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グーグル・アマゾン化する社会

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

これもサヨクが書いたネット本。

googleamazonのことだけ書いていればいいのに、なぜかネット社会の政治への影響にまで言及している。サヨクはどうしてこう何かというと政治の話をしたがるのか。

お題としては、2005年の郵政選挙での自民党の圧勝だとか、首相の靖国神社参拝の是非が世論調査では賛否半々なのにgoogleで検索すると上位が賛成論ばかりだ、とかいった話。

自民党政権はいかん。首相が靖国神社に参拝するなんてけしからん、という著者の本音がなければこういう題材を選ぶことはないだろう。

もっとはっきりサヨクらしさが出ているところ(P.212)。

 そうした点に懸念を覚えるのは、もともとネットワーク上では、考えが異なる別の集団の意見を排除し、同じ集団内で考えが極端に偏るという傾向が指摘されているためだ。

 一例をあげれば、現在、急速に日本で広がりつつあるように見える「ぷちナショナリズム」的な現象もそうだろう。こうした振る舞いは「集団分極化」という現象で、数十ヵ国で確認されている。

「ぷち」だったら「考えが極端に偏」ってるとは言えないだろう。日本中に広まっているなら「分極化」というのもおかしい。

誰だって自分の生まれ育った国が好きなのは当然だ。それを素朴に表明すると「ぷちナショナリズム」よばわりとは、著者の思想的偏向のほうが問題ではないのか。

「集団分極化」の事例ということで上げるなら、国士様核武装論だとか韓国たたき、またははてな村サヨクの皆さんのほうが例としてふさわしいと考える。

世の中が「ぷちナショナリズム」に染まってしまったと考える著者は危機感が強いあまりに陰謀論に染まりつつあるようだ(P.234-235)。

 二〇〇五年の総選挙直前、ウェブの検索でおかしなことが起きた。グーグルで「うさんくさい」という言葉で検索すると、亀井静香のサイトがトップに表示されたのだ。似たような検索挙動はそのすこし前にもあった。「売国新聞」で検索すると、トップに上がったのは「朝日新聞」のサイト、アサヒ・コムだった。また、同じ頃、「売国奴」で検索すると、トップに上がったのは、岡田克也代表(当時)率いる民主党のサイトだった。明らかに、SEOサーチエンジン最適化)と呼ばれる技術的な手法を、何者かが仕組み、不適切な検索結果になるよう設定したものだった。

亀井静香氏はともかく、朝日新聞民主党売国だと思う人は沢山いるから。そう思ってないのはサヨクの人ぐらいだから。朝日新聞民主党に言及・リンクする人の中で、「売国」と書いた人がそれだけ多かったということではないのか。そういう考えにまったく及ばず、一足飛びに何者かによる検索エンジンの細工を疑うとは、思慮が浅すぎる。いや疑うではなく、「何者かが仕組み、不適切な検索結果になるよう設定したものだった」と断定している。これは陰謀論そのものだ。

「炎上」の事例としてはこの本でもイラク日本人人質事件が挙げられている(P.242)

 そんな現象は、二〇〇四年春のイラクでの人質事件の際にも起きた。人道ボランティアや取材活動で同国を訪れていた三人が拉致された際、ウェブでは、2ちゃんねるやヤフー掲示板などの匿名掲示板を中心に、三人への激しい非難が巻き起こった。2ちゃんねるのスレッドは、しばしば検索結果のトップに立ち、ヤフー掲示板の書き込みは四月八日から一九日までに一〇万件にも及んだ。その大半が、三人が拘束されたことを「自己責任」として激しく非難するものだった。

「自己責任」が激しい非難に聞こえるのだから、サヨクの耳はどうかしている。一番痛かったのはそこなのか? 彼らが立派なボランティアやジャーナリストに見えるというのか。その崇高な理念は危険地帯に丸腰で入り込むといった手落ちを批判できないほど素晴らしいものなのか。

ボランティアの実態は十代の十分働き手になれる少年へのほどこしで、困っている人を助けるというより、可愛く思える人をちやほやしたいだけに見えた。

取材についてはたいした実積もないのにいきなりイラクという無謀さ。とてもプロのやり方とは言えず、しかも一人は「劣化ウランについての絵本が書きたい」という別にイラクに行ってまでするようなことではないことだった。

こういうボランティアごっこ、取材ごっこで危険地帯に無防備で乗り込み、世間を騒がせたから批判された。また、被害者の家族が、救出を願うばかりでなく、左翼団体と手を組んで自衛隊撤退という政治的要求までやり始めた。この点も批判された。

「炎上」について書くのにいわゆる「三馬鹿」の落度について言及しないのは、ネットの出来事を客観的に記述するには向かない偏向した態度だ。

国際情勢についての認識も甘いと指摘したい(P.248)。

 米国同時多発テロのあと、悲しみと怒りに覆われた米国市民は、政府の不確かな情報をもとに、アフガニスタンタリバン)侵攻やイラク戦争を、大きな世論として後押しした。時間が経過してみれば、アルカイダのテロ組織はいまも存在し、フセイン大統領には何の関係もなかったことが明らかとなった。もともと誤った情報によって突き進んだものではあったが、冷静な議論を辛抱強く重ね、なおかつ世論がそれを後押ししていれば、現在のような混乱には陥っていなかっただろう。人は劣勢に立たされると、ときに冷静さを失い、間違った情報や扇情的な情報によって、一極集中的な群集行動を引き起こす。それをウェブのようなツールが後押しするのか、食い止めるのかは、情報を見極めるユーザー次第だ。

米国同時多発テロアルカイダによって企てられたこと、アルカイダアフガニスタンタリバンがかくまっていたこと、これらは「不確かな情報」でも「誤った情報」でもない。

アフガニスタン戦争の結果タリバン政権は壊滅し、アルカイダは大きな拠点を失った。アフガニスタンの人々はタリバンの恐怖政治から解放され、また、アメリカでその後二度と911のようなテロは発生していない。

アフガニスタンで戦乱が続いているのは事実だが、アフガニスタン戦争の結果について「混乱」しか残らなかった、まったく無意味であったかのような書き方は、事実を的確に表していない。

イラク911以後突然アメリカに恨まれたわけではない。イラク問題はその前10年も横たわっていたもので、その間アメリカはずっと中東に空軍を派遣し、飛行禁止区域の監視などを行ってきた。時にはイラク機の撃墜や防空施設の空爆など、小規模な戦闘が発生していた。

冷静で幅広い情報収集ができていないのは著者の方ではないのか。なんでもないことを「ぷちナショナリズム」と困った現象のように把握し、googleの検索に右翼の陰謀を見出し、イラク人質事件の被害者に落度があったことが見えず、サヨクの世界観でしか911後のアメリカの行動が見えない。人に「情報を見極め」よと言うのなら、まず著者自身がそうであるよう心がけるべきだろう。