サクラクエスト最終回感想

サクラクエスト』は主人公木春由乃が、名前の似ている芸能人椿由乃と間違えられて間野山という田舎町に来たことで始まる話。

登場人物が多いから、表の主人公は由乃だとして、裏の主人公というか、第二の主人公というか、主役ほど目立たないけど大きい役割を果たす人がいるだろうなというのはずっと感じてた。

序盤はそれが四ノ宮しおりだとばかり思っていたのだけど、終わってみると裏主人公は門田丑松(CV:斧アツシ)その人であった。

たしかによそから来た「若者で馬鹿者」が間野山を変えたけれど、実際に変えた一番の功労者は丑松その人。

前半はしおりちゃんのキャラクターで視聴者の目を引っ張り、気がついてみると丑松ら年寄り組(「天寿の3P」に草不可避w)を応援しているという、不思議なアニメだった。

「若者で馬鹿者」とは用語でいえば「トリックスター」の役割なわけだけど、一番トリックスターしてたのはどう考えても丑松だろうという。

では四ノ宮しおりとは何だったのかというと、地元民の代表ヒロインということになる。

これは主要登場人物を表にしてみればすごくはっきりしている。

ヒロイン 出身 放送より前 放送時 放送後 注釈
由乃 どこかの地方 東京 間野山 間野山の外へ プロ国王
IT大臣 不明 東京 間野山 間野山 Iターン
おでん 間野山 東京 間野山 間野山 Uターン
だんない 間野山 間野山 間野山 間野山 地元代表
さすりり 間野山 間野山 間野山 間野山の外へ 目覚めて旅立つ人

5人は間野山のかかわり方に関して順列組み合わせ的に5つのパターンにきれいに分かれる。

凛々子は出生は間野山か不明だが祖母のところにずっといたので出身としては間野山だろう。

都会と間野山のかかわりを放送前と放送時の期間で組み合わせれば「間野山-間野山」か「東京-間野山」かの2通りにまず分かれる。なお、「間野山-間野山以外」と「間野山以外-間野山以外」は主要キャラになり得ない。後者は出身によりIターンとUターンと一時滞在の3通りでそれぞれ早苗、真希、由乃となる。前者はしおりと凛々子で、この二人はどうなるのかと思ったが凛々子は世界へ旅立って行ったのでこれできれいにパターン分けが完了。

四ノ宮しおりは、いわば間野山の魅力を人の形で見せるのが役割だったのだと思う。このまま「さえない田舎」で一生を終えるのか、より活気に満ちた間野山で生きていくのか。前者の選択を「あり得ない」と視聴者に思わせるためのキャラクター。

国王は新中央航空のドルニエ(実はドルニエ社はもうないのだが)でどこかの島へ。国王が実は学生時代にモデルのバイトで契約していた事務所とまだ契約関係にあるというのが、今回の「お仕事シリーズ」でユニークなところで、いわば勤め人ではなく芸能人的な職業に就いたという結末。

ドルニエで行った島は「椿」だけに大島だろうというのが大方の予想。

「頑張ってればいつか自分に合った仕事が見えてくるよ」。そんな話なのかなーと思ってみたりする。1話であのコミュ力と見た目で就職できないのはおかしいだろうと思ったところはちょっと目をつぶろう。

Inkscapeを練習しながら語る飛行機の翼(その2)

前回のまとめ:翼は梁である。

主翼は揚力で機体を空に浮かべる装置で、同時に、揚力で機体の重さを支える梁でもある。

空力的な重要部材であると同時に、強度が必要な部材、というところが面白い。

そして、前回書いたように、翼の付け根は上に曲げようとする力がかかっている。

なので、図のように翼の付け根にヒンジがあったとすると、

こんな具合に主翼がバンザイして墜落してしまう。

これを防ぐにはどうするか。

たとえば、胴体の下に突起を出して、翼とバネでつなぐ。

バネが伸びて引っ張り力がかかり、翼を支えられるかもしれない。

この図は何をもとにして描いたかというと、

鳥の体の断面図。図はwikipediaから。

鳥類の体の構造 - Wikipedia

十字懸垂の達人、鳥は、こんな具合に肋骨の発達した竜骨突起と翼を太い筋肉でつないでいる。

その筋肉の量が相当なものというのは焼き鳥から連想される通り。

翼を下に引っ張り下ろすためにある大胸筋は飛べる鳥では体重の15~25%を占めると上記wikipediaには出ている。翼を持ち上げる烏口上筋と合わせると体重の25~35%になるという。

