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宇宙よりも遠い場所 STAGE12

宇宙よりも遠い場所』STAGE12「宇宙よりも遠い場所

ストーリー

雪上車で往復3週間の旅に出る。雪原を時速6kmでひたすら進む旅。ブリザードのとき外に出たら一瞬で迷ってしまう。まさにそうして、報瀬の母は行方不明になった。

女子高生4人は一緒に来てもよいと誘われる。「少し、考えさせてもらってもいいですか?」と報瀬。「分かった」と隊長。

皆が報瀬のことを気にかけているけど、キマリ達は「行け」とも「行くな」とも言えない。報瀬もなかなか決められないでいた。キマリたちが話を聞くと、もしその旅に加わり、行きつくところまで行ったとして、今の宙ぶらな気持ちが変わらなかったらどうなるのか。もしそうだと一生この気持ちは変わらない。

観測隊が雪上車組の壮行会で盛り上がる一方、報瀬は吟に行くべきかを相談する。答えは「私にそれを聞くくらいなら、行かない方がいい」。吟は貴子の死が厳とした事実だと伝え、これは自分で決めるべきことだ、今までも自分で決めてきただろうと励ます。

自室に戻った報瀬は、持ってきた100万円のお札を1枚1枚並べ、そのために何をしてきたかをつぶやく。机には母の著書。思い出す言葉は「だって、お母さんが待ってる」。

翌日、4人は全員が雪上車に乗り、内陸旅行に出発する。動き出す雪上車。来る日も来る日も雪原を音と振動とともに移動。外は昭和基地とは別格の寒さ。もう南極の夏も終わりに近く、本当の夜がある。そして雪上車を止め、暖房のない車内で寝袋で泊まる。外は本格的なブリザード。報瀬の母が遭難したのと同じ吹雪の夜。

眠れず、キマリと話す報瀬。みんなと一緒に来られたから、南極が大好きと言うキマリ。「連れてきてくれてありがとう」。

雪上車の旅が続き、報瀬は心でつぶやく。「Dear お母さん、友達ができました」。

そして、目的地に到着した。民間南極観測隊が設営中の天文台。まだほとんど何もできてないが、「小淵沢天文台」と名前はもう決まっていた。その言葉を口にして、吟隊長は涙を流す。

キマリ達はそこで、雪洞の廊下や部屋を走り回り、貴子の遺品を探した。「一個でいい、報瀬ちゃんのお母さんが確かにここに来たって何かを…」。そして、凍りついた1台のノートPCが見つかった。PCには貴子と小さい頃の報瀬の写真。報瀬は一人で部屋に籠り、母のノートPCを起動した…

視聴コメント

  • 教室から始まる。
  • 回想シーンだ
  • 母親が殉職した報せが届いたということか
  • セーラー服で閻魔あいっぽい
  • 夢かも、と思って、それがずっと続いているとは
  • 珍しくOPなし
  • 「距離はないけどヘリで行ける場所じゃないから」
  • 南極大陸は内陸に入ると標高が高いので、多分そのせい
  • 髪の切り間違いは伏線か
  • オゾンホール観測気球
  • オレンジの服が鮮やかだな
  • JKからビールもらって飲みたいだけの人生だった
  • 報瀬から井上陽水的なセリフ
  • 隊長はまた南極の氷でオンザロック
  • 焼肉パーティー、南極だと皿の上で凍るなw
  • 報瀬と隊長のちょっと気まずい感じ
  • 「何かをするのが思いやりではない。何もしないのも思いやりである」(三宅日向名言集その6)
  • 「お互いほっとけるのもいい友達だよ」(鮫島料理長の名言)
  • よりもいの友情ストーリーは適切な距離感まで伝えてくるのがいい
  • バナナで釘
  • 昭和かw
  • 「お母さんも見てた?」「見てた。なんならその場で寝てた」
  • 不詳・宮嶋氏の「彼は寝た。いつでも、どこでも、誰とでも」を連想するw
  • 「きれいだよ」という最後の無線交信はきついな
  • 隊長これ、一生忘れられないだろう
  • 静から動の転換がすごい。遺品を必至で探すキマリ達
  • 自分の誕生日がパスワードだったとは愛情の深さに感動
  • そして…
  • EDも38番saya師のバラードという特別版

