電撃G'sマガジンの放送前の記事

プラスティック・メモリーズ』に関する『電撃G'sマガジン』の記事から気が付いたところをメモ。

まず以前も触れた2014年11月号。

http://gs.dengeki.com/news/14454/

――SF色が強そうな印象も受けます。
林:当初はそういう案もありましたが、そうするとどうしても「機械が人に憧れるとはどいううことなのか」とか「人と機械が恋愛していくうえで乗り越えるべき障害とは」という切り口になってしまいがちです。それが悪いわけではないのですが、この作品ではあえてその辺は描かず、あくまで人間ドラマを重視しました。

林直孝氏の脚本というので多くの人が期待したのは多分、この描かないことにされた部分なんじゃないのかなと思う。SFを期待したら全然サイエンスしてない。

OP曲で「答えを探し未来へ願い続ける 迷わないで信じていて」とあるようにこれはSFというより信仰の物語。それは最終話まで見てようやく気付けるもので、放送中にアンチが大量出現したのもある面しょうがない。私自身はこの方針は正解だと考えている。

2015年1月号。

http://gs.dengeki.com/news/17823/

鳥羽洋典プロデューサーと林氏の対談。

鳥羽P視点でこの作品が生まれた経緯は、ゲームで林氏を知っていたところに、MAGESの志倉千代丸社長と会う機会があったので話を持ち掛け、了解をもらってオリジナルアニメの制作が実現したとのこと。

アニメの脚本をやるなど思いもよらなかった林氏。志倉社長と鳥羽Pとでけっこうな時間をかけて何を作るか考えたという。1年ほどはどんな話にするか決まらず、皆で映画を見たりしていたとのこと。それから4案、2案と絞っていって最終案がこれになった。もちろんその映画には『ブレードランナー』もある。

脚本はプロットが決まるまでは鳥羽Pと林氏で作業し、それから動画工房藤原佳幸監督が加わったという。動画工房は『恋愛ラボ』つながり、監督は若手で実力のある人、という選定。『恋愛ラボ』は2013年7月アニメだから多分監督が決まったのは2013年の終わりごろ。本格的な制作開始は2014年の『未確認で進行形』放送後と推測。

藤原監督起用後に、監督の意向で作品の雰囲気が大きく変わることになる。

方向転換については鳥羽Pも林氏も前向きにとらえていて、思い切って切るべきものは切る方がいいものができるという認識。アニメとゲームと場所は違えど、いかにも現場の人間らしい認識。以下の鳥羽Pの言葉は含蓄がある。

それに、スタッフ内からそういう意見が出てくるということは、いざ世に出した時お客さんの中にもそう思う人が出る可能性があるということですから、オリジナル作品を手がけるときは特に慎重に考えます。

鳥羽Pがこの作品を『電影少女』に似てると気が付いて全巻漫画を買ったというのは驚いた。「男性の願望丸出し」という認識は持っているとのこと。その上であえて「王道」で行けという方針を貫く。これはできそうでできない。普通はどこかで余計なものを入れたくなる。

林氏も執筆時に読み直した作品があるというがネタバレを避けるため何かは黙秘。『電気羊』は読むとしても多分プロット段階だろう。多分アレではないか、と思い当たる作品はあるにはあるが推測に過ぎないので何かは言わない。

鳥羽Pの方針は「王道」の他、「お客さんが見たいものを作る」、そして「喜怒哀楽を感じられるエンターテイメント作品」。

制作スタッフの背中を全力で押す動力源が鳥羽P、文芸面から作品の進む道を決めたのは林氏、そこで舵取りして完成まで事を運んだのが藤原監督、という役割分担が見えてくる。

2015年3月号。

http://gs.dengeki.com/news/21550/

林氏とアイラ役の雨宮天さんの対談。

私視点から重要だと思う事実は次の2点。

1)声優はオーディションで決定

100人以上をオーディションに呼んだという話。もちろんこれはアイラ役に100人呼んだのではなく、主要キャラのキャストを決めるのにそれだけ呼んだということ。とはいえアイラ役も相当数の声優が挑んだのだろうから、ほぼ一発で監督らの心をつかんだ雨宮さんはすごい。

最近の雨宮天オーディション伝説はこちら。

「このすば」でポンコツカワイイ駄女神様を演じてくれてる雨宮天さん。アクアのコロコロかわる感情芝居の素晴らしさもさることながら、キャスティング時に僕の中の決め手になったのは誰よりもゴッドブローを必殺技っぽく繰り出してくれたから! #このすば

2)1話収録時点で13話の脚本はまだ執筆中

1クールアニメは放送前には脚本は上がっているのが普通ではあるが、1話収録の時点ではまだ上がっていないものなのか、と制作スケジュールについて認識を改めた。

たださすがに、ラストをどうまとめるかは決まっているはずで、それを具体的に本に書き記す作業がまだ続いていた、と見るべきだろう。

ラストのまとめに迷いがあるとどんなことになるかは『SHIROBAKO』の前半クールにある通り(笑)。あと、あの作品で脚本家の意外な、かつ重要な役割が描写されていたので勉強になる。

2015年4月号。

http://gs.dengeki.com/news/23522/

林氏と赤崎千夏さんの対談。

――これまでのインタビューでもおうかがいしましたが、ミチルは当初の想定よりも出番が増えたとのことでしたが。
林:当初のミチルは「同僚かつ友人」くらいのポジションを考えていたのですが、<略>藤原監督が「ただの友達としてではなく、1人の人間として心情を追っていってあげたい」とおっしゃったのがきっかけですね。単に監督がミチル好きだから、というのもあると思いますけれど(笑)。

ミチルはこちらの世界に残る側の女性代表という役割があるから、監督の判断はきわめて妥当なものだと思う。またそれが、監督の嗜好に合っていたのもこの作品にとって恵まれた要素である。ミチルのキャラは監督が色づけしてそれに赤崎さんの演技がブーストかけた感じ。

それから赤崎さんのこの言葉。

結局なにがいいたいのかというと、私がこの作品から得た思いは「少しでも楽しく、悔いがないように毎日を生きるべきだ」ということなんです。

役者が物語を理解する力はやはりさすがと言わざるを得ない。放送前にもう作品の肝となる部分を把握している。

あと、先の台本をツカサ役の内匠晴明さんにだけ見せなかったというのは面白い。そうやってフレッシュな新人の雰囲気を引き出すこともあるのかと感心した。

漫画のストーリーは祐佑氏が考えていて、林氏は監修のみとのこと。本業のゲームの仕事も忙しいだろう林氏がアニメと漫画と2つのストーリーを考えるのは大変だろうと思っていたが、漫画の脚本はさすがに書いてなかった。逆に言うと、小説の発売時期が未定なのも仕方ない。小説は時期を期待せずに、漫画は続きを楽しみに待つことにする。

この記事で「脚本が先月末でついに脱稿しました」とのこと。推測するに月末とは1月末か。最終回の放送まで5か月もあるが、多分制作してる人々にとっては5か月しかない、という時間スケールだと思う。