これだけの筋肉を鍛え、維持していないと鳥は飛んで生きることができない。

人間も油断すると筋肉が減って脂肪ばかり増えてしまうから、鳥も相当大変な思いをしているだろう。

大変だろうというのは印象だけの話ではなく、鳥は離島で天敵がいないなどの環境に居つくと、多くの種が飛ぶのをやめてしまう。絶海の孤島の例でいえばマダガスカル島ドードーニュージーランドのモアがそう。

モアなど哺乳類がまったくいなかった島で草食動物の生態的地位を占めてかなりの大型に進化した。人類が海を渡ってやってくるまで飛べなくても普通に生きながらえてきた。今でもキウイのような飛べない鳥がニュージーランドには生息している。

鳥がこのような多くの筋肉を保持しているのは、ただ十字懸垂をするためだけではなく、積極的に羽ばたいて地上から飛び立つためでもある。つまり、鳥の筋肉は翼を保持する強度部材であると同時に、エンジンの役割も担っている。

飛行機も重量のかなりの部分をエンジンが占めているから、こう考えると鳥と飛行機の距離は近い。ゼロ戦主翼がやけに前の方についているのも、重いエンジンが機首にあるからで、逆に胴体は尾翼を支えるただの板金の筒で中はほぼガランドウになっている。

飛行機の開発に挑んだ人々の歴史をたどると、イギリスのジョージ・ケーリーは1799年には飛行機の推力と揚力を分離する構想をもっていたとされる(佐貫亦男:『不安定からの発想』)。

飛行機の主翼は前進に必要な力(抗力)に対して10倍ぐらいの揚力が出せるから、自重の1/10の推力が出せるエンジンがあれば飛ぶことができる。

小鳥のように地上から滑走なしで飛び上がるには体重を上回る推力が必要だけど、二乗三乗法則があって大きいものほどそのような飛行は難しくなる。鳥も大型の鳥は滑走しないと離陸できなくなり、飛べる鳥の体重の上限は15kg程度とされる(ぐぐったらアフリカオオガンが22kgだとある)。中生代を生きた翼竜は翼幅こそ10m以上と飛行機並みになっても、体重は70kg程度だったとされる。人ほどの体重が、それに付加するする装置で羽ばたき飛行をすることはおよそ不可能だというのがこういった数字からも分かる。

生き物は往復運動が得意なので、羽ばたきにより空を飛ぶことを可能にして、いわば羽ばたいて離陸できる筋力があるため、その余力で翼を水平に支えている。大型の鳥は滑空であっても翼を支えるのはけっこう大変だそうだけど、ともかく筋肉で翼を支えている。

機械は回転運動が得意だから、プロペラなどに推進力は分担させ、揚力は連続した梁で受ける。人はそうやって飛行機を発明して飛べるようになった。推力と揚力を分離するという発想は大きい進歩だった。

なお、機械は回転運動が得意なので、鳥の羽ばたきと同じようなことを回転する翼で実現しました、というのがヘリコプターということになる。ヘリコプターの仕組みも面白くて考え出すと止まらなくなるけど、話が長くなってしまうので今回はここまで。

2017年横田基地日米友好祭

昨日今日と開催。昨日3年ぶりに行ってきた。台風が近づいているものの、たまにわずかに雨が降るだけで、傘をささずに行ってくることができた。涼しい中歩いて、飛行機などの展示を夢中で見たり写真に撮ったりして楽しい一日だった。

ただし、前の日に北朝鮮が中距離弾道ミサイルの発射を行ったことと、台風が近づいていることの影響で戦闘機などの展示がキャンセルされ、派手さのない友好祭になってしまった。

特に、三沢基地で展示されたB-1Bが横田基地にも来る、という話があったので、これはちょっと参った。

各機がキャンセルになった理由はミサイル発射後の有事に備えるためと、横田に来ていて必要な時に台風で飛べなくなっていたら困るという複合的なものらしい。

なお、国連決議で武力制裁は可とされていないためアメリカはじめ各国が先に攻撃を始めることはないから、おおむねこの秋のイベントは予定通り開催される見込み。

以下昨日の写真。

着いて早々に航空自衛隊のC-130Hの飛行展示。湿度が高いのでプロペラがベイパーを引いている。

本当なら戦闘機が並んでいるあたりに並べられた米軍のC-130H。レトロフィットされた防衛用装備に目が行ってしまう。

胴体後部もバルジを設けて何らかの機器を増設している(多分ミサイルのセンサーを目つぶしするレーザー発射機)。

自衛隊のKC-767。カーゴドアを開けている。

給油用ブームを伸ばした状態。

米海軍のP-8哨戒機も展示。飛んでるのは厚木で何回か見たけど地上で見たのは初めて。

横田基地で初めて見たRQ-4グローバルホーク

反対側をより近くから。映画のエイリアンみたいな機首は衛星通信用アンテナを覆うフェアリング

胴体はシンプルなモノコック構造で、背面は上にエンジンが載っていて、機首は上面が一段低くなった上に衛星通信用パラボラアンテナが載っている。胴体下面はセンサー類があって、主翼の前下方の胴体のふくらみは合成開口レーダー。

