Great Spangled Weblog

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スカイ・クロラ

今日見てきた。お盆休み期間とはいえ平日なせいか人は少なく、一緒に見たのはせいぜい20人ぐらいだった。

飛行機のシーンはそこそこ見応えがある。

それでも細かいところで気になるところがあって、飛行機映画としてはあまり高いランクはあげられない。

例えば、着陸の時のアプローチの角度が強すぎる。あんな急降下して着陸する飛行機はない。冒頭の滑走路も、あまり深い角度で降りてゆくからまさか着陸するとは思わなかった。自然な角度とは、『ストラトス・フォー』のオープニングがいい感じ。

飛行機がつるべ打ちのように次々と離陸するのも不自然だ。編隊離陸で何機か同時に離陸するか、前の飛行機が無事離陸するのを待ってから次の機が滑走を開始するか、どっちかのタイミングにした方がいい。

この辺、作っている人の中に、飛行場によく行く人というのがいなかったのだろうなと思う。

空中戦では、双発機と単発機が同じレベルで機動できるのはおかしい。双発機はもう少し鈍重な方が自然で、空中戦は単発機より弱い。

敵機に後ろにつかれたとき、「コブラ」機動で敵をやりすごし、その背後をとる、というのが何度もあった。実際には、「コブラ」で失った速度はそうすぐには回復しないだろう。速度ががた落ちしているところに敵が回り込んできて狙われてアウト、となりかねない。つまりあれは実際の空中戦で使うものではない。映画の見せ場として、一度ぐらいはいいかもしれないけど何度もやって見せるのはいただけない。

他にも、戦闘機がありえない動きをしていたところがある。ある程度は、アニメ的な強調といい方に捉えておくけれど。

飛行場のシーンで決定的にだめなところがある。

エプロンやハンガーでタバコ吸うな。

火気厳禁の看板が背景にちゃんと書いてあるのに、タバコは吸うわ、溶接はするわで、無茶苦茶。

飛行機は溶接構造ではないから、整備で溶接はあり得ない。零戦を火花散らして整備している『太陽の帝国』に影響されたか。

タバコについては、禁煙と知っていてあえて吸わせたらしい。禁煙でも吸っちゃうオレかっこいいって、中学生か。

ああいうところで火を使う危険性を分かっていないというのは、どうだろう。そういった安全意識の欠如、危機に対する鈍感さ、それらをかかえたまま、戦争がどうのこうのと語られても、ちょっとこちらには響かない。「ゲームとしての戦争」に言葉の遊び以上のものが感じられなかった。

総合的には、2時間が長くて退屈するという映画ではなかった。日本のアニメの技術の高さが十分に分かったから、さららなる良質な飛行機映画の登場を願う。