Great Spangled Weblog

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エステーエアカウンターS

2月に発売された、エステー線量計エアカウンターS。

エアカウンターに様々な改良を加えて華麗にモデルチェンジ。

http://www.st-c.co.jp/air-counter/

今回は出荷個数が多く、全国同時発売なので、すぐに入手できた。

さっそく室内の線量を計測。

最初に電源を入れたときは0.5μSv/hぐらいの値が表示され、約2分間の計測完了後の値も0.28μSv/hと、妙に高い値だった。だが、リセットを3回ぐらいやったら0.1μSv/h以下になり、値のぶれはそこそこあるが、自宅のある地域としては普通の値を示すようになった。

そして手持ちの3台を並べてみたのが上の写真。

γ線が0.1μSv/h以下の環境というと、放射線の飛び方自体がランダムかつ低頻度なので、どうあっても値がばらついてくるのは仕方がない。

その中でエアカウンターSは0.07μSv/hと、エアカウンター購入時に計測した値と同等の値を示している。

エアカウンターはなぜか高いほうに値がぶれて0.12μSv/h。逆にSOEKS01Mは低い方にぶれて同じく0.12μSv/h(途中リセットがかかったらしく黄色いバーが満タンになっていない)。いつもは倍の差が出る両機が同じ値を出すとは珍しいこともある。

余談だがSOEKS01Mは(独)国民生活センターの調査によると鉛箱内(放射線ゼロの状態)でも0.08μSv/hあたりの数値を出してしまう。このため、線量が低い場所では値は当てにならない。おおむね0.3μSv/h以上がこの計測器が本気を出せる領域。リンク先はPDF。

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20111222_1.pdf

線量が高い場合はどうかというので、またマントルに近づけて計測。

まずSOEKS01M。

β線遮蔽ありで0.81μSv/hという表示。線源がトリウムだからSv値は正確な値ではなく、あくまで目安。

それにしても、いつも0.5〜0.6ぐらいの値のはずなのだが、この日のマントル放射性物質がたけり狂っていたのか、値がやや高い。

エアカウンターSではどうか。センサーをマントルの直上に置くとこうなった。

0.82μSv/hでSOEKSとほぼ同じ値。線量が高ければちゃんとそれを知らせてくれるというのが確認できた。

なお、放射性同位体元素の崩壊は通常、一定の確率でランダムに起こり、トリウムあたりだと大数の法則からして日によってたけり狂ったり穏やかだったりということはありえないので、SOEKSが大き目の値を出したのは計測誤差だろう。エアカウンターSはセンサーが線源により近いのだと思う。

旧型のエアカウンターではどうか。

0.65μSv/h。値がやや低いのは、センサーが線源からやや離れていたためと考えられる。

結論として、今までSOEKS01Mとエアカウンターとで補完し合って放射線計測を行っていたのを、エアカウンターS1台でこなしていけそうだ。

  • 計測時間がSOEKS01M同様2分程度でいい
  • 0.1μSv/h以下の領域でもそこそこ使える
  • 太陽光の下でも液晶の表示を容易に写真に写すことができる(写真に位置情報も書き込めば手書きのメモよりずっと有力な記録になる)
  • 省電力で予備の電池を持たなくていい
  • 電池が入手しやすい単三電池(LEDライト等と同じで電池の備蓄を単三で統一できる)

こんな利点があって、今までの2台はお蔵入りしそうな勢い。

もし実地で計測精度が悪いようなら、複数回計測して平均をとる必要がある。それでもエアカウンターの1回5分に対しプラスαの時間で3回は計測できるから便利。あるいは、手持ちの2台の計測器で値を補完してより確からしい線量の値を推定することもできる。

これほど使える線量計が近くの店で数千円で入手できるようになったのはいいことだ。

線量計の需要がなぜこれほど高いのかはそれはそれで問題だが。