無人機の特徴はなんといっても、人が乗る必要がないので人の搭乗スペース、視界確保のための風防、生命維持のための各種装備などもろもろが必要ないこと。形にもそれが如実に表れている。

運用高度15000m以上で航続時間は30時間を超えるが、この高度と時間を有人機で実現するには相当の装備が必要となるはずで、人が乗らないからこそこの性能が実現できる。

アスペクト比の非常に大きい細長い主翼は高高度性能と航続性能の高さを表している。

ATIの757-200。

エプロンにさらに2機のグローバルホークがいた。

飛行展示を終えたC-130Hが戻ってきた。日の丸を掲げて隊員の不屈の精神を示しているように見える。

ハワイから来たC-17。

海兵隊のCH-53E。横田基地で見るのは初めてな気がする。

同じく海兵隊のC-130Jの空中給油ポッド。下の穴からドローグが出てくる。

個人装備の展示から、レーザー誘導爆弾の目標指示に用いるレーザーポインター

MC-130HコンバットタロンII。東日本大震災仙台空港に着陸した姿を思い出す。

そのコンバットタロンの空中給油ポッド。石川潤一先生によると貴重な吊るしものとのこと。


コバム社のWEBページはこちら。

Cobham plc, Air-to-Air Refuelling, Wing Air Refuelling Pods


午後のUH-1Nの飛行展示。レンズを通して広報カメラマンと目と目が合う瞬間。

横田基地のC-130もJ型が配備されるようになった。6枚プロペラやコクピットのHUDなどが特徴。

航空自衛隊ペトリオットシステム。ミサイルはPAC2(手前)とPAC3(奥)の同時搭載。2と3は別のものだと思っていたのだが、弾体は任務に応じてどちらも使えるとのこと。今回は展示用に2種類搭載して見せているが実際はどちらか一方を搭載することになるという。

日本ミリタリーヴィークル協会による軍用車両の展示。写真はM3ハーフトラック。展示している車両は全て実物。販売も行っているとのこと。M3以外はナンバーをつけて道路で走らせることができるという。

というかハーフトラック初めて見た。

派手な展示は少なかったけれど、注意してみれば面白いものばかりで、やっぱり自分は飛行機が好きで、飛行場イベントはたまらなく楽しいと思った。

Inkscapeを練習しながら語る飛行機の翼(その1)

続くかどうか分からないけどこんなシリーズ記事を考えてみた。

飛んでいる飛行機を正面から見ると、おおむねこういう力が働いている。

胴体の重量を主翼の揚力が支えている。

大学で構造力学を勉強したことがあると、このときの主翼が分布荷重を受ける片持ち梁だ、と気がつくと思う。

専門の勉強した人はここで話は終わり。

直観的に、この力の状態がどういうことで、翼がどんな力に頑張ってるかが分かるように語ってみたい。

主翼を右側半分だけ見てみる。

揚力は空気の力だから、面的に分布してかかる力。とはいえ、物の重さに対して重心があるように、揚力も作用中心がある。図の下は、分布している揚力を作用中心の一つの力に置き換えてみた場合。

で、最初の図を改めて描くとこうなる。

主翼は揚力で両端を支えられた梁で、その中心に胴体の重量がかかっている、という図になる。

主翼の中心あたりの荷重を考えると、これは最初の図とあまり違わない。

もちろん、胴体から離れたところの主翼の力の状態はかなり違う。

飛行機は無生物だから、要は梁を渡してその上に胴体が乗れるだけの強度を持たせればいい、となる。

でも、これを人間がやるとけっこう大変で、

十字懸垂。写真はwikipediaより。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A4%E3%82%8A%E8%BC%AA

そして、万一翼の梁が壊れるとどうなるかというと、

こういう具合に翼は上に折れ曲がる。合掌。

特撮やアニメの戦闘シーンでこういう壊れ方が再現されていたら褒めたたえましょう。

何気なく飛んでいる鳥も、空中で十字懸垂をずっとやっているのと同じだというのは、東昭先生の講演で教えていただいた。

こんな視点で翼について考えるといろいろ考えが湧いてきて止まらなくなる。

頭の中にはいろいろネタがあるけど、続きをやるかどうかは未定。

ドローソフトの練習と、分りやすく、短く書くことが両立できたら次の記事ができると思います。

ニコン1V2

ニコン1は2012年に試しにV1を買ってみてから早5年。気がついたら手元にボディがV1、V2、V3とそろっていて、持ち出す機会も多く、完全に主力カメラになっている。

