Great Spangled Weblog

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液晶タブレット

去年の12月に液晶タブレットを買ってから1年になる。結論を言うと、デジ絵をやりたいならいまは液晶タブレットなりiPadなりを手に入れるべき。

デジ絵で自分が苦手としていたのが線。とにかくきれいに描けない。紙に下絵を描いて、トレーシングペーパーで2、3回とトレスして線をきれいにし、スキャンしてGIMPでサイズ調整と画質調整で線画にし、それをSAI2に取り込み「輝度を透明度に変換」し、紙の線画が完璧なら以後は彩色に入れる。

実際はそうはいかず、デジタル工程でも線画の修正を行う。かなり簡単なイラストでもこの作業に3時間ぐらいはかかる。

どうしてこんなに大変なのか、しばらくアナログをやって分かった。

ペンタブレット、通称板タブでは、座標は正確に押さえられるが、そこから線を引くとき、線の方向をうまくコントロールできない。というのも、モニターを見ながら、手元を見ずに手を動かすため。アナログでは絵とペン先の位置が同じだから、絵として望ましい方向に手を動かすにはどうしたらいいかが簡単に分かる。手元を見ないでそれをやることは困難。

でも、液タブ(液晶タブレット)がなくてもきれいに線を引く絵師が昔はいたのだが。それはもう「神」としか言いようがない。

pixivでランカー絵師の絵を見ながら板タブで必死で描いたロングヘア―がこれ。線画を2時間ほどかけて描いて、それから塗った。pixivで制作サイズが見られるけど、等倍では線はガタガタ。

もう辛抱たまらんと、ネットをみたらなんと、液晶タブレットが10万円を切っている。欲しい。喉から手が出るほど欲しい。

去年の秋ごろアナログ絵をいろいろ描いてたのは、液タブが欲しいけど買えないので、液タブのように描けるアナログで気を紛らわせていたため。板タブの大変さにくらべればやり直しの効かないアナログの色塗りの方がずっと楽、とさえ思った(ある程度やり直しできるけど)。

それでついに購入したのがワコムCintiq 16。

https://store.wacom.jp/products/detail.php?product_id=4197store.wacom.jp

品質を問わなければ他のメーカーの製品が半額ほどで買える。なので、今どきは板タブはある程度「できる」人がなんかのついでに買うもので、これから始める人は最初から液タブを買った方がいい。絵師の中にはiPadを常用してる人もいるのでiPadもいいと思う。

ストアではいろいろセットで売っているが、単品で買っても結構使える。PCは高性能の方がいいけど、ノートPCでもHDMIの出力をうまくできれば問題なく使えると思う。

液タブを入手してどう変わったかは、pixivを見ていただければ、投稿する作品が増えているのでご理解いただけると思う。

www.pixiv.net

実際、板タブに比べて倍のペースで描ける。特に線画は、3倍ぐらいペースを上げられる。何より、ほぼほぼ思った通りに線が引けるというのはすごい。紙と比べてペンの感触や手のひらの滑り具合が違うので、完全に同じではないけど、手元が見えない板タブとは天と地ほどの違いがある。

選ぶときに液タブのレビュー記事を参考にした。安い液タブは画面の色がよくなくて、調整が大変とあった。ワコムはデフォルトの設定で色に特に問題はなく、タブレット上で細かい色調整まで行うことができる。

液タブを導入してから、紙での作業というのは思い付きをパパっとメモしたり、作品に反映するためのデッサンの練習をしたり、といった用途になった。作品の制作は紙の工程がなくなり、最初からデジタルでラフを進め、いい感じになったら上にレイヤーを重ねて線画。線画がきれいにできたら彩色、という流れになる。この絵は日曜にラフ開始、平日に線画を進めて色の塗り分け、土曜日に完成、というペース。

液タブのメリットはもう一個あって、モニターが1台増えたのと同じなので、メインモニターに資料をドーンと映しながら作業できる。板タブでは資料を紙に打ち出したりしてたので、それもいらなくなった。もちろん検索して出た画像を丸々写すようなことはしないけれど。自分が撮った写真は割と露骨に写してる。

液タブのデメリットは機材が大きく重いことと、使うときに机を占有してしまうこと。これもそのうち改善されると思う。