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ヘリコバクター・ピロリ菌を除菌した話

日本では中高年の過半数ヘリコバクター・ピロリ菌に感染しているという。過去に検査してもらったところ自分もそうだった。

ただ、感染していても自覚症状は特になく、まあ胃が丈夫なほうではないが主な原因は早食いの習慣のせいだと思っていた。

が、定期健診で内視鏡検査が必要となって考えを改めた。このままでは今後も内視鏡検査を受けさせられる。

さらに、内視鏡で見てもらったところ、レントゲンで指摘された胃潰瘍などはないものの、明確に萎縮性胃炎が確認できるというので、ピロリ菌除菌をはっきり勧められた。モニターに映る血管が浮き出た胃壁を見せられてはたしかにたまらない。ピロリ菌のせいで胃の老化現象がこれほど進んでいたとは。

ちょうど近所の内科医院でピロリ菌除菌をしてくれるところがあるので相談。血液検査で保菌者であることが再度確認できたので、やってみましょうということになった。

第一段階の治療は、一週間の服薬。詳細はネットにいろいろ情報がある。

手元のお薬手帳によると処方薬は以下の通りで、これを朝夕食後、1日2回服用すべしとある。

タケキャブ錠は制酸剤で、胃酸を抑えて他の薬の効果を高める。現在H2ブロッカーが市販されているが、タケキャブはそれ以上に効果の高い制酸剤。

サワシリンカプセルとクラリス錠は抗生物質。ピロリ菌だけに適用されるものではなく、一般的な薬。ただ、その量はご覧の通り多い。

ミヤBM錠は整腸剤。乳酸菌の錠剤で、同様の薬は薬局でも買える。

要するに胃酸を抑えてそこに抗生物質を大量投入するという作戦。副作用で下痢することがあるので整腸剤も飲むというもの。

もちろんこれだけの抗生物質を飲むので副作用が懸念される。薬局での説明によると、飲んですぐひどい下痢になった場合と、蕁麻疹が出た場合は服薬を中止するようにとのこと。軽度の下痢や服薬終了間際の軽い蕁麻疹であればそのまま薬を飲み切ってよいという。

ということでその後一週間服薬開始。ともかく薬の量が多いので大変だった。しかし、下痢などの副作用はなくて済んだ。胃酸が極度に抑えられたせいか、食後の胃のこなれが悪いような感覚はあったが、日常生活に支障はなかった。

飲酒については特に制約はなかったが、1回、夕方に付き合いでビールを1缶飲んだ程度にとどめた。

1回目のピロリ菌除菌の成功率は約75%と言われる。失敗する原因の第一は薬の飲み忘れ。長いこと向精神薬を飲んできたから、そういうのはないと思っていたが、念のためアドポート「ピロリ菌編」に登録し、服薬する時間にスマホにメールが届くようにしておいた。おおむねメールの必要はなかったが、1度だけメールで気づいて、食後1時間ぐらいで薬を飲むことができた。

アドポート「ピロリ菌編」はその後閉鎖。残念。

武田薬品工業のピロリ菌に関するサイトは現存するので、そこから服薬を記録するPDFがDLできる。

http://www.pylori-story.jp/

服薬を終えて一か月以上の時間を置いてから、再度内科受診。ここで除菌の成否の検査。方法は尿素呼気試験。1錠の錠剤を飲んで30分待機、呼気を袋に詰め、これを検査機関に送って調べる。結果が分かるのは数日後。

検査の原理は、炭素に同位体C13を使った尿素を服用し、呼気のCO2にC13が含まれる割合を確認するもの。ピロリ菌は胃酸を中和するため、尿素が胃に入るとすぐにそれを分解してアンモニアを生成する。このとき同時に生じるCO2はすぐ体内に入り、呼気に排出される。このため、炭素のC13の割合を天然存在比より極端に多くしておけば、それが尿素の分解を確認するマーカーになる。

検査結果はピロリ菌陰性となり、幸い第一段階で除菌に成功した。

今後は、ピロリ菌による胃酸の中和がなくなり、また胃粘膜も再生してくるため、胃の調子が良くなるはずだと医師の言葉。このため、体重増加に気をつけること、逆流性食道炎などが生じる可能性があることなどが注意された。また、胃潰瘍胃がんのリスクは減るが、ストレス性胃炎は除菌後も生じる可能性があるとのこと。

実際のところ、除菌後に自分の体調がどうなったかというと、以下の2点が除菌の効果かなと思う。

体重の減少が止まった
うつ病で休職中73kgに増えた体重は仕事復帰後減り続けていたが、最近61kgで下げ止まりになった。休職前は59kg程度だったので当時より2kg増で落ち着いている。
酒を飲んでもしゃっくりが出なくなった
特に日本酒を飲みすぎるとしゃっくりがひどくて困りものだったが、除菌後まったく出なくなった。宴会で苦しい思いをすることが減ったが、逆に酒量を自覚的に抑えないと醜態をさらすことになる(笑)。メンタルにもよくないので、飲酒の抑制が今後の課題。

医師からは再感染の防止についても指導された。まず吐しゃ物に触れないこと。さすがにこれは常識。あとは井戸水に気をつけること。神社の手水なども飲むのは控えるようにという。逆に言うと、自分が感染したのも多分、親から受け継いだか、井戸水のせいかのどちらか。手水は手に取ってから口をすすぐときに、飲まないよう気をつけている。今のところ再感染したという感じはない。

さて。除菌後約1年になる。定期健診の結果はどうだったか。またも「胃炎」。しかし、レントゲンによる写真判定胃潰瘍だったものが萎縮性胃炎止まりだった過去の事例からして、これはかなり安全側の診断と思われる。実際、内視鏡検査せよ、というものではなかったので、自覚症状がなければこれは気にしなくてもいいかな、というのが今の考え。

内視鏡検査が必要とたびたび言われるようだと、何のためのピロリ菌除菌だったのか、ということになるが、それはまだしばらくしないと分からない。