その中で一番便利で、しかし一番曲者のカメラがニコン1V2。

入手の経緯、外観デザイン、撮影の得意不得意、写真の画質、そしてトータルでのカメラとしての使いやすさ。こういった要素のいずれも印象的で、常に意識に上がってくるカメラ。

ニコンがミラーレスカメラシステムとして2011年に販売開始したニコン1は、当初はあまり好調ではなく、売り出すカメラがいろいろ試行錯誤し続けていた。その結果として、2015年にJ5が発売され、これが価格がこなれたここ最近になってランキング上位に顔を出すような売れ具合になっている。ここまでよく頑張ったものだが、途中で奇妙な製品も販売されたこともやはり事実となる。

その奇妙なカメラの筆頭がこのニコン1V2。V1の不評から大きくデザインの方針を変え、2012年の新たなニコン1のフラッグシップとして登場した。

V1とV2を比べると、ニコンが何にこだわっていたのかが見えてくる。まず大きさと重さ。V1は電池が一眼レフと共通のEN-EL15ということもあり、やや大きく重いカメラだった。カタログデータでボディの質量が電池SDカード込み383gとある。V2は337gで46gの軽量化。

一方で、グリップをつけ、EVFを高く持ち上げてより「高性能な」カメラに見える外観にした。V1はぱっと見カメラらしくないデザインで、機能や性能をあまり表に出さないシンプルデザインであるので、ここは明らかな路線変更。

実はV1もカメラらしさにこだわったデザインなのだけど、目標がライカのような古い小型カメラにある。というかライカM3と見比べるとやはりデザインの方向性が似てると思う。

胴体を直方体の左右に半割りした円柱をくっつけた形にしたのはまさにライカの形。正面から見てボディが正方形2個分、縦の高さに対し幅が2倍ならよりライカ的になる。そこはV1は少し幅が狭い。

ただし、V1はこの左右が丸められた直方体とした躯体に電子部品類が収まらず、後ろにかなり出っ張っている。白ボディでは黒く塗って目だないようにしてあるけれど、この厚みは意匠的にはマイナス点となる。

V2はライカにぜんぜんにていない角ばったデザインで、ボディ背面を黒く塗りつぶして厚みをごまかすようなことはしていない。

ではいかほど薄くなったかというというと、撮像面からボディ背面までV1は約18mmに対し、V2は約17mm。いや、1年で1mmも縮めたのはすごいと思う。でも、実はメカ的にはあんまり小さくなっていない。

でも持ってみると実際に薄いし、意匠的にも「黒塗り」でごまかしてはいない。

V2が削って薄くしたのは撮像面より前で、特にマウントとグリップの間を大胆に削っている。V1はボディからマウントの突出が約1mmだが、V2はこれが約10mmもある。

電池をより小さいEN-EL21に変え、しかも収納位置をグリップにしたからできた薄型化。

ユーザーとしてはグリップをもう少し大きくしてEN-EL15を引き続き使えるようにしてほしかったのだけど、どうもここはニコンがやりたいこととユーザーが求めているものが食い違っている。ボディの小型化といえばレンズ着脱ボタンがボディ左側から外にはみ出しているのもやりすぎで、ここまで骨身を削るような小型化はユーザーは求めていないだろう。

あとはV2では、ボディの上部を台形に絞って天端の平面を狭くし、より薄く、小さく見えるようにしている。

デザイナーの意図は分かるが、結果としてほぼ直角にEVFがそそり立ち、一方ボディはやせぎすで、第一印象は「奇妙な」と言いたくなってしまう、そんなカメラが出来上がった。ちなみにそそり立ったEVF部には折畳みストロボも置かれている。

ミラーレスカメラを高性能な一眼レフに近い意匠にするというのは実はアリで、オリンパスはOM-Dとしてその方針のカメラを発売して成功している。

ニコンは上に一眼レフがあるから、ニコン1がOM-Dのようになることはまずないだろう。

デザインの話をしたら長くなってしまった。

デザインとしてはあと1点、モードダイヤルとコマンドダイヤルを追加したのがV2の特徴。

ある意味、ダイヤルを装備したことがこのカメラの脱「シンプルデザイン」のきっかけだったのかもしれない。

これが実際使いやすい。まずコマンドダイヤル。回すだけではなく、水平方向に奥に押し込むことができる。回して選択、押して確定、というのを指一本でできるのがいい。

また、飛行機を撮影するならモードダイヤルでSモードにしてコマンドダイヤルでシャッタースピードをすぐ変えられる。V1ではモードを変えるのにメニューから選ばなければならない。

