- 作者: 奥菜秀次
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2008/04/11
- メディア: 文庫
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面白かった。かなり笑った。
ケネディ暗殺の項では、TV朝日が2003年10月11日に放送した番組が取り上げられている。私もこの番組を見た。あまりにアホらしかったのでWebで一文書いてしまった。
http://pws.prserv.net/spanglemaker/essays/kennedy.html
この番組の売りの、暗殺の瞬間を撮影したフィルムの復元については、本書で色々真相が暴かれている。そして、まとめとしてこう書かれている(P.116)。
「世界初」というふれこみで放送された、デジタル補正フィルムと音声証拠のカップリングは"陰謀の証拠"でなく、通販で誰でも買えるDVDに収録されている映像に数コマ付け加えたものに、二十年以上前に証拠認定却下された音声を付けて放映した完全なマガイものだったのだ。また、番組では六コマ分が失われたいきさつを隠蔽行為の一環であるかのように紹介していたが、これはタイム・ライフ社がフィルムを借りた際に傷つけてしまったためで、周知のことであった。
とんだインチキ番組である。
ハワード・ヒューズの項。277〜278ページ。
レーザー誘導ミサイル、本格的な戦闘用ヘリコプターの先鞭も彼の会社が製作したのだ。
攻撃ヘリコプターの起こりは、wikipediaに以下のようにある。
1960年代のベトナム戦争においては、アメリカ陸軍は、ヘリボーン作戦を多用していた。その際に兵員を搭載した輸送ヘリコプターの護衛には、UH-1イロコイ汎用ヘリコプターに武装を施した「武装ヘリコプター」が用いられていた。しかし、武装ヘリコプターはその速度が護衛すべき輸送ヘリコプターより遅く、運用に困難な面があったため、護衛専用の機体が求められた。
アメリカ軍は、いくつかの機体の検討を行ったうえ(AH-56 "シャイアン"が有名)、1965年にベル社のAH-1 ヒューイコブラを採用した。このAH-1が世界初の攻撃ヘリコプターである。その特徴は、大量の武装を搭載しても輸送ヘリコプターに追随できる速力・地上攻撃のための高い機動性・重武装搭載能力にあった。とくに錯綜する地形でも使い勝手がよく、敵の拠点を襲撃したり、敵機甲部隊を攻撃するのには非常にむいた兵器となった。
UH-1、AH-1がベル社、AH-56がロッキード社。
とすると、ヒューズ社の「本格的な戦闘用ヘリコプターの先鞭」とはいったい何だろう。
305ページ。
反論もある。文中の「スプース・グルース」(おしゃれなガチョウ)とは、四七年にヒューズ自ら操縦してわずか一マイルだけ飛んだ巨大飛行艇の愛称で、彼はこの呼び方を嫌っていたのだ。
すいません、「スプルース・グース」(スプルース製のガチョウ)です。
本機は「Hercules」という名称があったとか。ヒューズが「スプルース・グース」という呼び方を嫌っていたというのはありそうな話だと思う。
ハワード・ヒューズの項は、自伝の偽造事件や遺言の偽造事件を追った部分も面白いけど、本人の変人ぶりへの言及がまた面白い。見ればこの項のタイトル、「ハワード・ヒューズの数奇な生涯」とある。主題はここだけ「捏造」ではなく、ハワード・ヒューズ本人なのかもしれない。