アカルイつうつ生活(その3)

アカルイうつうつ生活   「うつ」と上手に付き合う40の知恵 (知恵の森文庫)

アカルイうつうつ生活 「うつ」と上手に付き合う40の知恵 (知恵の森文庫)

うつは忘れた頃にやってくる

91ページから上記の節がある。

抗うつ薬って効くの?」で何をもって「うつ」が治ったとするかあいまいなまま、とにかく「薬だけじゃ治らない」と書いてあってどうしたものかと思ったが、ここまで読んでやっとそれに関する文章が出てくる。

で、結論はというと、92ページ。

 このように、どこで治ったと思うのか、というのは人それぞれなのである。

「人それぞれ」って、結論になってない。

医師はもう少しはっきりと目標を設定している。その一例が冨高辰一郎:『なぜうつ病の人が増えたのか』の144ページに書かれている。

なお、ここでの”回復”の定義は、「抑うつ、不眠といったうつ病の症状がほとんどなくなった状態」というレベルである。「病前と同じように仕事ができる」といった社会機能までは評価していない。

この目標をクリアできるのが長くて「半年から一年」。それをもって医師は「治ります」と言っている。こう考えるのがよさそうだ。

というか、ジャーナリストというのはこの辺のあいまいな問題をインタビューや文献調査で明らかにしていくのが仕事じゃないかと思うのだが。

経験的に、うつ病は治るかといわれれば、「適切な治療で症状は改善し、普通に生活できるようになるが、発病前よりはストレスに弱くなっているため、今後なにかと注意が必要になる」ぐらいに私は答える。うつ病は根治を目指すのではなく、生活習慣病のように、上手に付き合っていく病気だと考えている。

もちろんこれは、ストレスで発症する従来型うつ病の話で、産後うつだとか「新型うつ」だとか双極性障害だとかパーソナリティ障害にともなう抑うつ状態とかはまた違ったものだと思うけれど。

「現在の精神医学は「再発の可能性がない状態に至っている」と判断する方法を持っていない」(『こころの科学』の2009年7月号)というのも重要な事実で、調子がよくなったからといってそれが将来ずっと続く保証がないというのがこの病気のやっかいなところ。

うむ。本にツッコムというより、内容を自分が調べた情報で補足してしまった。

それはいいが、93ページ。

 また、かなり症状が軽快してきた人(この状態を寛解期という)でも、安易に治って良かったと手放しで喜ぶのはどうかと思う。

 なぜなら、うつになりやすい人は本来的に気持ちのアップダウンの波が大きいと考えるからだ。

「おっ、いい調子だな」

 と思ってはしゃぎまわった翌日には、ドヨーンと気持ちがダウンしてしまい、

「もう一生治らないんじゃないだろうか」

 なんてことを思って、かえって絶望感を強めてしまう危険性が高い。

ここに書かれていることに当てはまる人がいたら、双極性障害の可能性がないか医師に相談した方がいいと思う。

世間で言われる、うつ病にかかり易いとされる病前性格は以下のようなものだ。

 うつ病になりやすい人がいます。うつ病はあるタイプの人を襲うのです。すなわち真面目、責任感が強い、仕事熱心、几帳面、正義感が強い、頼まれると断れない、人との争いを嫌う、人の思惑を常に気にする、こういう人が危ないのです。すなわち一見して心やさしい、いい人を襲うのです。

http://www.kenkoigaku.or.jp/html/health/health1003.html

「うつになりやすい人は本来的に気持ちのアップダウンの波が大きい」などという話は聞いたことがない。他では見たことがない珍説だ。何を根拠にこう書いたのかぜひ知りたい。

こんなことを書くぐらいなら、「うつ病は病前の性格によらず、誰でもかかる可能性がある」と書く方がよほど正確だろう。「病前性格」には異論もあり、あれは性格ではなくうつ病の症状の出始めだという話もある。

調子がよくても無理をすると後になって調子を崩すので気をつけよう、というのは経験的によく分かる話なので、それ自体に異論はないのだけど。

プチ課題を見つけよう

150ページからはこんな節。「うつ」で休職中、退屈してきたら、仕事に戻る前にリハビリで小さい課題を設定してそれをクリアする体験を積んでいきましょうという話。

で、151ページ。

 オススメなのは図書館通い。

これはマジお薦めで、私もカウンセラーの指導で復職前に毎日図書館に通った。

それはいいのだが、今年になって著者はブログで図書館を批判している。ブログは削除されているがgoogleのキャッシュで拾えた。

図書館印税については、前にも考えたことがあるが、やっぱり著作権者としては納得がいかない。
確かに、私も図書館は利用する。
本屋に売っていない昔の本などを検索するのは仕事の一部だと言ってもいいだろう。
公共施設として、図書館が果たしている役割を否定はしない。

ただ、販売部数によって生活費が左右される身にとってみれば、図書館で新刊がいつも借りられている、
という現状は、ちょっと「待ってくれよ」というのが偽らざる本音だ。

http://ameblo.jp/utsunekotei/entry-10677720076.html

血を流すようにして書いた本を、タダで回し読みされたら、やっぱり「ちょっと待ってくれ」と言いたくなる。

http://ameblo.jp/utsunekotei/entry-10677720076.html

自分の本の売れ行きが思わしくないものだから、図書館に八つ当たり。

だがちょっと待ってほしい。私が上野玲氏の本に出会ったのは、上記の図書館リハビリのときのことだ。そこで『日本人だからうつになる』を読んだ。この本は割と気に入ったので、「上野玲」という名前を覚え、以後、『誤解だらけのうつ治療』、『アカルイつうつ生活』、『うつは薬では治らない』、『都合のいい「うつ」』の4冊の本を購入した。

図書館は確かに本の売り上げを落とす影響があるかもしれないが、図書館で著者の名前を知って、本を購入したくなる利用者も少なくないのではないだろうか。

図書館で名前を知った著者がかくも安易に図書館を非難しているのを見て、正直がっかりした。

続きます。