表題の企画展の初日に行ってみた。
利根川を渡る下総利根大橋が無料化されて、茨城県自然博物館は行きやすくなった。といいつつ1年以上行かないでいたが、サイトを見たら面白そうな企画展があるので行くことにした。
常設展のダンクルオステウスの模型。魚が顎を獲得して無双し始めた頃の魚。
恐竜の展示はどんどんマニアックになっていてトリケラトプスの頭部の化石の実物がある。
ティラノサウルス親子のロボット。タイミングを図ると案外いい感じに撮れる。
飼育されているダイオウグソクムシ。
企画展へ。初日はくす玉を割るセレモニーがあると知った。
そして入り口へ。
いきなりデイノニクスvsスミロドン。
少し前までディノニクスだと思っていたが同じ恐ろしいでも恐竜のdinoではなくdeinoという違う綴りなのでイは小さくならない。
展示は考証が行き届いているので、スミロドンが前足を掲げて引っかくポーズなのに対しデイノニクスは前足をだらりと下げている。恐竜は肩の関節の動かせる範囲が狭く、哺乳類、特にヒトのように自由には動かせない。特に前に前足を伸ばせず、手先を器用に使えない。その一方で羽ばたく動作には問題なく、それがやがて鳥につながる。
鳥は前足が翼になってしまったので後足で器用にいろいろなことができるが、デイノニクスも足の指の方が大型で、収納可能という凝った作り。おそらく口の牙と足の爪が主な武器。
展示は古生代に発祥した爬虫類と哺乳類(単弓類)が中生代から新生代にかけてどう変遷していったかを表していた。背景として植物や他の生き物についても説明。
写真は中生代の大型哺乳類ディデルフォドン。恐竜の幼体などを襲っていた可能性がある。しかしこのような大型の哺乳類も白亜紀末に絶滅。
最後の方でまとめとして恐竜と哺乳類の比較が展示されている。
コリトサウルス。恐竜の下顎は複数の骨からできていて、頭蓋骨とかっちりしたヒンジでつながっている。口は上下にしか動かせない。歯は奥の方にびっしり生えていて斜めの面で草を挟む。これなら単に口をぱくぱくするだけですりつぶせる。歯は何度も生えかわる。
スミロドンの化石。哺乳類の下顎は一つの骨でできていて、関節は恐竜より緩く、顎を左右に動かして咀嚼できる。顎の骨の一部が上に伸びて側頭骨の弓の部分の内側にはまっていて、ここから頭の側面に顎の筋肉がつく。
哺乳類の下顎は骨の数が減っていて、なにがどうなったのか分からないが、顎関節の位置が変わっている。もとからあった顎関節を廃止して新しい骨の組み合わせで顎関節を新しく作った、というのは進化の不思議のひとつ。これで余った下顎の骨は哺乳類では耳小骨になり、聴力を高める役割を担っている。
もちろん恐竜と哺乳類の違いはこれだけではない。どちらが優れているということもないが、それぞれの身体の作りが祖先から世代を経て変わってきたもので、互いに交わることがない進化の枝を作ってきた。交わらないので、お互いに「あっちの方がいい」と思ってももう選べない。せめて歯が何度でも生えかわるようになれば、と思っても進化は残酷なものだ。
企画展は6月9日まで開催中。
天気がいいので屋上に上ってみた。菅生沼を一望できる。緑なす春はもうすぐ!