉄道

巨大地震と高速鉄道―新潟県中越地震をふりかえって

巨大地震と高速鉄道―新潟県中越地震をふりかえって

2004年の新潟県中越地震での、鉄道の被災に対する対応と教訓をまとめた本。

内容は、橋梁、トンネル、発電所のダムおよび発電設備の被災状況と復旧過程、脱線に至った新幹線車両の地震応答の検討、早期地震検知警報システムの構築など。

橋梁の被害は、新幹線では、ラーメン高架橋については柱や中層梁のせん断破壊と、河川橋の橋脚の段落し部の損傷で、補修と同時に補強が行われた。兵庫県南部地震の教訓より鋼板巻立てによる補強を行っていた橋梁は損傷が見られなかった。

在来線では河川橋で、無筋コンクリートの橋脚や橋台で打継目部のずれが生じていた。また、支承も多くが破損していた。橋脚は柱全体を鉄筋コンクリートで覆ってしまう補修・補強が行われ、支承は破損した部品を交換して補修した。

従来地震に強いと言われていた、山岳トンネルについても、この地震では被害が生じた。

トンネルの被害は次のような3つの条件が重なったときに生じると推定されている(P.161)。

【距離条件】大規模被害は推定震源断層から水平距離おおむね五キロメートル以内のエリアに集中
【地質条件】トンネル周辺地山の強度が低い地質などの「地山の悪い箇所」
【構造条件】覆工背面に空隙があるなどの覆工が変形しやすい構造

トンネルの被災に関しては、岩盤自体の崩落はなかったため、比較的用意に補修・補強が行えた。しかし、トンネル自体の閉鎖性から資材の搬入などに手間取り、橋梁などに比べて復旧工事に時間がかかることとなった。

岩盤の崩落はなかったとはいえ、覆工のコンクリートが大きいものでは2t程の塊となって崩落していたので、これに200km/h以上で走行中の車両が衝突したらどれほどの惨事になっていたかと思うとぞっとする。

新潟県中越地震では、断層がトンネルを横切って現れるということはなかった。北伊豆地震では丹那トンネルを断層が横切り、トンネルにずれが生じた。本書では、そのような事例はごく稀であるとしているが、一方、トンネルが断層でずれを生じた場合の対策については、断層によるずれを見越してトンネル断面を大きくしておくぐらいしかないようである。それでは線路のずれによる脱線などは避けられないが、そこまでの対策は言及されていない。