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ウェブ炎上

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)

ウェブはバカと暇人のもの』が政治色がかなり薄いのに対し、ネット本として、この本は政治色が濃い。どちらの側かというとリベラル、というかサヨク

「ウェブ炎上」の例として出されているのが例えばこんな事例。

この本の背景に、この正しい思想がなぜネットでは叩かれるのか、という問題意識があるのではないかと推測される。右側の人がマスコミ批判をするのと対をなしていると言えるだろうか。

右に軸足を置いてみると、「炎上」には難しいカラクリはないように見える。要はDQNが叩かれる。JOY祭りも「イラクの三馬鹿」も根は同じ。そこに見られるネットの特性は、本書で言うところの「法や道徳の厳密な適用」が当てはまるのかもしれない。

思想的なバイアスのなせるわざか、本書で挙げられている「炎上」の事例が、はたして適切なのか疑問に思う。

イラク日本人人質事件は確かにネットが燃え上がったが、マスメディアも大騒ぎしたので、ネット特有の現象とは言いがたい。

また、人質とその家族が叩かれたのは単にDQNが世間を騒がせたからで、そこに不思議な秘密は何もない。

被害者がボランティアを目的として入国したとすることについて、その内容の実際が、30代独身女性が個人的に自分のアパートで行っていた10代の男の子限定の物資の提供等であったり、高校を卒業したばかりの海外渡航未経験の未成年者による劣化ウラン弾の絵本書き(なお、この者は出版未経験者であった)のための取材がメインであったことがわかるにつれ、ボランティアとは何かとの論争を起こすきっかけともなった。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E4%BA%BA%E8%B3%AA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

このようないいかげんなボランティアごっこをするために、<ライオンがロバの仕事をしている。ロバが行ったら襲われる>(http://d.hatena.ne.jp/spanglemaker/20041218/p1)と自衛隊が武装して復興支援に行くほどの危険地帯にのこのこ出かけ、捕まったら自らを省みず、救出のための合理的な思考もしないで、ただ自衛隊派遣が悪いと政治的な主張ばかりやたらとする。世間のひんしゅくをかうのは当然で、「三馬鹿」と言われるのはやむを得ない。

しかし、著者は彼らのことを馬鹿と言うのは不満らしい。「炎上」の秘密をこう推測する(P.129-130)。

 人質事件が起こった当初、ネット上では「今度は東京が狙われるかもしれない」「次は都庁かも。9.11同様、象徴的な建物だから」「京都も危ない。なにせ異教徒の街だから」といった書き込みが多く見られました。それまで政府や報道によって築かれていた「自衛隊や日本人は他の国々に比べ、イラクの人々に歓迎されている」「日本人は、危険なところに足を踏みいれることはない」というリアリティが崩れ、自分を含めた「日本人」がターゲットになったという衝撃から社会的不安が増大する。こうしたパニック状態において、次のターゲットを予測するような恐怖流言も多く飛び交いましたが、しかし多くの人が聞きたかったのはそのような流言よりも、「君は心配ない」「あいつのせいだ」と囁いてくれる甘い言葉の方でしょう。

 しかし、単に「日本人が狙われたが、たまたまあいつらの運が悪かったんだ」という合理化では、「今度はたまたま自分が狙われるかもしれない」というテロの可能性を否定しきれませんし(なぜなら、「テロの可能性」というのは常に潜在的でイレギュラーなものであり、その可能性は誰にも否定できないからです。その点においてこの「テロの可能性」というスローガンは最強の説得力を持ちます)、事件があまりに「非日常的」すぎて、日常感覚を回復するには至らない。できれば「狙われたのは日本人ではない」と言いたいし、解決策を検討するにはあまりに問題が大きすぎるのでさっさと手を引きたい。その際、自分を不安に陥れた人を名指しし、責任を取らせることができれば言うことなしです。

なんと、著者の人はあの事件のさなか、「次は自分がテロのターゲットになるかもしれない」と恐怖心を抱いていたという。そして他の人もそうだと考え、だからバッシングで不安を解消したのだと考察する。

確かに、「エコーチェンバー」は存在する。ネット社会になって情報が溢れても人は見たいことしか見ず、選別した情報で自分の考えを増強していく。

著者は自分自身がエコーチェンバーに入っていることに気づいていない。あの事件のとき、「今度は東京が狙われるかもしれない」などという発言が多数なされたという記憶は私にはない。著者にだけそのような書き込みが選別的に心に届いたのだろう。

イラクで日本人を誘拐したテロリストが東京でもテロを起こせると考えるとは、どのようなリアリティの世界に著者はいるのだろうか。彼らにとって、9.11以降の世界は、恐ろしいテログループが世界を狙う恐怖の時代で、対テロ戦争はその凶悪なテロリストを刺激し、世界じゅうにテロを撒き散らす、まったくの愚行だということなのだろうか。

そういえば以前、自衛隊イラク派遣を続けると「日本が焦土になる」と言った人がいた(http://obiekt.seesaa.net/article/29501363.html)。それは特異な発言ではなく、サヨクの世界では実はありふれた懸念だったということなのかもしれない。

