2月に昭和のくらし博物館に行ってきた。
『宇宙よりも遠い場所』で小渕沢報瀬の家のモデルになったという情報を得て行ってみたいと思っていたもの。
東急多摩川線というこのときはじめて存在を知った電車で移動。
下丸子駅で降りてネットの情報を確認しながら市街地を歩いて入り口を発見。
到着。
庭先に海苔が干してあったり籠が置かれていたり。
企画展、映画「この世界の片隅に」~すずさんのおうち展が開催されていた。
洗濯物なども映画を再現したもの。
談話室。館内は基本撮影不可だけど一部の場所は撮影できる。
壁に張ってある航空写真のコピーは片渕監督が『この世界の片隅に』制作中に参照していたものとのこと。戦時中の呉の航空写真などそうそうあるものではなく、おそらくアメリカのF-13偵察機が撮影したものの複製のコピー。
障子にも『この世界の片隅に』のイラストが。水口マネージャー様のファンアート。片渕監督のメッセージもありファンアートといっても公式公認。
2階には映画で参考にした道具や複製原画、すずさんの家のジオラマなどが展示。撮影は部屋の外のこの位置からのみ可能。
談話室ふたたび。縁側を通して庭を。
『宇宙よりも遠い場所』の3話でJK隊が作戦会議していた小渕沢家の一室に似てることは似てるが、家具も意匠もだいぶ違う。
といっても博物館入り口の風景はアニメで出た場面とよく似ていて、ここを参考にしているのは確実。ただ、普通に見学して、そこで得た知識でアニメの設定を作る、という程度と思われ、アニメの設定は相当ここと違っているので、取材先として名前が出なかったのも分かる。
撮影不可なので画像はないけど、仏壇もアニメに出たのと完全に同サイズ。
思いがけず2つのアニメの情報を得ることができた。
昭和のくらし博物館は昭和26年に建てられた民家を歴史的な博物館として改装・公開したもの。館長の小泉和子氏の実家で、平成8年に無人となったが館長が歴史的な価値があると判断して保存、平成11年に博物館として開館、平成14年に国の登録文化財に指定された(以上パンフレットより)。
私のような年代の人間が行くと、あまり歴史的な展示という感じがなく、すごく見慣れた家具や台所や玩具といったものがある。ミシンなど、「あ、うちの母親もこういうミシンで内職してた」とか話をしたりした。
で、ふと、でも今、「見慣れた光景だ」と思ったものが、ここの外でどれほど見られるかと考えると、こういった家屋が保存されていることの意義に思い至る。
『この世界の片隅に』という映画も、戦争の時代の前後の日本の風景や空気感をできるだけ再現しようとしている。そういった努力がないと、時代の感覚というのは簡単に風化し、忘れられてしまうのではないかと思う。
自分には戦後の光景しか記憶にないけど、それでもちょっと思い出すだけで50年ぐらいは遡ることができる。実家に水道と電気はあったけどガスはなく、朝から母と祖母が土間の台所のかまどでバタバタしていた光景などうっすらと思い出す。
そういったことを、できるだけ何かに残しておけば、後の世代の人がその時代の空気を感じることができるかもしれない。そんなことを考えた。