解説

雪上車で往復3週の内陸旅行。間片道10日、距離は500km程か。

EH101の性能を見ると確かに、ヘリコプターで往復できなくもない距離だが、ホバリング限界高度3307mでは性能に余裕がない。南極大陸は内陸に入ると雪の厚さが3000mを超える。南極で余裕がない飛行は命取りになる。

http://www.246.ne.jp/~heli-ss/pg1-eh101.html

南極アニメといっても夏隊で昭和基地の周辺が舞台なんだろうな、というのが当初の予想だった。しかし、12話まで来たら雪上車で本格的な内陸に行くという展開。ガチすぎてびびった。

とはいえ、昭和基地から1000kmの奥地にあるドームふじに、取材で行った本がある。不肖・宮嶋氏の南極本だ。ドームふじは氷が厚く標高4000mにあり、最低気温は-70℃になる。南極点に近いため、冬の極夜は昭和基地よりずっと長く続く。

初見では「不肖本やっぱり参照してんなー」と思ったが、西村淳氏の『面白南極料理人』を読んだらこの人はドームふじに行くだけでなく、そこで越冬していた。しかも行きは不肖・宮嶋カメラマンと同行という。まさかそんな限られた人々の間で2人も本を出すとは驚き。

ドームふじまでの1000kmは片道4週間かかる。ドームふじ越冬隊を運ぶ雪上車の旅は、しらせが昭和基地に着いてすぐ出発し、交代した越冬隊員を連れて昭和基地に戻るともうしらせの出航になる。

この旅程は本を読んでいて本当に気が遠くなる。

しかしなんと、日本の第9次越冬隊は往復5ヶ月、5200kmを走破して南極点まで到達している。

この雪上車で5ヶ月旅をするとか途方もない。

今回これを書くために見直してみて、貴子が行方不明になったのは雪上車とはいえ、天文台の看板が見える距離だと分かった。

雪上車で出発する直前、ブリザードで一時待機になり、その合間に観測所に戻ろうとして迷ったか事故にあったのかもしれない。

「多分、内陸の基地に忘れ物をしたか、足を滑らせたのだと思う」

というセリフの前半はまさかと思ったけど、見直したら本当に数メートルしかなく、貴子の性格なら「これは行ける」と思ってしまうかもしれない。

しかし結局はたどり着けずに迷ってしまい、交信を最後に消息を絶つ。

雪洞で遺体が見つからなかったので、忘れ物で戻ったとしてもたどり着く前だったのは間違いない。距離はそうあるとは思えないから、もしかしたら大人組の越冬中に遺体が見つかるかもしれない。

以下ネタバレ。

報瀬が打っていたメールが本当に送信してたというのがまず驚いた。それほど、母の死を受け入れられていなかった。心の中では生きていると信じていた。それがまず驚いたこと。

そして、PWが通って起動したPCで、自分が送信したメールを自分で受信する。

メールを受信する母が存在しないという事実を、こんな形で実感するとは、制作スタッフの巧みな仕掛けにさらに驚かされた。

多分、自分が出したメールを自分で読む、というアイデアはかなり早くから出てきていたのだと思う。それで、報瀬を主人公に話を組み立てようとしてつまづいた。いしづか監督はそこで花田氏に、彼女は主人公ではなく、その友達にするのがいいとアドバイス。これは話のテーマを「母の死」から「友情」にシフトする結果となり、より多くの人の胸を打つ話になった。

友情の話だけでもすごくズシンと来る作品だけど、この12話。報瀬が母の死を受け止める話はまた別格で感動的。

「お母さん! お母さん!」と叫ぶ声は、今までの強気の報瀬ではなく、一人の母を恋しがる子供でしかない。花澤香菜の演技もあいまって、この回は本気で泣いた。この文章を打っているときも胸が苦しい。

「連れてきてくれてありがとう」

一視聴者としても、そう礼を言わずにいられない。

ハイスピードよりもい

ハイスピード #よりもい 12話報瀬さん。10分ぴったり。なぜハイスピードで描くのか。1枚でも多く模写するためです(本当はイラストで何か漫画的なものを描ければと思ったんですが模写しかできませんでした)。sketch.pixiv.net

12話は出発を決意した報瀬さん。

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面白南極料理人

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