しかも、PSAMモードでは最後に設定した値を覚えていてくれる。例えば、Sモードを飛行機撮影用にした上で、オートモードで地上展示を撮影するような使い方ができる。飛行機が飛んで来たらすぐモードダイヤルをSにすれば、フォーカスエリア、AFモード、連射の設定などがその直前と同じ設定で撮影に入れる。レンズ交換が必要ない場面ならこの、モードダイヤルですぐカスタムした設定の撮影に入れるメリットはより活かされる。

この辺の使い勝手はいかにも手馴れたニコンらしさで、ニコ爺をやめられない理由。V3もこれは継承されている。

操作性は、なにしろそれ優先でデザインされているのでそこそこいい。GPSユニットを装着していてもストロボがポップアップできるとか心憎いと感じる。

ただ、メカシャッターでAF-S及びAF-Aのとき合焦音を消す選択肢がないのは納得いかない。V1のアフタービューが消せないのと同程度に納得いかない。V3でようやく両者が解決(ただしEVFGPSユニット等のアクセサリが排他的となる)。

さて、このV2を購入した経緯だが、そもそもは1 Nikkor 70-300mmを買ったところから始まる。2014年の9月に注文して11月に入手。V1に装着していざ飛行機を、と入間基地に行ったところ、困ったことに飛行機の動きをピントが追ってくれない。AF-Cを選定しているにもかかわらず。AFエリアをターゲット追尾にしてもダメ。

で、当時の最新機種V3を買わねばならないかと調べていたところに、V2と10-100mmの便利ズームのセットが売られているのに気づいた。しかも、10-100mmのレンズを単体で買う場合に比べて、V2とのセットはプラス3000円程度。V2ボディたった3000円。レンズもほしかったのでもうポチるしかない、というので購入。

10-100mmはそれより前に、J3とのセットだとレンズより安いという現象が起きていたのだけど、J3は別に欲しくないので見送っていた。

そしてさっそく飛行機を撮りに行った。

http://glemaker.hatenablog.com/entry/20141115/p1

↑がニコン1V2の飛行機デビュー。AFは飛行機を追える。これは確実。

ただし、EVFの方にコストダウンが大きかったせいか、今度はフレームが飛行機を追えないという事態になった。その理由はおそらくEVFのタイムラグ。V1とV3は比較的動いてる物体も追えるので、V2だけが残念なことになってる。

とはいえ、動きが予想できる被写体であればこれぐらいは撮れる。

さて、最後に画質。

1000万画素のV1から1400万画素に増えたV2。ローパスフィルターを持たず、ベースのISOが100から160になって解像度も高感度耐性も向上しているという売り文句。

結論から言うと、ノイズが多くて等倍鑑賞ではがっかりする。

ニコン1はJ5以外どれもややざらついてる印象があるが、V2は一番それが目立つ。

例えばこの写真から等倍で切り出すと、

同じようにピクセル等倍にしたV1の写真が以下。

V3だとこちら。

V2はSNSで写真を披露する分には問題ないが、撮影画像をそのままネットに上げるのはあまりしたくない感じ。

以下V2の外観写真。

カメラの方が主張が強くて10mmf/2.8が似合わない。

正面から見ると角ばったデザインから「ニコンの白いモビルスーツ」と言いたくなる。まあ不人気の白をわざわざ選ぶ方もたいがいだが。

ダイヤル装備は使いやすい。V3ではサブコマンドダイヤルもついてさらに改善。

ストラップに着いている黒い袋は赤外線リモコンのケース。めったに使わないけど邪魔にもならないので持ち歩いている。

黒いのは液晶ディスプレイ回りのみ、というV1からかなり変わった背面。モードダイヤルも勝手に回ったりしない。

普段使ってる形態。GPSユニットGP-N100を装備、レンズは10-100mmf/4-5.6。花形フードは「別売」。2000円ちょっとする。それでもいろいろな場面で使うのでフードはレンズの保護に有用。保護フィルターも装着。

なお、決して乱暴に扱っているわけではないが、何度か落としたことがあって、気がついたらトップカバーに欠けとひび割れが。V2だけトップカバーがエンプラ。あと、隙間から見たところ、防滴のシーリングはないらしい。小さいので傘でおおむね雨はよけられる。
以下は今日撮ってきた写真。

10-100mmは歪曲収差があるが、V2以降は補正がかかるのでまず気にならない。

V2の10-100mm。

V1の10-30mm。

違うと言えば違うし、このサイズではどっちでもいいといえばどっちでもいい。

V2の10-100mm。

V1の10-30mm。

オートモードの色温度の選定がカメラによって微妙に違うようだ。

ニコン1は現在J5とAW1だけが販売されている。J5はミラーレスとしてはコンパクトでまた値段も割安、AW1は水中撮影が可能なレンズ交換式カメラとしてほぼ唯一の現行機(ただし水中でレンズ交換はできない)。