ジェンダーフリー批判は、私にはおよそ「炎上」しているようには見えない。確かに批判サイトはいくつかあるが、ジェンダーフリーをとなえたぐらいでブログが炎上したなどという話は聞いたことがない。著者としては、批判があること自体が不満なのだろうか。あるいは、ジェンダーフリーサヨクの間でしか広まらないことに不満なのだろうか。

これについては、著者は本書で持論を長々と述べることはせず、他の本やWEBサイト(http://seijotcp.hp.infoseek.co.jp/genderfreeQandA.html)を紹介するにとどめている。それはいいのだが、このような書き方は知的に誠実な態度とは言えないということは指摘しておきたい(P.147)。

それまでは「自由主義史観研究会西尾幹二らと共に「新しい教科書をつくる会」を設立した藤岡勝信が設立した団体)や「世界日報」(統一教会系列の新聞)などの、内容的にトンデモなサイトのみが上位に表示されており、バランスに欠くと思ったからです。

google検索で上位に来る批判意見を、内容にまったく触れず、「誰それが書いているからトンデモ」と言い切るのは、たちの悪いレッテル貼りだ。こんな言い方がOKなら、ジェンダーフリーなどフェミニズム共産主義である。何しろ反対意見は「バックラッシュ」(反動)なのだから。よほど彼らは「保守反動」と言われるのが怖いに違いない。

福島瑞穂氏は、確かにネットではよく叩かれている。しかし、これも「炎上」なのだろうか。福島瑞穂氏を擁護すると「コメントスクラム」が沸き起こるのだろうか。この人を擁護する意見というのをネットで見たことがないので、私にはそれは分からない。

ただ、確かに、福島瑞穂氏の発言と称してデマが流れているのは問題だ。いくらこの人がバカ発言ばかりしているからといって、デマで叩いたらフェアではない。

朝生でなされたという「警官」の話は、確かにデマということでいいようだ。現在に至っても当該の動画が発掘されたという事実はない。同じくデマ発言とおぼしきものに「スイス」と「在日米軍」がある。「在日米軍」のはデマというよりジョークか。

福島 「ですから、日本はスイスのような平和中立国を目指すべきなんです」
田原 「スイスは国民皆兵制で、一般家庭に自動小銃が有る国だよ。」
福島 「いえ、例えばスウェーデンみたいな中立国もあるわけですし・・」
田原 「スウェーデンはナチに協力して中立を守った国だし、今では武器輸出大国だよ。」
福島 「えーと、ベルギーのように歴史的に中立を貫いた国もあるんです。」
田原 「ベルギーみたいに何度も外国軍に蹂躙されてもいいの?」
福島「でも、侵略するより侵略される方がイイですし…」

アナウンサー:「在日について、社民党へのインタビューです。在日の存在についてどうお考えですか?」
福島代表:「日本人はその存在を認める必要があるでしょう。共存するべきです」

アナウンサー:「たくさんの日本国民の税金が支払われている問題については?」
福島代表:「日本国内に存在するのだから、日本の税金が使われるのは当然です」

アナウンサー:「本来日本人の土地を使用している問題については?」
福島代表:「今更、出ていけとは言えないでしょう。現実を受け入れるべきです」

アナウンサー:「政党の一部には、国外追放を主張するなど過激な意見もありますが?」
福島代表:「嘆かわしいことです。自分たちが気に入らないからといって、そういう荒唐無稽な公約を掲げるような政党は国民の信頼を失うでしょう」

アナウンサー:「しかし、犯罪なども多発しており、住民や国民の不満が鬱積しています」
福島代表:「日本人にも犯罪者はいます。犯罪多発を理由に外国人に出て行けという主張は人種差別であり人権侵害です」

アナウンサー:「以上、在日米軍に対する社民党のコメントでした」
福島代表 :「ええっ、ちょっと待って!!!!!!!!!!!!!」

ただ、困ったことに、福島瑞穂氏のバカ発言はぜんぶがぜんぶデマではない。「B-52発言」は国会議事録にソースが存在する。

福島瑞穂の空母からB-52が離陸する発言はホントなのですか?

はい、本当です。2001年11月15日参議院予算委員会で、そのように発言しました。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/153/0014/15311150014006c.html
上記リンク先の議事録に記録が残っています。記事中を「艦船」か「52」で検索してみましょう。

ただ、この発言については、福島女史が「艦船から爆撃機が〜」もしくは「ディエゴガルシア島からB52が〜」と、言おうとしたところ、ついごっちゃになって「艦船からB52が〜」と、口を滑らしてしまったものと私は想像しています。
恐らくは、誰にでもよくあるただの言い間違えであって、B-52という単語をあえて使っている事からも、B-52がどのような飛行機であるか程度は知っていたと思われます。
ですから、あまり、何年も責め立て続けるのは可哀相な気がしないでもありません。

…とか、私がとても言える立場では有りませんが。

http://www.masdf.com/news/zaaki.html

結局ここでも、DQNが叩かれているだけであって、不思議な「炎上」というのは特にない。デマはよくないけど。