- 作者: ジェームズ R・チャイルズ,高橋健次
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2006/10/19
- メディア: 単行本
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テクノロジーと人の接点を著者は「マシンフロント」と呼ぶ。そのマシンフロントにおける事故の事例を集めたケーススタディ。人間は技術によって多くの恩恵を得ているが、マシンフロントにおける人間の失敗は深刻な事故も招いてきた。その失敗の数々を考察するテクノロジーの失敗学。
どのような事故が扱われているかは、amazonの「商品の説明」にその一部が書かれている。
高度な科学技術はその複雑さから事故の発生が懸念されるが、よく配慮が行き渡り、習熟された技術は案外事故が少ない。その例として本書では航空母艦の着艦などが挙げられている。
ニトログリセリンも、爆発物であるという認識が行き渡っており、工場では事故対策が行き届いているのでたとえ事故が起きても被害は最小限にとどめられている。
これに対し、失敗を招きやすく、巨大事故を頻発している物質に硝酸アンモニウムがある。この物質の用途は主に肥料であるため、扱う人に爆発物という認識が乏しい。本書では米国での500人規模の犠牲者を出した事故の例を紹介している。wikipediaでは1921年のドイツのオッパウでの爆発事故が紹介されている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%91%E3%82%A6%E5%A4%A7%E7%88%86%E7%99%BA
2004年の北朝鮮での爆発事故も記憶に新しい。
硝酸アンモニウムの爆発性に対する認識のズレがこのような巨大事故を引き起こしたと言える。マシンフロントにおける事故ではそういったたぐいの人間の限界がいくつも示されている。