今後ニコンから新しいミラーレスカメラが発売されるのは確実と思われるが、それがニコン1かどうかはまだ不明。ただ、1インチのカメラでDLを中止し、ニコン1が残っていることから、ニコン1はまだまだ続いてゆくと思っている。そう遠くない先にSnapBridgeに対応したJ6が出るのではと考えているし、高級路線のV4もいずれ出ると期待している。

そうでなくても、電磁絞り、ステッピングモーター沈胴式レンズ、DL用EVF(アクセサリーシューがニコン1専用でなくなったので、他のフォーマットのミラーレスカメラが出る場合でも流用可能)など、ニコン1の開発から派生して他のカメラに取り入れられている要素は少なくない。ニコンの製品のメインストリームはデジタル一眼レフなので、その傍流のニコン1は様々な試みがなされてきたことが分かる。それがニコンのカメラ全体にいい影響を与え、また、それがまわりまわって新しいニコン1のカメラが出る、という良好なループが形成されるならとても楽しいことだと思う。

ニコンのいろいろな試みが詰まったカメラ、ニコン1V2は、形は変だけど面白くて使いやすくて、ただちょっとノイズが残念なカメラ。まだまだこれからも使ってゆきたい。

ニコンD700


デジタル一眼レフは今まで3台使ってきたが、現在手元にあるのはD700。2011年8月に新品で購入し、D200を手放してからは唯一のデジタル一眼レフとして使用中。

買った時はレビュー記事を上げようと考えていたが、結局書かずに今に至る。

なぜ急に書こうと思ったかというと、いつまでも使えると思ったこのカメラが故障の危機に至ったため。今回は無事障害を除去でき、当面使い続けることができるようになったけど、将来またどんな故障が起きるか分からない。D700とのつき合いはいつか終わると認識しなければいけない。

なので改めてD700について書いて記録を残しておくことにする。

購入は6年前で、その当時はDXフォーマットD200を使っていたから、手持ちのレンズの画角をそのまま使えるフルサイズ一眼は喉から手が出るほど欲しかった。

しかし最も安いフルサイズ一眼のD700といえど2008年の売出し時は30万円を超えていたのでまだまだ高根の花と思っていた。それが、カメラ量販店のWEBサイトを覗いたら、2011年にはボディが20万円を切っている。ということで、数日考えてからぽちった。

最安値は逃したが、買ってしばらくして販売終了になったのでそこそこいい買い物だったと思っている。

ボディが届いてさっそく始めたのが手持ちのレンズを次々つけて撮影すること。フィルム時代に買った多くのレンズがフルサイズ一眼を待っていた。

買って最初の週末に車で出かけて、トキナーAT-X280AF Proで撮影。

フィルム用レンズでまったく問題ないことを改めて確認した。

このレンズは開放だといろいろアレだけど絞ればほぼ問題ない。

HC50mmf/2。絞りf/2.8で撮影。

非CPUレンズはレンズ情報を何件か登録できるため、登録すればマルチパターン測光が使えるしExifにもレンズの情報が残る。

このレンズは1996年に中古カメラ屋で12000円で購入したもので、Ai改造済みのためD700でも問題なく使える。若干の黄色い色つきと樽型の歪曲収差があるが、それ以外は問題ない。絞り羽根が6枚なのでボケや輝点が独特の描写になる。

デジタル一眼対応レンズも購入。これはAF-S24-120mmf/3.5-5.6G。

中古美品が4万円以下というお買い得レンズで、撮ってみるとその理由も納得なのだけど(ワイド側の周辺で解像度が低い、手振れ補正が有名無実等)、D700用便利ズームとしてはバランスがいいので結局よく使っている。今は中古は2万円以下になってる。しかし1200万画素なら我慢できるとしてもそれ以上の解像度は無理かなとも思う。

最近の写真だとこれ。ニコン1の出番ばかり多くてD700はなかなか使う機会がないけど、ここぞというときには1インチでは撮れない写真が撮れる。フルサイズなのでボケを活かすのも簡単だし、等倍で見た時の解像感、ノイズ感も1インチよりずっといい。

