絵を描きたいと思ったら模写をしよう。
これは本当にはじめの一歩。
見本を写してみて、似ていればうれしい。似てないと残念な気がする。
何がよくて何がよくなかったのを考えて、次により似てる絵が描けたらまたうれしい。
絵を描く人はたいがいそういう経験を積み重ねてきていると思う。
苦手だと思う人との違いはたぶんそんなささいな経験の違い。
自分も絵のネタに詰まったときとかは手近な雑誌の写真とか模写してみる。
特に髪の毛や手や衣服の表現が苦手なので、写真を真似ると勉強になることが多い。
模写はなぜするのかというと、見本の何を見れば絵にできるのか、物を見る目を育てるため。
人は目で物を見ているようで見ていない。目で見た画像情報をそのまま見るのではなく、脳が処理したデータを見ている。
なので、見本を見ずに絵を描こうとしても思うように描けない。認識の過程で捨ててしまった情報を脳内から補うのは難しい。
見本を見て描けば、脳が捨てる前に紙に情報を写せる。それで絵を見本に似せられたら、見本を見る目が変わっているはず。そうやって練習して目を育てていくと、絵を描くということ以外にも役に立つことがあるかもしれない。
といってもいきなり模写は難しいと思われるかもしれない。
最初は別にトレスでもいいと思う。たとえば人の顔の写真にトレーシングペーパーを置いてなぞってみる。トレーシングペーパーを見本から離して見れば、人の顔のパーツがどういう大きさでどの位置にあるのかが改めて分かる。
見本にグリッドを置いて、マスごとに写していく方法もある。ポスターを描くときに下絵にグリッドを描いて写すというのはよくやることだし、生頼範義展に行ったら生頼画伯も、キャンバスにグリッドを描いて下絵から転写している過程が分かる展示があった。
他によく言われるのが、見本を上下逆にして、逆のまま模写するという方法。
ベティ・エドワーズ:『脳の右側で描け』にある手法で、これは、上下逆にすることで対象が何であるかを認識する脳の機能を阻害し、視覚情報が捨てられるのを防止する。対象が何であるかを認識しないようにすれば、ありのままの形をなぞるのはそれほど難しいことではない。
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とにかくこのエントリーでは、見本をそのまま写す方法だけ書く。描いた結果が芸術的かどうかはここでは気にしない。
結局自分のやり方も、見本の画像の2次元情報を紙の上に写しているだけ。
これにしても、顔を描くのを最後にして、顔以外をできるだけ見本の形そのままに写そうとした結果。
顔を描かないと紙の上に現れるのが人間だという認識があまり生まれないので、ドライに位置ごとの情報を描き写していける。
このとき頭の中で何をやっているかというと、この図のように、主要な位置のバランスを調整して絵が見本と相似になるようにしている。
腕みたいに目立つ直線があるときは、角度を合わせて、腕と頭の三角形が見本と相似になるように肘と手首の位置を調整する。あとはそれを目印に各部を位置を確認しながら書き込んでいく。上と下から描いたものが真ん中で位置が整合したりするとちょっとうれしい。
ある程度描き進んでいくと、人の顔だと頭が絵の中でどうあるのかが見えてくるから、そうなると、目鼻はあるべき位置が見えてくる。なので、あまり悩まなくて描ける。ちょっと人相や表情が似るような調整だけはやる。
なんだ去年の秋から同じ絵ばかりじゃないかというとなんなので先日の練習結果など。
改めて見るとやはり誤差が気になる…。
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