『プラスティック・メモリーズ』#05「守りたかった約束」
ストーリー
ソウタから電話。マーシャが帰ってこない。とにかくソウタの家に行くツカサとアイラ。闇回収屋による誘拐事件。ツカサはソウタにマーシャを必ず連れて帰ると約束して捜索に加わる。翌日がマーシャの回収日。
誘拐もさることながら、寿命を過ぎたギフティアは暴走して「ワンダラー」となる可能性があり危険だという。もしそうなると3年ぶりの異常事態。山野辺課長の報告から伍堂部長は即Rセキュリティ社を出動させる。
R社は夜のうちに闇回収屋のアジトに見当をつけ、該当する地区を封鎖。カヅキが現場指揮官と面識があるため、TSの人員も封鎖地区に潜入して捜査に加わる。
マーシャの回収時刻が過ぎ、ミチルはワンダラー化したギフティアについて3年前のことを思い出す。そのギフティアとはミチルの養父だった。
闇回収屋が人事不省で発見され、マーシャはワンダラー化して逃走したと推測された。3年前の悲劇を阻止したいと強く思うカヅキとアイラ。
アイラとツカサはマーシャに遭遇。さらにおり悪く、ソウタともはちあわせる。ソウタの声を聞いたマーシャは暴れだし、アイラを突き飛ばすとともに、ソウタをさらってビルの上に跳び上がってゆく。
負傷したアイラに肩を貸してツカサはマーシャの行ったビルの屋上へ。雨の中。呆然と立ち尽くすマーシャ、意識が戻ったソウタが彼女の名を呼ぶ…
視聴コメント
- 出OP
- OPラストのアイラちゃんは戸惑ってちょっとうつむく
- 非常事態をすぐ上に報告する管理職の鑑
- 課長と伍堂部長がまともに働いたからこの先も大丈夫だろうと思うと…
- アイラさんその武器はなんですか?
- アイラソードと呼ぶことにする
- ツカサの武器はいわばウイルス銃
- ウイルスを強制的に打ち込んでギフティアを機能停止させる(人には無害)
- まさかの3組のキャラクター同時遭遇
- 「なんでここに」こっちのセリフだよ
- 封鎖地区は住人はそのままいる
- 小学生がこっそり入るぐらいはできそうではある
- 検問所で誰も入れないとか言ってたような気がするが
- 連れ去られたソウタに命の危機
- その割にアイラもカヅキも自分の都合ばかりというのがなんとも
- アンドロイドが怪力、というのはネクサス6型準拠なので気にしない
- 闇回収屋とかいう絵に描いたような「不可抗力」
- 誘拐はギフティアの技術、労働力、破壊力のどれが目的だったのか謎
- 一番ありそうなのは脳をリセットして転売
- ワンダラー化する確率について、アイラとミチルで認識が違うのはむしろ人間的でいい
- ワンダラー化したくないアイラとワンダラー化のせいでひどい目にあったミチルの立場の違い
- アイラの認識の方が正しいように聞こえる
- それとはお構いなしに今回も期限後ほどなくワンダラー化してるわけですが
- 確率どおりに出来事が起きてたらドラマにはならない
- ソウタは首を絞め上げられて極めて危険な状態
- アップでは服の襟を掴まれていることが分かりちょっとほっとする
- 引きの画ではどっちかよく分からない
- 途中の展開がどうあれ最後に引き金を引く決断ができたツカサは偉いと思う
- Cパートなし
解説
鳥羽プロデューサーと林直孝氏が初期に構想を練っていた時は、この作品はバトル要素が強かったという。okiura氏の当時のキャラ原案が特集本に載っている。主要キャラの風貌や名前はその頃にあらかた決まっていたらしい。Rセキュリティみたいな物騒な集団と、「アイラソード」は多分そのときの名残。
路線がかなり変わったとはいえ、原作・脚本が林氏で変わらないこと、氏が10年以上暖めていたネタであることを考えると、人とアンドロイドのバディもの、最後はそのバディとの別れ、というのはその頃から変わってないと推測する。
その後、藤原佳幸監督が加わってから、余分な要素が次々削られ、ああいった作品になったという。アイデアをできるかぎり集めてから、狙いを定めた後に不要なものをゴリゴリ削っていいところだけ残す、という方法論は悪くない。
