スマートフォンが普及して、腕時計を使わない人が増えている。
今どき腕時計というとスマートウォッチか、機械式の高級時計のどちらかしか話題にならず、国産の電気仕掛けの腕時計はまるで目立たない。
そんな中、岸田総理大臣が総裁選に立候補したときに、33万円のセイコー・アストロンを使っていると話題になった。
第100代首相 岸田文雄
— 有名人の腕時計bot (@bot31676934) 2021年10月4日
セイコー アストロン
価格:約33万円 pic.twitter.com/FXuGYeA6UH
外務大臣であればGPSソーラーの腕時計がこれほどふさわしい人もいない。国産品の宣伝にもなる。まあ政治家らしくロレックスも持ってるそうだけど。
一方、現在仕事でメインに使っている腕時計、シチズンアテッサATD53-3052が購入して10年が経過した。
買ったときの予測では今頃は壊れて買い替えの時期なのだけど、なんとまだ普通に使えている。前のモデルより値段上がってるので耐久性も向上しているらしい。腕時計が3本に増えて使う機会が減ったというのもある。また、調べて見ると、万一壊れた場合もまだ2万円程度で修理が可能で、5万いくらの時計なら十分出せる額なので、3052はまだまだ使うということにした。
2本のG-SHOCKも健在なので、腕時計を買う必要性もないのだけど、新型コロナウイルスの感染者数が激減して人出が増えて来ていて、買い物も流行ってきているというので、買い物を見送っているうちに値上がりしたらかなわないと、あと定期預金とかほとんど利子がつかずならいっそ使ってしまえというのもあり、1本追加することにした。
何にしようかといっても、腕時計もピンからキリまである。すぐ思いついたのは、2019年にスピットファイアを見に名古屋まで行って、そこでディスプレイされていたIWCのSPITFIRE。
写真にあるのは最も安いクラスでこの価格。そっ閉じ。
ソーラー電波の時計というのは「遅れない、止まらない」(アテッサのCMのキャッチコピー)という時計の基本機能が確実に何年も継続するというのが美点。時刻も日付も調整が必要で、使わなければ止まり、正常に使えていても定期的にメンテが必要となれば、機械式腕時計を買うのは値段以上に思い切った判断が要る。正確な時刻が手軽に分かる、という用途だけならまったく不要。
国産時計に戻る。G-SHCOKは2本あれば十分。故障しないし、どちらも適度に使用感がでてきて愛着が湧いている。ということでカシオはパス。
アストロンで世間をぶいぶい言わせたセイコーだが、シチズンのラインナップと並べると、個人的に好みとしてシチズンの方がイケてると思う。もちろんグランドセイコーとかザ・シチズンとかいくと比べられないが、アストロンとアテッサのどちらにするかと言われれば迷わずアテッサにする。
一回りしてアテッサに戻る。銀色のシンプルな時計はATD53-3052が健在なので、ブラックチタンを選ぶことになる。3052を買うときにも同じモデルの黒いやつがあって、ちょっと後悔したので、DLCの黒コーティングを試すときは今、となる。
GPSソーラーかただのソーラー電波か、だが、GPSソーラーは確かに高くて高級だが、その分大きく重い。外国を飛び回る人生ならGPSで無双できるが、長いこと日本から出ていないので電波で十分となる。鉄筋コンクリートの建物でも意外に電波は受診できる。基本送信局の方の窓際に保管しているが、最近は受信できなかったことがない。
ソーラー電波のアテッサを眺めてみると、最高級のAT9097-54Eが他と風格が違うことに気付いた。すぐ目につくのはバンドの中心線のコマが2分割になっていること。これだけで高級感が増している。さっそく店頭で確認してみた。銀色のバージョンもあるがキラキラしすぎてこれはちょっと、となり、ブラックチタンのキラキラ具合がちょうどよく感じられた。
もうAT9097を見ると、これより安いやつは目に入らなくなる。GPSソーラー機もこれほどの高級感は持っていない(個人の感想です)。
あとは、ユーザーの感想だが、ネットショップのコメントも良好で問題なし。一方、個人のブログなどは皆無。検索しても業者のページしか出てこない。これが今どきの、スマートウォッチでも、機械式時計でもない腕時計が置かれた状況と言える。
で手に入れて写真に撮ったのがこれ。
DLCはチタンを炭素でコーティングし、独特の黒い色合いとダイヤモンドに近い硬度を与える。まるで誰かの日輪刀かよと。18話で折れちゃったけど。
時計としてはクロノグラフで、上が曜日。電波の受信状況もこの針で分かる。中が24時間の時針。午前と午後が分かる他、昼間は太陽の方向に時針を向ければ0時が北を指して方位が分かる。下のがサブ時計で、好きな都市の時刻を表示できる。外国とやりとりするときに相手国の時刻がすぐ分かるという機能。ただし時針は24時間表示。デフォルトはロンドンになっていて、これはグリニッジ標準時がいつでも分かるということなので、今のところそのままにしている。たとえばISSなど宇宙船の活動はグリニッジ標準時がベースなので、腕時計ですぐ確認できるのは便利。
まだ数日しか持ち出してないので傷ひとつない。バックルは長さの微調整が可能。
10気圧防水とか防磁とか書いてある。裏面にビニールが貼ってあるが前の時計で剥がした記憶がないので、自然にはがれるまでこのままにしておこうと思う。
独特のセンターラインのあるバンド。普通にCリング式で、一方のピンは抜けないのでコマが分割されていても困ることはない。店で調整してもらったけど緩く感じたので後で自分で1コマ外した。
重さは今の状態でわずか80g。大きさも3052とあまり変わらず、使用感は良好。
一方こちらがATD53-3052。多少キラキラしているが、盤面の文字はプリントで輝かない。
バックル側はどうしても傷がつく。長さの微調整が可能なのはこの機も同じ。コマピッチはAT9097も同じだが、本体はこちらが小さいので同じコマ数だときつくなるので1コマ多くしてある。最近体重が増えて1コマ増やしたという事情もある。内臓脂肪を減らしてまた元のコマ数に戻すのが当面の目標。
10年使ってベゼルにはこれだけ傷がついている。サファイアガラスの方は全く傷なし。チタンはデュラテクトという硬化処理がなされているが、さすがに無傷とはいかない。AT9097のDLCが今後どうなるのかはとても気になる。DLCの耐久性を見極めてから、次はまた銀色にするか、DLCでもう1本行くのかを決めたい。
ATD53-3052のデザインは今見ても秀逸で、エッジが鋭く立ち、鏡面とヘアラインのコントラストも美しい。他と比べてみたけれど、やはりアテッサに戻ってきてしまうのはこの優れた意匠のせい。