Great Spangled Weblog

コメントははてなにログインすると可能になります(SPAM対策です)

現在の理髪店

COVID-19による緊急事態宣言の後、行きつけの理髪店もゴールデンウイークの半ばまで休みになった。

それまでは、休日の空いてそうな時間に店先を覗き、理容師が暇そうにしていたら入ってかかるという気ままな散髪をしていたが、新型コロナウイルスの流行でそんな気楽なことはできなくなった。

理髪店は完全予約制になり、開業時間も短縮。席が2つあっても一度に散髪するのは1人のみ。待ち合わせで客が複数居合わせるということも避けている。入店するときは手の消毒。そもそも、客1人ごとに座席や店内を消毒。窓は開けっ放し。

これだけ対策すれば、それはもう安心してかかれる。店もCOVID-19の感染者が利用したと判明すれば2週間の営業停止だから本気度が違う。

理容師は理容師法で定められた国家資格。そして、理髪店も厳密な規準が設けられていて、十分に衛生的であることが求められている。

www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp

個々の理髪店の創意工夫もあるにしろ、基本は業界向けのガイドラインに従っている。

www.riyo.or.jp

ここに来て、理髪店の諸々の制度が感染症の流行阻止を志向していることに気がついた。

理容師が国家資格であるのは、単に顔にカミソリを当てるからではない。衛生基準は、万一怪我をさせた場合に悪化させないというだけにしてはいろいろと厳しい。結核スペイン風邪といった過去の感染症の流行をくぐり抜けてきたことを考えれば、床屋をクラスター化させないという意図の方がより分かりやすい。

今世紀に入って様々な規制が廃止されたが、理髪店の規準はあまり緩和されていない。その意義がまさか今頃発揮されるとは。

自由化・規制緩和が時代の流れと言っても、人はそれほど自由も規制緩和も望んではいない。それはCOVID-19の流行でも驚くほど分かった。罰則付きの外出制限をして収束させろという意見がとても多かった。今も、感染を防ぐために何をしたらいいのかを、人は政府や医師や、あるいは何らかの権威に求めている。「感染のメカニズムはこうなので皆さんで判断してください」は通用しない。

自粛を求めるより補償をセットとした強制を、という声は多いが、「補償」がどこまで充実するのかは未知数だ。一方強制は確実に実施されるだろ。このような非対称性を考えれば、容易に「自由を取り上げろ」という声には同意できない。

しかし、理髪店の衛生上の規制については、存続することに意味があったのだとここにきて理解した。