しかもこの写真など20年以上前に買ったAiAF50mmf/1.4S。古いレンズを活かせるのはマウントが変わらないデジタル一眼レフならでは。

とフィルム時代のレンズをあれこれ遊んでいたところに突如として障害が。

写真の下2/3から3/4ほどが黒くなって上端しか写っていないという状況に。撮影時にミラーアップが正常にできないという、今まで経験したことのないトラブル。

しかし長時間シャッターを使ってみたり、シャッターが開いてるときに電源を落として強引にミラーを下ろしたりとしている間に障害が現れなくなった。

何が起こったのかわからないままその日の撮影は終了。

こんな具合でまったく正常に撮れてる。

色合いがおかしいとかはレンズが5000円で買ったジャンクレンズだから。24-70mmの普及価格帯のズームレンズ。

後日動作を確かめたらやはり問題ない。

では、とレンズを変えようとしてミラーボックスから謎の金属片が発見された。

原因判明。レンズからミラーボックスに部品が落下、部品がミラーアップを妨害。ミラーが下がっているときにカメラの姿勢により部品の噛み込みが外れて正常に復帰。ということ。

金属片が発見された状況を再現するとこうなる。

最終的に金属片はマウントの下部でレンズとボディの間に挟まっていたらしく、ボディ側に傷がついている。

部品はズームレンズのカムとレンズユニットを連結するピンではないかと推測している。ボディ側でこんな部品が外れるなど考えられない。

しかしレンズも今のところ正常に使えてるからまた不思議ではある。

こんなトラブルはくだんのレンズを買っても十数年起きなかったことなので、今後起きることはないと思うけど、またいつ何がおきるか分からない。

クリーニングしていてうっかりセンサーに傷をつけてしまったこともある。写りにまったく影響が見られないのでそのまま使っているが。影響あるようだったらその時点で多大な修理費か買い替えかという選択を迫られるところだった。

で2017年。ニコンのWEBサイトで修理受付を検索するとD700が消えている。今後故障したら買い替えしか手段がない。中古に買い替えるという手はあるにしても、手元のD700が故障したら現行機種への買い替えの方がよりよい解になると思う。

経験的に、レンズは長い付き合いができるけれど、ボディはどこかで寿命が来る。特にデジカメはセンサーに汚れが蓄積されてゆくので、それが画質に影響するようなら寿命と判断せざるを得ない。センサーに相当する部分が常に新品に変わるフィルムカメラとここが大きく違う。

なので、F-801とF3はともかく、D700とはいつかお別れの日が来るので、そのときに後悔がないよう大事につき合っていきたい。

ギガ恐竜展2017

幕張メッセで開催中の「ギガ恐竜展2017」に行ってきた。

giga2017.com


前回幕張の恐竜展に行ったのは2012年なので5年ぶり。

前回会場は国際展示場9-11ホールを全部、または10と11ホールをつなげて使っていたが、今回は展示ホール11のみ。

恐竜ルネサンスが一気に広まった映画『ジュラシックパーク』の公開からかなり経つのでもう盛り上がりはこんなものかと最初は思ったものの。

展示内容のガチさに評価高止まり。

主な客層は夏休み中の小中学生だろうけれど、「恐竜とは」という基本的な説明から、最新の知見の紹介と、最近発見された貴重な標本の実物の展示を惜しみなく行い、非常に充実した展示内容だった。

基本からさらに上のレベルまでバランスよく配置し、面白く展示するというのは、きっと見に来た子供たちに忘れがたい知的な刺激をもたらしたと思う。

以下当日の写真。写真はストロボを使わなければ撮影自由(ただし著作権の関係から動画の動画撮影はNG)。

まずは「恐竜とは?」の基本的な説明ブース。直立歩行する爬虫類、という定義や、起源は古生代にさかのぼるとされる最新の知見、初期の恐竜とその時代に生きていた・または近縁の他の生物の化石。

写真は「最初の恐竜」として知られるエオラプトル。

他に翼竜、首長竜、カメなどの化石もあった。

そして恐竜の部類に関する最新の学説の紹介!

以下はそのNatureの論文の紹介記事。

http://www.natureasia.com/ja-jp/nature/pr-highlights/11754

100年以上前に骨盤の形が「鳥っぽい」、「トカゲっぽい」という理由で大きく2分されてきた恐竜の分類が大きく変わるかも、という話。

この新しい分類図を見て心の中がかなりすっきりしたのでこの学説がさらに深く検証されるといいと思う。

何がすっきりって、ティラノサウルス等の獣脚類とカミナリ竜の竜脚形類が、恥骨が前向き、という理由だけで同じ「竜盤類」に分類されていたのが、もっと系統が遠いだろうと分けられたこと。そして獣脚類は鳥盤類とまとめて鳥肢類の分類へ。ティラノサウルスがイグアノドンやトリケラトプスの方に近いというのはけっこう納得できる。そして鳥が鳥っぽいグループから出現したというのも納得度高い。

堅頭竜類の化石3種。置物にしたい造形美。ファンタジーの創作物ではなく実際に生きていた生物の化石というのがもうね。

今回展示の目玉、日本初公開のルヤンゴサウルス。

長い。

頭は小さく、非常に軽量化されている。首は頸肋骨が長く伸びて、「南京玉すだれ」の原理で首を支えたとされる。背中からは腱が伸びて首を吊って支えた。腱は尻尾も支え、首の重さを長い尾でバランスさせた。

