イラストを描いていて自分の中で再評価することになった『殺戮の天使』。それではと原作ゲームもやって昨日クリアした。
上記が原作ゲームの公式サイト。PCでやる分には無料で可能。ニンテンドーSWSITCH版やスマホ版は有料だけどそんなに高いわけではない。
PCの前で延々ゲームできる身分ではないので、Android版をDLして電車などでポチポチやってた。ゲームと言っても分岐してマルチエンドになるわけではなく、1本のストーリーを鑑賞する作り。
私がこの作品を高く評価するのは、アメリカを舞台にして、かの地のキリスト教に向き合って作られているということと、各所にちりばめられたサブカル的アイテムの多さ。
この作品の評価記事を書くなら、これらの2つの面からアプローチする必要がある。少なくとも、自分はそうしなければならないと考えている。作品のテーマに関連した話はキリスト教に触れないといけないので、今はまだ原稿を温めているところ。一方、サブカルネタはすぐに話せる。その一つがキャラクターの名前。
レイチェル・ガードナー
Pixivの百科事典などを見ると、本作の主要キャラのファーストネームは旧約聖書から持って来ているとある。レイチェルの元はヤコブの妻であるラケル。
名前の意味は子羊、雌羊、純粋なもの。
https://dic.pixiv.net/a/%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AB
ということで、信心深い純真な乙女にふさわしい名前となる。
もっとも、1980年代の映画の世界を知っていると、「レイチェル」と聞けば思い出すのは『ブレードランナー』のタイレル社のアンドロイド。演じるのはショーン・ヤング。映画はP.K.ディックの原作を大幅に改変しているが、レイチェルは原作にも出る。
これらのレイチェルは名前の通り純真キャラではないので、アニメのレイチェルは予想の範囲内。
姓の「ガードナー」は庭師という意味だが、ここで止まってしまったら惜しい。我々1990年代から疑似科学を観察してきた人間には、疑似科学批判の基礎となる『奇妙な論理』の著者のマーチン・ガードナーの名前を思い出さずにいられない。
レイチェルが「頭がいい」という設定なのは作者がこの本の著者をイメージして設定しているからで間違いないだろう。
アイザック・フォスター
フォスターは、伝説的なアメリカの女優、ジョディ・フォスターからとったと見て間違いない。
『タクシードライバー』で12歳の娼婦役を演じた金髪少女。同じ時期には『白い家の少女』も演じている。この頃の彼女のイメージはレイチェルにかなり近い。
そして、この作品に名前を持ってくるにふさわしい映画といえば、『羊たちの沈黙』。1991年の大人のジョディ・フォスターが幼少期のトラウマを抱えつつ殺人鬼に挑む。
レイチェルとバディであるからこそ、フォスターの名前を持ってきたと考えざるを得ない。
エディ
主要キャラ全員に言及している時間はないので、もう一人、エディについて。
B4の墓守でかつ殺人鬼。覆面の中身は少年。
エドワードの名前が旧約聖書由来かどうかはともかく、墓守というキャラからいって元ネタはエド・ゲインであろう。
『羊たちの沈黙』の殺人鬼のモデルでもある。その他いろいろな作品に影響を与えている。
こういった具合に様々な要素がちりばめられていて、そういうネタが好きな人は心を揺さぶられつづける。
そういう話を抜きにしてもPV第2弾はよくできていて作品をよく表している。テレビ放送時と違い全16話は分かり切っているので、12話で切られてがっかりすることもない。原作をやってもいいし、アニメから見てもいい。もっと多く知られるべき作品だと思う。