生命史35億年の大事件ファイル―生命創造から人類出現まで (ニュートンムック Newton別冊)
- 出版社/メーカー: ニュートンプレス
- 発売日: 2010/11/27
- メディア: ムック
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オールカラーのムック本で多少値は張ったが、興味のあるところをピンポイントで突かれたので買ってしまった。
昆虫の翅の起源
昆虫が翅をいかにして獲得したのかが考察されている。「側背板起源説」と「えら起源説」があるとのこと。このうちえら起源説が有力らしい。
水中で生活するために獲得した「気管鰓」。これが能率的な呼吸のためにやがて動かせるようになり、動かせることから水中を移動するためのヒレになり、ついに空を飛べる翅になったという。
これならば翅が完成されるまでの途中段階でどう機能していたか説明できるし、翅そのものに翅脈があることも納得がいく。また、翅のある昆虫の中で比較的原始的なカゲロウやトンボの幼虫が水中生活をしていることとも整合する。
昆虫の祖先はカブトエビに近縁な甲殻類だったと言われる。カブトエビは淡水に棲みエラをもつから、分岐した昆虫の祖先もエラを持っていただろう。
しかし、彼らは一度完全な陸上生活になり、エラを失った。一度なくした器官は二度と復活しないのが進化の法則。昆虫は再度水中生活するために、改めてエラの代替器官の「器官鰓」を獲得した。突出した皮膚の下に気管を張り巡らせた器官。これがやがて翅になり、昆虫に空を飛ぶ力を与えて、とてつもない繁栄をもたらすことになるとは、なんとも数奇でドラマチックなストーリー。
哺乳類は両生類から直接進化した?
92ページ。
三つの動物群のうち,最も古くから出現していたのが「単弓類」である。単弓類は,およそ3億1000万年前の古生代石炭紀に両生類から分岐したグループで,のちに哺乳類を生むことになる。いわば,「哺乳類の祖先」といえる。
はっきりとは書いていないが、これだと、哺乳類は爬虫類とは別途羊膜を獲得し、爬虫類との共通祖先を経ることなく、両生類から直接進化したと読めなくもない。金子隆一:『大量絶滅がもたらす進化』にも同様のことが書いてあったが、やはりそれが最新の知見なのだろうか。より多くの情報がほしい。
恐竜絶滅は隕石説
とはいえ、恐竜絶滅に関しては、この本はかなり強く隕石説を支持している。1990年代以降の研究で、やはり恐竜は徐々に衰退したのではなく、白亜紀末に突然滅んだと考えられえるとのこと。
金子氏が支持する火山説の運命やいかに。