Great Spangled Weblog

コメントははてなにログインすると可能になります(SPAM対策です)

武蔵野線大宮支線の地上トンネル

「災害レベル」と言われた今年の7月の暑さ。さすがに月末になると台風が来たこともあり外を歩ける気温になった。

そこで、以前から計画していた散策コースを歩いてみることにした。

場所は武蔵野線大宮支線のトンネル区間

武蔵野線は貨物列車が都心を迂回するために建設された経緯があり、東海道線、中央線、東北本線常磐線などと線路がつながっている。このうち東北本線に接続する大宮支線は、西浦和武蔵浦和間で上り下りとも分岐し、中浦和駅手前で合流して大宮台地を貫くトンネルに入る。トンネルは北浦和〜与野間で地上に出て大宮駅で東北本線に合流する。

大宮支線は主に貨物列車が走っているが、客車も日に何本か走る。大宮側からホリデー快速河口湖に乗って立川まで移動したことがある。特急列車の車両に座って乗り換えなく移動できて快適だった。列車は大宮を出てほどなくトンネルに入り、次に出たときはもう中浦和をかすめて武蔵野線である。

このトンネル、列車からは1本のトンネルに見えるが、実は南北の2本に別れている。基本的には大宮台地を潜っているのだが、別所沼につながる低地の区間は地上に一度出る線形となっている。

ところが、このあたりは住宅地であり、夜中も走るであろう貨物列車の騒音に配慮してか、地上区間はコンクリートの函ですっかり覆われている。そして、住宅地に直線状に続くコンクリートの奇妙な壁があると話題になっている。

まずは京浜東北北浦和駅に移動。今年の大洗のポスターは水着じゃなかった。

近くの埼玉県近代美術館は浦沢直樹展を開催中。

すごく久しぶりに降りた北浦和駅。アニメ『浦和の調ちゃん』の舞台にもなった。ここからの写真はGPSによる位置情報つき。

国道17号を南下し、りそな銀行のところの交差点を渡り、Googleマップを見ながら線路の上あたりの細い道を南下。交差点に両方がらせん階段の歩道橋があった。

そして到着。道路の向こうに三角形のスペースがあってその先の壁高欄の位置がトンネル抗口。

振り返るとトンネルの上の土地が駐車場になっている。

土地の利用状況から推測すると駐車場の位置までが開削によるボックスカルバートでその向こうはシールド工法だと思う。

「壁」に沿って歩くと歩道橋で渡れるようになっていたのでその上から。天端は防水のためアスファルトのようなもので覆ってある。

南の方を見るとツタが生えている。

側面はほんとうに何もない壁。本格的なコンクリート構造のボックスカルバートと推測。

2本目の歩道橋。写真で分かるように、歩道橋は函体から独立した構造になっていて一切接触していない。

住宅地の路地と謎の「壁」が交錯する場所。

南を見ると比較的新しい道路橋が上を跨いでいる。この橋も「壁」とは独立した構造で接触していない。

橋をくぐると3本目の歩道橋が。その先で地上区間は終わり、2本目のトンネルが始まっている。

その歩道橋の上から。民家と道路橋をギリギリで「壁」が通っているように見えるが、もちろん「壁」が先にあって橋や住宅があとからできたもの。

南を見ると函が地面の中に続いていて抗口がどこかはよくわからない。

このへんまで来ると函の天端が腰ぐらいの高さに。杭があるところがトンネルと地上区間の境界かもしれない。

そして抗口の上の道路から。「壁」の場所がJR東日本の私有地であるという看板がある。

こちらのトンネルも上の土地が宅地として利用されていて、工法が開削なのかシールドなのかちょっと分からない。区間が短いし深さも浅いので開削のような気はするが。

さらに南に歩くと南側の抗口に到着。遠くに埼京線中浦和駅が見える。

抗口が見える道はこの通りの急な坂で、大宮台地の端部となる。

階段を降りてみたら台地と低地の境界によどんだ川があって一気にテンション上がる。土地の高低差と水のあり方が理屈の通り。台地の縁は多分水が染み出していて川としてしか利用できないのだろう。

下流側を見ると大宮支線はトンネルを出てすぐにギリギリの高さで川を跨ぐ橋になっている。

この川をたどると水源の湧き水とかあるのだろうかとGoogle Earthで調べてみたが、川はさいたま新都心で暗渠になっていてそれより上流は辿れなかった。支流に湧き水がないかもう少し調べたい。

中浦和駅まで来ると、ちょうど大宮支線を走っていく貨物列車が見えた。

中浦和駅の改札は初めて利用する。

ホームから南西方面、大宮支線が2本に分かれてそれぞれ武蔵野線の方へ伸びている。

反対側を見ると、大宮台地がホームの高さより少し高い標高で存在するのが分かる。そこが浦和の市街地となっている。

左下に、中浦和で高架だった大宮支線が高さを変えずにトンネルに入っていくのが分かる。

大宮台地は起伏に乏しい関東平野の中でも比較的ダイナミックに高低差が見られる場所。北は行田市の埼玉古墳群のあたりから始まり、東北本線に沿って川口まで続いている。

武蔵野線大宮支線は南から大宮台地の与野支台と浦和大宮支台をトンネルでくぐって東北本線に合流する。2つの支台の間が地上トンネルとなっている。2本のトンネルは与野支台をくぐるのが与野トンネル、浦和大宮支台をくぐるのが浦和トンネルというらしい。

また面白い地形が分かったら行って報告したい。