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大哺乳類展3

国立科学博物館の特別展、大哺乳類展3を連休の間に見てきた。

mammals3.exhibit.jp

5月2日は平日ではあるが、上野公園は人がかなり来ていた。目立つのは外国人と修学旅行や社会見学の学生。COVID-19はまだまだ油断できない病気であるが、コロナ禍はもう明けたのだな、と思った。

特別展も依然と違い日時予約は不要で、恐竜ならともかく哺乳類では行列もできず、スムーズに入場できた。

序盤の展示は皆熱心に読み、雑談まで始める人がいたりでなかなか動かない。これはという展示を人の間から見て可能なら撮影、という感じ。

写真はアヌビスヒヒの骨格。脚が身体の下に伸びて体重を効率的に支え、肋骨は胸だけで腹式呼吸が可能で、脊椎は上下に曲がる。

確かイルカだったと思うが、見た目は魚っぽいが骨格はやはり哺乳類。肋骨が腹になく、脊椎は上下に曲がる。首はほとんど見えないが頸椎はやはり7個あって、長さが短く圧縮されている。

オオトカゲの骨格。脚が身体の左右に出ていて肋骨が腹まであり、脊椎は左右に曲がる。

シロナガスクジラの心臓の模型。でかい(確信)

今回の大哺乳類展3のテーマである、哺乳類の系統分岐。チラシの裏にも掲載されている。

恐竜が滅んでから哺乳類が繁栄したとは言うが、K-Pg境界より前でも既に多くのグループに分岐している。霊長目も中生代に独立しているのが分かる。系統不明だった翼種目(コウモリ)は鯨偶蹄目の近くに位置する。また、翼種目の分岐もK-Pg境界より前。しかし化石が見つかっていないので中生代に既にコウモリだったのか、地上を歩く哺乳類が新生代に翼を獲得したのかはまだ不明。

今回の展示の目玉、多数の剥製と骨格標本

恐竜展と比較すると空いているので、この辺からは展示をちゃんと見る人が減ってじっくり見られた。写真はハリモグラの骨格。肋骨が哺乳類になり切ってないように見える。

絶滅したフクロオオカミの剥製。

有袋類、異骨類の展示のため珍獣大集合になってる。

齧歯類の展示。カピバラと、近縁のモルモットの頭骨が並べて展示されていた。大きさは違うが形は結構似てる。

翼種目の系統樹エコロケーションの能力がないコウモリもいるが、それは生態に合わせて二次的に喪失したのだという。

最も学名が短い生き物として知られるイブニングコウモリ、という展示。学名は「Ia io

哺乳類で最も繁栄しているグループと言える鯨偶蹄目の剥製と骨格標本。左端に奇蹄目。

イノシシの仲間、バビルサの頭骨。イノシシの牙は無歯根歯で生きている間伸び続ける。それを頭の上に伸ばして実質的な角にし、異性にアピールしている。伸び続けた牙はやがて頭に刺さり命にかかわるが、子孫を残せないよりはマシ、ということだろう。

胃の標本の比較。奇蹄目のシマウマは胃が一つだが、鯨偶蹄目のクジラ類は複数の胃がある。

キリンやヤギも胃が4つある。複数の胃を使い分け反芻しつつ植物を効率的に消化できるのが繁栄の鍵。

剥製の食肉目エリア。

アルマジロセンザンコウの比較。

ダーウィン種の起源の原書。突然変異と自然選択で種が分岐していく様子を初めて図に示した。

常設展を上から見学。特別展にあれだけ剥製を出してもまだ剥製はこれだけある。

フクロオオカミはこれ1体しかないので貸し出し中。

地下で北村雄一氏のイラストを発見。

カモノハシ竜のデンタルバッテリーの世界一分かりやすい説明。ネットで検索してもここまでは分からない。

ポイントは上下の歯のかみ合わせが斜めなことと、上の歯は付け根部分が曲がるようになっていて、下の歯が上がってくると左右に開くように変形する。このため顎を上下にパクパク動かすだけで植物をすり潰すことができる。恐竜は歯が一生生えかわるのでこの歯で生涯にわたり効率的に植物を食べられる。

哺乳類は顎を左右に動かせるようにして臼歯を水平に噛み合わせて植物をすり潰す。歯は永久歯は生えかわらないのですり減ったら食事ができなくなる。大型化して長生きするにはウマ(減る時間を稼げる高冠歯)やゾウ(4組の臼歯を1組ずつ順番に使う)のように歯に工夫をしないといけない。

この後、いつもだとスルーしていた国立博物館に行ってみることにした。特別展の法然と極楽浄土を見学したが、鶯谷駅までの広大な広さのある博物館で一通り回ったらヘトヘトになった。ここの博物館・美術館はとても1日では回り切らない!