自称「自主避難者」が福島第一原発事故に関連するデタラメな情報を吹聴し、X(旧Twitter)で暴れている。
あの原発事故で放射線により鼻血が出る被害はあり得ない。鼻血が出たのが事実だとしても原因は放射線ではない。これは10年以上指摘され続けていることだ。
それを今更蒸し返し、とっくに否定された問題がまだ解決されていないと主張し続けている。
当人はあらゆる反論を無視し、自分の正当性を訴え続けている。しかも反論に対してブロックなどを行わず、きわめてタフに、壊れたレコードのように自分に都合のいい主張ばかりを続けている。
このタフさは、「ナイーブな主張を訴える若き学生」と見なせるものとは明らかに異なる。おそらくバックにプロの活動家がいて、その指導のもとにこの発言を続けている。炎上も承知の上だ。アクセスが増えればXから収入が得られる。せめて収入の道を絶とうとコミュニティノートが次々とついているが、収入化の阻止はコミュニティノートの目的外の効果であり、とても全てにはコミュニティノートがつかず焼け石に水である。
ただし、活動家のやり方はとっくに分析済であり、これといって独創性はない。
スルメロック氏の漫画にとぼける鈍感さは相当なものだが。
放射線と健康の関係についてはyoutubeの対談で菊池誠氏が直接彼に説明したという。この説明を聞いた上でなお、聞いた知識を完全に無視して同じ主張を続けている。
Xは反論が見やすいのでここであれこれ言うこともないであろう。ここではブログについて書く。
2024年8月5日に投稿されたエントリーだ。
テクニカルに書いてあって、真実味は皆無なのに虚偽だとツッコミずらくしている。
最初の段落は東日本原子力災害伝承館に行って鼻血が出ました、という話。
次の段落が「あの時、避難所には鼻血を出す子どもが多くいた。しかも、尋常ではない量の鼻血を出す子が沢山いたのだ。」という避難所の児童やブログ主が鼻血がやたら出ましたという話。
被曝の量から考えてこの症状が急性被曝による確定的影響ではないことは明らかだろう。
https://kamo7.com/%e7%a6%8f%e5%b3%b6%e3%81%a7%e3%81%ae%e9%bc%bb%e8%a1%80/
ここではこう書かれている。事故後の科学的な知見は反映されている。
続いて、「とあるメディア報道でこの問題が触れられた。その途端、「こんなことを言っているのは誰だ!」、とまるで魔女狩りのように大規模なバッシングが発生した。」と書く。「鼻血が出ました」という被害を訴えたら科学を振りかざしてバッシングを受けた、との主張。
テクニカルだ。風評加害者を叩く現在の風潮の中でこのブログを投入すれば炎上は間違いない。そして、炎上そのものがブログ主の被害者性を引き立たせる。「被害者」とう無敵の立場になることで、自分の訴えはより強くなる(見込み)。それでいて、明確に「虚偽だ」と言い切ることができないような書き方をしている。
学生の知恵じゃないよねこれ(笑)
東日本大震災の避難所で児童の鼻血が特に多くはないことは十分に知られている。だからこのブログの話は真実味がない。
しかし、避難所の子供の鼻血が異常なかったというのは悪魔の証明で積極的な証明ができない。
一方「あった」という方は言いっぱなしで開き直れる。尋常じゃない鼻血というのも、レジ袋や洗面器で鼻血を「受けた」であって「袋いっぱいに血が出た」などと量の具体は書いてないから、「子供がそんなに出血したら命に関わる」という指摘は的外れだとみなして言いっぱなしで開き直れる。
さらに、「避難所で鼻血が多発したなど聞いたことがない」という声には、「バッシングされて声が上げられず埋もれていた」と言い返せる構図になっている。
その一方で最初の段落で放射線と鼻血の二つの話題を同時に出す。「双葉町や宮城県丸森町といったプルームが通った地域」と特別な場所だと示す。さらに「自分の避難所だけでなく、多くの地点で何かしら異常なことが起きていたようだ」と科学的な知見に疑問を投げかける。理屈はそうだが納得していないぞ、他に何かあるはずだ、という態度。
正直トンデモ説の一つも出してくれると批判ができて楽なのだが、「科学的な説明はこうだが自分は納得しない」というのはやりにくい。「否定するなら代案を出さなくてはいけない」というのは我々常人の考え方であり、かれらは疑問を挟んで代案を出さない、という戦術に長けている。今回もこれだ。
また、漫画の『美味しんぼ』の鼻血問題がある。被曝で鼻血、という嘘はあっちの作者がもう言っているから、ここでボロが出る理屈を言わなくてもいいという計算もあるだろう。
「虚偽と言い切れない」書きぶりだからこそ、ブログ主はXで都合の悪い指摘に一切応じることなく、一方的に主張を垂れ流しできる。そして、一貫して福島県は危険だという風評を振りまき、絶対に「安全だ」と言わない。
これによりブログ主は「自主避難者」という絶対無敵な被害者となり、「被害者文化」にて利益を最大化しようとしているように見える。
こういった、人を不安にせる情報に対しては、安心できる情報を提供するのが第一の対策だと思う。
しかし、県内の一般住民は現在まで、急性放射線症が出るような線量の放射線を被ばくしていません。「放射線被ばくで鼻血が出た」と心配されていますが、放射線が原因ではありません。
また、原発事故で市民には健康被害はなく、今後も生じないというUNSCEAR報告が出されている。
≪3.公衆の健康影響≫
心理的・精神的な影響が最も重要だと考えられる。甲状腺がん、白血病ならびに乳がん発生率が、自然発生率と識別可能なレベルで今後増加することは予想されない。また、がん以外の健康影響(妊娠中の被ばくによる流産、周産期死亡率、先天的な影響、又は認知障害)についても、今後検出可能なレベルで増加することは予想されない。
2011年6月、半壊した建物で復活した道の駅よつくら港の賑わい。
2018年7月、いわき・ら・ら・ミュウの賑わい。
けっきょく、誰かを不安にして自分の利益にしようという行為は「呪い」でしかない。現代人が幸せに生きるためには、「呪い」など全く必要ない。「呪い」を解くことの重要性が現在高まっている。