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効果がありそうで効果がない少し効果があるマスクの話

COVID-19の流行で1月の終わりにはマスクが店頭から消えた。

一般の人が買う他、いわゆる転売ヤーが買いだめし、オークションサイトで高値で売られたという。

マスクが手に入らない人たちは不安になり、「マスク単独では新型コロナウイルスに対する予防効果はない」という事実を受け入れることを拒否した。

本当に拒否した。マスクがないことを不安に感じる必要がないと、いろいろなところで説明したのに、「マスクに効果がないなんて嘘だ」とすごい剣幕で否定された。そして、2月、3月と店頭でマスクを見かけることはなかった。

この結果、花粉症の時期にマスクなしで過ごした。必要もないのに買わなければ、マスクが本当に必要な人に届いたはずなのに。花粉症などマスクがなくてもいいが、医療現場でのマスク不足は深刻だった。医療従事者にとって絶望的に必要なマスクを、転売ヤーが買い占め、高値で売った。

規制されて当然である。

職場が在宅勤務になる4月まで、自分はマスクなしで通勤した。感染する不安などカケラもなかった。一番不安だったのは、花粉症でくしゃみがとまらなくなったとき、バイオハザードの疑惑の目で見られることだけだ(最悪電車の非常ボタンを押される)。

むしろ実行したのは、帰宅後、それから出社後に手をアルコールで消毒したこと。アルコール消毒液を妻が1月末に買っていてくれた。5月半ばまで大切に使った。昼食に出かけた時もおしぼりなどで丁寧に手を拭いた。接触感染は風邪の主要な感染経路だから。

それでじっさいに感染しなかったわけだが、多分に感染者が近くにいなかったという偶然もあるかもしれない。ならなおのこと、マスクなどで防護する必要性は、感染者がどれほど身近にいるかという要素の関数になる。見知らぬ人とすれ違う機会の多い都会はより慎重になり、そもそも人と会わない田舎道では限りなくリスクはゼロに近い。

新型コロナウイルスは、新型と言っても他の風邪のウイルスと同様に、飛沫感染接触感染することが分かっている。粒子が小さくて2、3時間漂うというエアロゾルで感染するかどうかは分かっていない。ウイルス単体が浮遊して感染するという空気感染はしないと見られている。

飛沫感染接触感染を図にするとこんな感じ。

ピンクの感染者が近くにいて、咳やくしゃみ、あるいは大声を出すなどして飛沫が飛ぶと、鼻と口はマスクの布に防護される。

しかし、目は無防備なので目から感染する。また、感染した人がウイルスのついた手でものに触れた場合、数時間から、最長では日の単位でウイルスは感染力を保ち続ける。このウイルスに触れた場合、マスクをしていれば不用意に口に触れることを避けられるが、帰宅したりしてマスクを外して、手洗いや手の消毒を忘れると無意識に鼻や口に触れて感染する。

インフルエンザ予防の王道、マスクに実は効果なし? | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

上記のようなニュースでサージカルマスクとN95マスクで感染率に有意差が見られないのは、複数の感染経路のごく一部しかマスクで防げないから。

予防は鎖に似ていて、一か所でも弱いところがあるとそこから切れる。手洗いや手の消毒を忘れたり、感染者と面会すると分かっていてゴーグルをしなかったりすると感染する。

ではマスクは効果がないのかと言うと、そんなことはない。

感染した人がマスクをすれば、飛沫は鼻と口から飛ぶから、飛沫のほとんどをマスクでトラップできる。

目からは飛沫は飛ばないだろうし、触ったものに対しては、全員が手指の消毒を心がければ感染は広まらない。

www.kantei.go.jp

内閣府でもマスクは健康な人の予防ではなく、感染者の咳エチケットとしての使用の方に重点を置いている。

この場合布マスクも十分に有効で、布マスクには洗って繰り返し使えるというメリットもある。いわゆるアベノマスクも無駄ではない。

アベノマスクは市場を飽和させ転売ヤーにとどめを刺したことが最大の功績だとは思うけれど。

マスクやアルコール消毒液(度数の高い消毒用スピリッツも含む)がようやく市場に出回るようになってきた。マスクや消毒薬を有効に使って感染を抑え込めたらいいなと思う。