ただし、路線変更のためリソースは相応に制約を受けることになったはずだ。どうも、それで一番割りを食ったのがこの5話という気がしてならない。
5話も、作品の中での役割はしっかり果たしている(2人で苦難を共有する・ワンダラー化の恐怖・カヅキとアイラのこだわり・ミチルの過去等)。だから作品全体の評価をさほど損なうものではないが、やっぱりどうしてこうなった、という感想は残る。
問題点を具体的に指摘すれば以下の2点。
1)ありえない場所にありえない人がいる。封鎖地区のソウタ。ソウタが自宅にいるようにという指示を無視してマーシャを探しに出かけてしまう気持ちは分かる。分からないのは封鎖地区に来たこと。ギリギリ好意的に解釈すると、報道で封鎖地区のことを聞いてここだ、と思ったとか。それならそれで1秒でもいいからそれを示唆するカットがほしかった。
2)するべきことをせずやってはいけないことをする。ソウタがさらわれた時点でソウタの救出が優先されるべきだった。しかし誰も、一刻も早くマーシャを追うという行動をとっていない。また、アイラは自分が助けに行くことにこだわり、ツカサはアイラに肩を貸し、カヅキはR社を足止めした。どれも適切な行動とはいえない。
それで代案を示すとこんな展開。
R社出動に反対するカヅキに対しヤスタカあたりが頭越しに出動を許可。時間経過。アイラに肩を貸して屋上に上がるツカサ。雨に濡れ呆然と立ち尽くすマーシャ。銃を構え取り囲むR社社員。カヅキとR社の救護班がソウタを離れたところで介抱。ツカサがマーシャを説得。ソウタが意識回復。マーシャを呼ぶ。マーシャに異変。ジャンプしてソウタの元へ(これなら銃撃は間に合わない)。ソウタの胸ぐらを掴んで吊るし上げる。すかさずソードを構えて駆け出すアイラ、ウイルス銃を発射するツカサ…
ただ、すべてのキャラが完璧に動いたとしたら、それはそれで違う作品になってしまうような気がするから、口出しは難しい。
アンドロイド保護法の下りもタイミングが悪いと言わざるをえない。ギフティアが人として尊重されている社会であることを示したかったという意思は分かる。その前提のあるなしでは後半の印象が変わってくるだろう。でも、あそこであんな台詞で説明することじゃなかったと思う。
闇回収屋がこの作品に必要かと言われるとこれも難しい。
ただ、ワンダラー化の設定は必要だったと思う。でないと『ブレードランナー』みたいな終わり方が可能になってしまう。作者は映画を模倣したいわけではないから、そのルートは徹底的に潰すだろうし、私もそれに同意する。
また、率直に言って、人間もワンダラー化する。きれい事を言ってもしょうがない。自分の経験としてもこれは実感している。物理的な破壊力はなくても家族に与える傷は決して浅くない。
あの設定はテーマに照らして不要ということはない。
なお、ソウタとマーシャについては、漫画の方で厚くフォローが入っているので、「プラメモは途中がなあ」という人は漫画がお薦め。
冒頭のソウタからの電話。ツカサがテレビ電話なのに受話器を取っている。これは、電気羊の小説の「映話」じゃないかとか思った。
関連リンク
電撃プラスティック・メモリーズ Isla Memorial<電撃プラスティック・メモリーズ Isla Memorial> [雑誌]
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/10/29
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
プラスティック・メモリーズ 3【完全生産限定版】 [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: アニプレックス
- 発売日: 2015/08/26
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログ (2件) を見る