すべてのオタクは小説家になれる!

すべてのオタクは小説家になれる!

すべてのオタクは小説家になれる!

小説を書くことに興味がないわけではないので、買ってみた。

専門知識がオリジナリティの代わりになるとか、そこそこ面白いところはある。しかし、この本を読んだらただちに小説家になれるかというと、そういう感想はいだかなかった。

本の対象の読者が単なるオタクではなく、小説家を目指すオタク限定であることに気がついた。文章を書くことがどうすれば楽しくなるか、というノウハウは書いてない。既にそれが楽しい人、というのが本書の対象とする読者だから。

また、文章が上達するノウハウも具体的には書いてない。ただこうあるのみ(P.61-62)。

 その人が文章がうまいかへたかは、「それまでにどのくらい文章を書いてきたか」で決ります。

「文章のうまい人」は、それまでにたくさん文章を書いてきた人。

「文章がうまくない人」は、それまでに文章をあまり書いてこなかった人。

 ただ、それだけの話です。

 ですから、「文章のうまくない人」=「小説家に向いていない人」ではありません。ただ、トレーニングが不足なだけなのです。

 ですから、文章がうまくない人は、これからトレーニングをすればいいのです。それだけのことです。

ここでつい「ダウト!」とか言ってみる。

何冊も小説を出版している人で、ブログにも沢山文章をアップしている人に、さっぱり文章がうまくならない人がいるから。

沢山文章を書けばいいというのは、それは十分条件で、他に必要条件があるのではないだろうか。

もっとも、この本が前提にしている人はあくまで「オタク」で、得意げに披露した蘊蓄がことごとく間違っているようなオタクっぽいけどただの人の場合は話が違うのかもしれないが。

多分、「トレーニング」という意識も必要なんじゃないかなと思う。自分は文章がうまいとか思い込んでいると、いくら書いても上達しないのでは。自分の思い込みと実力とが合致している、才能に恵まれた人というのは多分滅多にいないのだと思う。

魅力的なキャラクターのつくり方とか、楽しいストーリーの組み立て方なんかも書いてない。この本一冊読んだだけで小説家を目指すのは無茶ではなかろうか。

弟子入りの方法のあたりは、ノウハウ本というより、こういう常識をわきまえた弟子入り希望者がいればなあという、著者の願望がかなり入っているのではないかと思った。