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VRでフライトシムの道(その4:酔うほどにリアル)

MSFS2020をVRでプレイする話、ついに最終回。

グラフィックボードを交換したPCに、USBのケーブルでOculus Quest 2を接続したところ、PCではOculus Linkが起動した。Quest 2のゴーグル内で、ストレージにアクセスさせるか否かを聞かれるので「許可しない」を選択。ホーム画面からOculus Linkの有効化を選ぶと、画面が切り替わり、PC側から提供されたホーム画面になる。

前のグラフィックボードでは、PC側の画面が映らず、Oculus Linkの有効化の後は画面が真っ暗になり、その後すぐにUSBの接続が切れた。

USBのケーブルのせいかと疑ったが、機器どうしの接続に失敗していたというのが真相。成功するハードの組合せではUSBの接続は安定している。

PCのOculus Linkの方はいくらか設定をいじる必要がある。

これが機器どうしの接続が上手くいっているときの画面。前のグラフィックボードでもこの画面は見られた。しかし、VRゴーグルを覗いて真っ暗なら接続には失敗している。

設定で提供元不明のアプリを実施できるようにする。MSFS2020はOculusのアプリではないため。

VRゴーグルのリフレッシュレートは72Hz、80Hz、90Hzから選べる。接続がUSB2.0の場合は72Hzしか選べない。USB3.0以上なら3通り選べる。ただし、90Hzにするとゴーグル側のUSB-Cの端子から「ビー」とすごいノイズが聞こえてきたので使えなかった。電気的なノイズではなく物理的な騒音。80Hzならノイズは出ないのでそれを選定している。この辺ケーブルとの相性がありそう。

VRゴーグルでMSFS2020をやると画面に黒い枠が出たままになることがあるので、「公開テストチャンネル」は参加するように設定する。

「コンピューターの音声をVRで聞く」はオフにしてある。音声はVRゴーグル側で聞くこともできるが、FSの場合音声といってもエンジン音で、これは自分の前にあるので、ヘッドセットから出さなくても問題ない。他のゲームでは臨場感のためにオンにした方がいいかもしれない。

あとは、MSFS2020でゲームのモードをVRに切り替えればいい。細かい手順はともかく、簡単にVRゴーグル内の視界が飛行機の操縦席になる。切り替えはデフォルトで[CTRL]+[TAB]で可能。これを押すごとにオンオフが切り替わる。

普通の画面でFSを初めても、途中からゴーグルを接続して[CTRL]+[TAB]でモードを切り替えればVRにできる。[CTRL]+[TAB]でVRをオフにしたらゴーグルを頭から外してまた元のようにプレイできる。かなり柔軟。

VRモードをオンにするとモニターがこんな具合に左右それぞれの目の視界の並列に切り替わる。

このような視界をVRゴーグルのモニターにミラーさせることで、ゴーグルをかけている方はリアルな立体画像を見られる。

このVR画像は、ただ実体視ができて立体感があるだけではなく、頭の移動にともない自動で切り替わる。結果、ゴーグルの中では、飛行機の操縦席が常に決まった場所に決まった大きさで見える。立体的に。外の景色も同様。リアルタイムで動きながら見える。

人の肉眼の視野は左右に180°ほどあるが、VRゴーグルの視野は110°。双眼鏡を覗いたときのように視界の周囲は黒い枠が存在する。

なので、最初は「VRといってもそんな限られた視界ではリアリティはたいしたことないのでは」と思っていた。が、実際に使ってみると違う。

一目で見られる視界は限られているが、頭を自由に動かせるので、見えない範囲の視界は頭を振って見回したときに記憶で補完され、すぐに黒枠など気にならなくなる。人は目で画像として外を見ているのではなく、視覚を元に脳が構築した3次元データを見ている、ということを改めて実感した。ある程度以上のリアリティのあるVR画像は、欠陥を脳が補完して、身の回りのリアルな3次元の世界として構築される。VRのゲームはその世界の中の出来事を体験する。

飛行機ならば、操縦席やそこから見える機体はリアルな大きさで自分の周囲に構築される。そして、窓の外は実際に遠距離に立体感をもって存在し、機体の動きに合わせて徐々に動いていく。

これがリアリティがありすぎて、機体が動いたときの加速度の変化も感じられるような気がしてくる。旋回してるときは遠心力で座席に身体が押し付けられているような気がする。頭を動かして周囲を確認すると、回っている乗り物から外を見まわすのと同じ感覚を味わえる。なんと、作られた視界に三半規管が惑わされて酔う。

Quest 2単体のゲームではVR酔いなどあるはずがないと思ったが、MSFS2020では、飛行機を旋回させたり、旋回中に頭をぐるぐる回したりするとかなり気持ち悪くなる。長時間のプレイは危険(笑)。

本物のシミュレータは、操縦席が油圧サーボで動くようになっている。といっても実際の飛行機ほどは動かせないし、遠心力も再現できない。だけど、全周視界のリアリティの中では、わずかな動きも、世界のリアリティを格段に増す効果がある。シミュレータの訓練がいかに効果的かというのはVRを体験して非常に納得がいった。

今のところVRは30分程度以下のフライトに留め、休み休みやっている。ブッシュトリップは全行程VRでやるのは厳しかなという気がする。

図のように、VRの場合地図やナビログは視界の隅にどかして置ける。しかし、VRの視界はいまいちクリアではなく、一時的にクリアになってもゴーグルが重さでずれてきてすぐぼやけてくる。視界を完璧にクリアにしても、こんどはドットが荒くて遠方はそんなにはっきり見えない。VR酔いの問題もあり、文字をじっと見て読むのもけっこうつらい。

それでも、着陸の時など、モニターの外にある飛行場を首を回して確認し、自分と飛行場の位置関係を3次元的に把握して飛ぶ、というのはVRの方が適している。

PCでのVRはオンオフを簡単に切り替えられるので、モニターかVRかは厳しく考えるのではなく、気分次第で柔軟に切り替えて遊ぼうと思う。

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