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職場のうつ

どういう本かというと表題の通りで、職場のメンタルヘルスの参考書になる。

自分としては、沢山出ている体験談が参考になった。

冒頭の日本うつ病学会理事長の野村総一郎教授のインタビューで、うつ病の症状がなぜ出るか言及がある。「うつは健康な証拠でもある」とのこと。7頁より。

「そもそも、うつになること自体は不健康なことではない。それは熱が出ることととよく似ています」
 と野村教授は話す。例えば、ウイルスなどに感染すると熱が出る。これは体内に侵入したウイルスを退治しようという、身体がもともと持っている正常な防御反応だ。ただ、熱が高すぎると危険になる。うつもこれに近い。ストレスによる過剰な負荷に対し、うつ状態に陥ることで立ち止まり、休もうとしている。自分自身を守ろうとしている。ところが、そこで無理をして頑張りすぎてしまうと、うつ病にまで発展してしまう。

「うつ」というのも「身体がもともと持っている正常な防御反応」の一つという。一理あると思う。

ただ、自分の症状をふり返ると、そうはいってもうつ状態を回避するのは難しそうだと思うことがある。自分の場合、何か無理をすると、そのときすぐに症状が出るのではなく、2、3日置いてから症状が出ることが多い。なぜ負荷と症状の間にこんなタイムラグがあるのかは不思議だ。「防御反応」のどういうメカニズムによるものだろう。

あとは、うつの症状に死にたくなるというのがあるのも不思議。せっかくの防御反応なのに、死んでしまったら何にもならない。

これについては、うつ病が壮年期以降に多い病気なのだからというのが考えつく。若い頃にかかる病気なら、防御反応が致死的なら子孫を多く残せないから、淘汰されて、防御反応は安全なものになる。中年以降では、そういう淘汰圧が働かないので、死にたくなる症状が残ってしまうのだろう。

「うつ」というのは防御反応として不完全なのかもしれない。だからいっそう、症状が出ても無理して乗り切れるというものではなく、十分な休息をとるなどしっかりした対応が必要になってくるものなのだと思う。「心の肺炎」という例えももっともだ。