こうすることで巨大な胴体はあまり動かすことなく、広い範囲の植物を食べることができ、そういった効率的な体はより恐竜の体を大きくしたという。

哺乳類だとゾウが体を大きくし、鼻を伸ばしてエサを採る効率を高めているが、頭そのものを前に出してついでに軽量化するのが恐竜のスタイル。

首が長すぎると呼吸しても新しい空気が肺に入らないのでは、という謎もあるけれど、鳥と同じ気嚢システムがその辺を補っているらしい。

剣竜の展示。写真はトゥオジャンゴサウルス・マルチビナス。

背中の骨板は体温調節のためというのが定説になっているようだ。

恐竜の復元イメージがこう変わった、という展示。まず従来の羽毛なし復元模型。

そして最近の羽毛あり復元模型。

ほぼ鳥。まあ鳥を参考にしてるから似てるのは当然かもしんないけど、それにしてもこれを見るとダチョウやエミューが恐竜そのものということが分かってくる。ヒクイドリとかヘビクイワシも恐竜でなかったら何なのかという。

「恐竜の内部を探る」ブースの展示もすごかったけどネタバレになるので省略。卵化石、内臓の印象が残る化石、ミイラ化石、孵化前のホビロン状態化石など貴重な展示多数。

カミナリ竜の頭骨いろいろ。軽量化されていること、歯が単純で咀嚼など不可能なことが分かる。餌の植物をこの歯でもぎ取って、丸飲みにし、咀嚼は胃石の方で行う。あとは腸内の細菌を活用して消化。

竜盤類の恐竜化石。左の小さいのがモノニクス。ティラノサウルスの前脚が2本指なのは知られているけど、1本指まで減ったのがこれ。こんなに小さい恐竜だったとは。

ちなみに骨盤から下に出てる恥骨が前に出てるのが竜盤類。

ドロマエオサウルス。

恥骨が後ろに曲がっているけれど、系統的に「竜盤類」とされる。

きわめて鳥に近いグループで、鳥っぽい骨盤はここですでに出来上がっている(したがって鳥盤類が鳥に進化したわけではない)。

先に示した新知見では、骨盤の恥骨の向きがどうこうは恐竜の大きい分類にはあまり関係なくなったので、「ドロマエオサウルス類は2次的に骨盤が鳥っぽくなり」、という余計な説明も今後は要らなくなるかもしれない。

後足の親指に発達したカギ爪があり、これを武器にしたとされる。映画『ジュラシックパーク』で大活躍したヴェロキラプトルもこの仲間。足跡化石からも後脚の2本指で歩いていたことが分かっていて、親指は大事に上に曲げた状態にされていた。その分鋭かったのだろうと推測される。普段収納しているネコの爪みたいに。

角竜の様々な頭骨。最新の学説で、角は身を守る武器というより大人と子供を見分ける目印というのが紹介されていた。写真のような多様な角の形は繁殖のためのアピールポイントとして進化したということに。

その辺、哺乳類でもシカの角とかそうなってる。

進化は環境に適応するために起きる、とはよく知られていることだけど、それとは別に、子孫を増やすのに有利な形質も、時には生存に不利な要素だとしても、広まってしまうというのもまた進化でよくある現象。

中生代も、「異性にもてる」というだけで恐竜の見た目が多様になり、さぞ面白かったのだろうと思う。

最後の方の展示。K-Pg境界層の標本。いわゆるK-T境界層。

ここを境に恐竜の化石がさっぱり出なくなる。それだけではなく、海にやたらと沢山いたアンモナイトもいなくなる。アンモナイトは数が多いだけにここで化石が断絶するというのはより印象的。

この層は世界中にあって、地球外由来と考えられる高濃度のイリジウムが検出されることから、直径10kmクラスの隕石が落下したことにより形成されたとされる。

恐竜の絶滅が隕石の落下によるというのは、ルイス・アルヴァレスとウォルター・アルヴァレスの父子により1980年に発表された説。

wikipedia情報に1980年とある。サイエンス誌の論文掲載は1982年のようだ。
Iridium Anomaly Approximately Synchronous with Terminal Eocene Extinctions | Science

もう40年近いわけだが、この説はその後確度が高まる一方で、恐竜絶滅に関する最も主要な説となっている。

ということで、恐竜の起源から絶滅まで、一通りの知識を得られるまとまったいい展示だった。

いや違う。恐竜の起源から、鳥として現在に至るまでの、一通りの知識だ。

9月3日まで開催。