『ストライクウィッチーズ』第10話「信じてほしい」
ストーリー
人型ネウロイと接触した芳佳は、それを撃墜せよとの坂本少佐の命令を拒否。代わって攻撃した少佐は反撃にあい、魔力の衰えからバリアが効かないこともあって重傷を負ってしまう。
坂本少佐は基地に収容されるが予断は許されない状態。独断専行して少佐の負傷を招いた芳佳をペリーヌは厳しく責める。しかし、少佐を助けるには芳佳の治癒魔法が必要だと後に悟る。
ペリーヌの看病と芳佳の魔法で峠を越え、意識が戻る坂本少佐。しかし、その右目はもう魔法の力を失っている。
ミーナ中佐が芳佳に罰を処す。10日間の自室禁固。
しかし、人型ネウロイの謎を突き止めたい芳佳は刑が明ける前にストライカーユニットを装着して飛び立つ。ネウロイと戦わなくてよくなるかもしれない。
芳佳の離陸を確認した司令部は501に撃墜命令を下す。夜明けの空、大陸に向かって飛ぶ芳佳、それを追うミーナ中佐達。その前に「ネウロイの巣」が立ちはだかる…
視聴コメント
解説
10話は鈴木貴昭氏の脚本。ミーナ中佐の司令官としての仕事がよく描かれている。
9話からの芳佳の行動は兵隊として色々アウトなので、そこをきっちりフォローしないとミリタリーものとして締まらない。
軍隊では統率に関する規則は厳格に守る必要があり、それを乱した場合には相応の罰が下されなければならない、ことになっている。ミーナ中佐が軍法会議を望むか云々と芳佳に尋ねるあたりがそれ。当人の希望により隊内の処分を望み、隊として自室禁固刑を下した、という形式で一応決着となる。
形式上規律には厳格に。しかし事実上はかなりの温情措置。こんなさじ加減の話は軍事監修の人ではないと書くのは難しいだろう。
現実世界で同様のことというと、アメリカのジェンキンス元軍曹が挙げられる。1965年に韓国の軍事境界線の警備中に北朝鮮に渡った。その後、日本人の拉致被害者の曽我ひとみさんと結婚。子供をもうけ家庭を築く。曽我ひとみさんは2002年に先に帰国を果たし、その後2004年に子供をつれてインドネシア経由で日本に移住。
ジェンキンス氏がどういう経緯で北朝鮮に渡ったのかは、今も公にはされていない。ただ、テレビ放送で自分から北に渡ったと証言させらられており、他の証拠がない以上「拉致された」とは断定できない状況にあった。
来日したジェンキンス氏は在日米軍のキャンプ座間に出頭、不名誉除隊に処され二等兵に降格されるとともに、30日の禁固刑を言い渡された。
職業軍人として既に定年の歳であっても、形上脱柵者である以上、刑を下さないと軍隊としての体面が保てない。こういったことが、ジェンキンス氏に下した米軍の処遇からうかがえる。
人型ネウロイは確かヤマグチノボル氏の小説3巻で出たと記憶する。4巻以降でネウロイの謎が明かされるかと期待されたが、惜しいことに著者が鬼籍に。
ストライクウィッチーズはグループで制作しているから、どこかに詳しい設定はあるのだろうけど、本作の主題は「ネウロイとは何か」ではないので、今後も正体がはっきりすることはないと思われる。
エースパイロット列伝
エイノ・イルマリ・ユーティライネン
1914年2月21日生。フィンランド空軍の戦闘機パイロット。
1939年に勃発したソ連との戦争を戦い、94機+1/6の撃墜数を記録するエースとなる。
戦争を生き延びたが戦後は軍には残らず、最終階級は准尉。
その戦果に比べ、戦闘時の損害が7.7mm機関銃がかすっただけ、というわずかなものであり、「無傷の撃墜王」との異名をとる。
名前からして完全にエイラのモデル。エイラの魔法能力は未来予知で、少しだけ未来が見えるので敵の攻撃を避けることができる。これは「無傷の撃墜王」にちなんだ能力。
ストライカーユニットがカールスラント勢と同じBf109であるのは、ドイツから輸入したこの戦闘機で戦ったから。
それ以前は、冬戦争ではフォッカーD-21、継続戦争ではブリュースター・バッファローという、二線級の戦闘機で戦っている。ソ連の侵攻を迎撃するというフィンランドの戦いではこの戦闘機も十分有用だったとのこと。
ソ連とフィンランドの戦争についてはいろいろ興味深いのでご存じないかたは調べていただけると嬉しい。
ユーティライネン准尉はフィンランドの英雄であり、フィンランド大使館の人はエイラというキャラクターについても認識しているとのこと。
一方、フィンランドのエースには「ついていないカタヤイネン」と呼ばれたパイロットもいた。ウィッチのカタヤイネンは映画に登場。
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