ブラック・ブレット

やなぎなぎの2枚目のアルバム、『ポリオミノ』がハイレゾで配信されているので1年あまり前に購入した。「アクアテラリウム」、「三つ葉の結びめ」(凪のあすから)、「Rainy Veil」(グリザイアの果実)と知っているアニソンが3曲連続していて、特にそこを中心に効いていたが、通して聴いてもなかなかよいものだと思うようになった。

特に、2曲目の「トコハナ」がかっこいい。

調べてみたらアニメ『ブラック・ブレット』のED曲だという。

ようやく連休で時間がとれたのでDVDを借りて一気に見た。

レンタルでも映像特典と副音声の特典がある。副音声は声優が自由に話すもので、作品を2度楽しめる。時間がない時だと副音声を全部聞けないところだが、連休なので完走できた。

ライトノベルが原作のちょっとダークでイケメンと幼女が出るアニメかな。ぐらいの認識で当初いたのだが、最後まで一気に見たらこれはやられた。

最後の最後に作品の印象が一気によくなり、細かい粗が気にならなくなるレベル。

2014年泣けるアニメオブ・ザ・イヤーノミネート待ったなし。

作品に確かに粗はあって、SFとして見たら設定はどうということはなし、悪役がなんとも小物臭くてあんまり脅威に見えない。

作品上の脅威はガストレアという怪物で、主人公たちはそいつらと戦うのが主な役割だから人間の悪役はあまり重要でないのかもしれないけど、軽くイラっとくるレベルの悪人が出るのはちょっとひっかかる。

というのはあるけれど、作品全般を通して描かれる幼女の魅力的なことといったら。全年齢対象の作品として描ける限りのひどいことが幼女たちに降りかかるが、そこにも制作者側の愛情がひしひしと感じられてたまらない。

もちろん主人公里見蓮太郎は小学生の相手をさせたら最高の梶裕貴

前半の幼女はティナ・スプラウトちゃん(黒沢ともよ)がメインヒロインの座を奪うかに見えるが、後半の延珠ちゃん(日高里菜)の巻き返しもすごい。他に悠木碧小倉唯という幼女声優のビッグネームが登場。

幼女をかわいく描いたりひどい目にあわせたりするのは、ただそういうシーンを並べただけでは視聴者の願望をその場その場で充足させているだけで、それだとむしろ見ていて後ろめたくなってくる。

そこで、視聴者がキャラクター描写にのめり込むために必須なのが「物語」という構造物。

実はこの作品はそこが一番気になったところ。やなぎなぎが「トコハナ」を作詞するにあたり、原作を読み込んでかなりのこだわりを持って臨んだという。

ちょっとした必要性があって仏教の入門書を一冊読んでみたのだが、長く生きててそれでようやく蓮の花が仏教でどのような意味があるのかを理解した。

ということがあってから「トコハナ」を聞いて歌詞に改めてびっくりした。

多分にそういう先入観のもとに作品を見たので、あるいはバイアスが妙にかかっているのかもしれない。

だけど思う。このアニメ作品は宗教的逸話を軸に出来上がっている。

ハリウッドの映画も多かれ少なかれ宗教的モチーフが取り込まれているので、これは別に当たり前のこと。『ブラック・ブレット』だけが特別なアニメということはない。

とはいえ、ほとんどテーマがブレることなく話が出来上がっていることはさすがプロの仕事だと思う。

その、「幼女を愛でる俺ら」に鑑賞行為の正当性を与えてくれる物語のテーマとはなにか。末法の世にあって正しく生きるとはどういうことか。これではないか、というのが私の印象。

それにしても、堀江由衣さんのパイナップル柄のサマーニットとはいったいどんなだったのか。それが気になってしょうがない。