旧豊郷小学校

滋賀県犬上郡豊郷町にある豊郷小学校の旧校舎は、昭和12年に古川鉄治郎氏により寄贈された大規模なコンクリート建築。設計はアメリカ人のウイリアム・メレル・ヴォーリズ氏の手によるもので、町のパンフレットによると「白亜の小学校」、「東洋一の小学校」と称されたという。

1999年から、建物の老朽化と耐震性の問題から解体の話が持ち上がり、旧校舎に愛着のある地元から強い反対に声が上がって大きい論争となった。結論として、旧校舎は改修して存続させることとなり、小学校そのものは隣接して建設された新校舎に移転した。

この歴史的建築物はぜひ一度見てみたいと考えていたが、今回たまたま金曜日に大阪出張という話があり、それではと、大阪に一泊して帰りに寄って見学してきた。

豊郷小学校旧校舎は、このとおり堂々とした立派なコンクリート建築である。

素朴な四角形を左右対称に組み合わせた形状は機能的にも構造的にも明快で合理的。そして細部に繊細な装飾が施されており、レトロな窓や扉などと相まって、美しいたたずまいと懐かしい趣を醸し出している。

屋内はこのように、床張りと窓枠、ドアが木製で、コンクリート建築にもかかわらず独特の暖かみがある。自分も木造校舎の小学校の出なのでとても懐かしく感じた。

こちらは建物中央3階にある音楽室。今にも合唱の声が聞こえてきそう。

階段の手すりには「兎と亀」の逸話にちなんだブロンズ像が置かれている。途中でウサギが眠っていて、頂上に一番乗りしたのがカメ。もちろん、児童に教訓を伝える意味合いがあるはず。ちなみにカメはニホンイシガメの特徴をよく再現してある。

と、まるで建築マニアの紀行文のフリをするのはここまでにして。

もちろん今回ここを訪れた意味はアニメ『けいおん!』の聖地巡礼である!

2009年の初回放送の時点で、「あれって確か壊す壊さないで揉めた滋賀県の小学校だよな」と思った。2chのスレを覗くと確かにその通りだと分かった。ああ、関西の人はすぐに行けるところでいいな。機会があればぜひ自分も、と思った。

それから早3年。実は去年の春分の日の3連休にでも行ってみる予定を立てて電車の時間とか調べてあったのだが、その前の週に大地震があって無期延期になっていた。

今回交通費会社持ちで行けることになったのは僥倖である。

ただし、日程が自由にできないので天気は選べない。近江鉄道豊郷駅に着いた時にはとんでもない土砂降りだった。

それでも、電車を一緒に降りた3人ばかりの見ず知らずの同志たちと適度に距離を保ちつつ歩くこと10分程度、ついにあこがれの旧豊郷小学校に到着した。

アニメの設定と同じく、建物中央部分の3階に音楽室がある。

ただし、軽音部の部室になっていたのは、左手の準備室(兼会議室)。アニメでも、よく見ると正面の音楽室ではなく左の準備室の方に出入りしている。1話では音楽室の方も出てきたが、部屋の中はちゃんと上にある写真のような感じになっていた。

その音楽準備室の扉から中を覗く。

突き当たりの壁はアニメでは改変されている。実際には屋上に出るための扉があるが、アニメではこれはないことになっていて、窓が設置されている。

部屋の中には、机を4つ合わせて軽音部員のお茶会の舞台が再現されていた。

ひところのようにギターが並べられているということはなかった。

ファンの寄贈の品はこんな具合でまとめて展示されていた。あと、物置部屋の方にさわ子先生お手製という想定のコスプレ衣装とか皿とかタペストリーとか色々なものがどっさりあった。

長椅子は今回壁際に置いてあって、生徒の名前の入った上履きがなかなかにリアリティを出していた。椅子の上の名札は2期OPで各キャラが持ってたのを再現したもの。

アニメとちがって、長椅子に青いクッションを貼ったものはなかった。

反対側にはアニメと同じく黒板が。ただし五線は入ってない。HTTの練習はこのあたりでしていたことになる。

ドア付近の廊下の床。半円の線はドアがつけた擦り傷ではなく、この範囲でドアが開くという注意を促すために引かれたものだった。教室の扉が蝶番式のドアというのは珍しい。古いコンクリート建築なので開口部を狭くするためと思われる。

文化祭のライブや入学式、卒業式の舞台となった講堂。

この日はたまたま有志によるライブ演奏が行われていた。

折に触れコスプレさせられていた銅像。人物は校舎を寄贈した古川鉄治郎氏。

銅像をコスプレさせるのは京都大学の伝統行事が元ネタだろうw

http://matome.naver.jp/odai/2132413509812735501

学校の外では、地元の商店が「けいおん!」のポスターを掲げて訪れるファンを迎えていた。

それにしても、この和服のポスターはいつ、どういう経緯で作成されたものなのか。どのキャラの絵もとても素晴らしい。

帰りに豊郷駅で電車を待っていると、広告看板のうち4枚が萌え絵になっていた。まさかのリアルpxiv。

なお、このあたりの近江鉄道は新幹線に沿って走っているので、すぐ向こうにその高架が見える。当然新幹線からも注意してみると豊郷小学校の旧校舎が見える。

もういっそ、豊郷に駅を作ってのぞみも止まるようにしてほしい。

最後に、けいおんとは関係ないけど、前からあった疑問の答えが見つかったので紹介。

新幹線で米原から先に行くと、水田の間にところどころ、溝を掘ってレンガを積んだ構造物が見られた。何かと思ったが、農地に水を汲み上げる揚水ポンプ場だと分かった。

ここでは「砂山揚水場」と「滝ヶ池揚水場」が紹介されており、最初に備え付けられたポンプが復元されて、写真のように展示されていた。